今日は、男女共SF2試合ずつ、計4試合が行われるという、珍しくも、テニスファンにはたまらなくラッキーな日だったのではないでしょうか?女子の順延のおかげで男子の試合が少し遅くなったのでしょうか?そうだとすると、そのおかげで日本時間6時からのジョコビッチ・チリッチ戦をライブで見る事が出来ました。 久し振りにライブ、録画を折り合わせて試合を見ました。  それにしても、男女のトップ2において、くっきりと明暗が分かれました。イタリアの女子はたまーに、このような番狂わせを起こしますね。数年前に全仏をとったスキアボーネ、全仏準優勝後、トップ10にも居座っていたエラーニ、そして今回の2人、ペンネッタ、ビンチ、この二人が共に番狂わせを演じ、決勝のカードとなってしまいました。イタリア女子の存在、他にもまだ私の知らない選手がいるかもしれません。こんな存在がトーナメントをさらに面白くしているのでしょう。セリーナ達、実力者にとっては厄介な存在でしょう。折角頭の中では、ある程度の計算が出来ていたでしょうに。  それにしても、今日のペンネッタは、素晴らしい出来でした。ハレップが返して来る深いボールに対して、高い打点から振り抜き、威力のあるショットを打ち込んで行きます。あの深い位置から、威力とスピードでウィナーにする女子選手は、そうそう居ないのではないでしょうか?とても印象的でした。ペンネッタの場合は、本人の実績やハレップの状態から、ひょっとしたらと思いましたが(ハレップは太ももにテーピングをしていましたね。筋肉系でしょうか。)、ビンチにはビックリしました。今日までの勝ち上がりで、唯一シード選手だったブシャールに不戦勝、シード選手との対戦が1度も無い中の勝ち上がり。と何度も言われていましたが、セリーナを倒しての決勝進出、もう誰からも言われる事は無くなったでしょう。前戦のムラデノビッチもとても調子が良く、上位シードの選手程の勢いを感じていましたので、ここで勝ったのもビックリしましたが、まさかセリーナに勝って、ファイナリストになるとは思いもしませんでした。セリーナも年間グランドスラム達成に向け、まさかここで躓くとは、思っていなかったでしょう。  しかし、録画で見るとビンチには、女王セリーナから受けるプレッシャーや緊張というものを、ほとんど感じていないかのようなプレーぶりでした。緊張どころか、観客をも自分に巻き込み、自分も観客と共に盛り上がっていくような、、ラテンの血でしょうか?こういう事が起こるのだな、「イタリア女子、恐るべし」です。明日は、この二人で決勝になりますが、さすがにペンネッタが勝者にふさわしいと思うのですが、、、今日見ていて、ペンネッタがだんだん美人に見えてくるのですが、どうしてかな?  男子SF、ジョコビッチ・チリッチ戦。  今大会のジョコビッチは、3回戦以降(セッピ、アグート、Fロペス)、もう少し容易に上がって来ると思っていましたが、意外と手こずっており、北米MS2連戦の疲労を溜めて、今一歩好調とは言えない状態なのかなと、心配していました。  チリッチは、故障後、中々調子が上がって来なかったのですが、ようやく本調子に戻ってきたのかな。戦前は、今季好調のシャーディー、ツォンガに対し実力勝ちでした。私は、まずシャーディーに勝てないだろうと思っていました。ただ、4回戦のシャーディー戦で少し足首を捻ったようです。ツォンガ戦は影響なく動けていた様に見えました。  しかし蓋を開けてみると、試合は、皆さんもご存じのとおり、呆気なく終わってしまいました。結果だけを見ると、一方的な試合ですが、この試合は序盤の2ゲーム、もしくは3~4ゲーム迄に勝負が凝縮されていた様に感じます。  第1セット、ジョコビッチのサーブから始まり、第1ゲームをキープ。第2ゲーム、チリッチのサーブ、チリッチはストロークを厳しいコースへ強打出来ており、足首の影響等殆ど見受けられず、調子自体は良さそうです。0-15からの2ポイント目、チリッチはジョコビッチのリターンに対しバックハンドのDTLを放ちます。他の選手なら決まっている様なボールをジョコビッチは返しますが、チリッチもネットに寄せボレーでドロップショット、これも普通は取れない様なボールですがジョコビッチは拾い、チリッチは高めに上がったそのボールを後ろ向きバックハンドでボレーミス。2回決まったと思ってもポイントにならず0-30。次のポイント、ファーストサーブ(FS)をワイドに厳しいコースへ打ちこみ、ジョコビッチのリターンをオープンスペースの一番遠い所へ打ち込みますが、ジョコビッチはこれも追いつき、ネットに出たチリッチの足許へコントロールされ、チリッチがミス(というより対応できるボールではありません)0-40。この後2ポイントを返しますが、結局ブレークされます。第4ゲーム30-30からの5ポイント目もそう、チリッチがポイントしたと思った瞬間があるのですが、取れない。 チリッチはポイントパターンと目論んでいたケースで、中々というか大半をポイント出来ず、「為す術無し」状態に陥ってしまったように思います。FSが入らなかった事も大きかったでしょう(第1セット41%)。さらにFSが入っても、ジョコビッチが厳しいリターンを返してきました。  チリッチとしては、取られても序盤のように威力ある厳しいコースへのショットを続けていれば、ジョコビッチも体力の消耗と共にいつかは根負けする時が来たかもしれません。後はFSの確立を上げて行ければ、どこかで勝機を手繰り寄せる事が出来たかもしれません。しかしそれは、ジョコビッチ相手に容易な事ではありませんでした。  それにしても今日のスコアにはびっくりしました。本気になった時のジョコビッチは、これほど他の選手を置き去りにしてしまうのか?2セット迄のサービスゲーム、ブレークもジュースも無く、相手に2ポイント(30)取られるゲームすら1回しかありません。第3セットでブレークされたゲームと合わせ2ゲームだけです。後は全部ラブゲームか、15迄、チリッチ相手に異常な結果でした。  ジョコビッチも、戦前から最近のチリッチの復調ぶりを十分感じ取っていて、試合がもつれると非常に危険と感じていたのでしょう。序盤からチリッチ封じとして、持ち前のコートカバーリングを最大限に発揮し、完全にチリッチの封じ込めに成功しました。ここで大方の勝敗が決したと思います。  しかし今日の一方的な敗戦は、ジョコビッチのチリッチに対する非常に大きな警戒心から生まれたもので、チリッチ自身には完全復調の印象を今大会で感じました。シャーディー戦、ツォンガ戦、そして今日のジョコビッチ戦、ジョコビッチがあのような極限の対応をして来ました。チリッチ、完全復調、錦織選手CITIオープンで勝ちましたが、次に当たった時は、更に手強い相手になりそうです。  フェデラー・ワウリンカ戦  この試合も非常に楽しみにしていました。絶好調、未だ新しい挑戦を繰り返し発展途上中のフェデラー。パワー、体力ではフェデラーを上回り、4大大会では幾度となく上位選手から勝利を奪って来たワウリンカ。 しかし、この試合も呆気なく決着が付いてしまいました。ジョコビッチ戦が85分、この試合が92分。しかしこの試合も、この短い時間の中で、素晴らしいプレーを見る事が出来ました。フェデラーです。今回WOWOWの解説に入っている松岡さんが最後に言っていました。「サンキュー、ロジャー」。  この試合、録画で見ましたが、第1セットからワウリンカのセカンドサーブに対して、「セイバー」?でいいのですか?本当にサービスライン上迄駆け上がりハーフショットでリターンして行きます。第3ゲーム、最初はミスになりましたが、2度目は成功し、早速ブレークに成功します。松岡さんの驚きようからすると、あそこまで前に出てリターンするのは初めてだったのでしょうか。又、その他の場合でも、かなり高い位置でリターンします。この試合もこのゲームが一番のポイントになる所だったのではないでしょうか。松岡さんも言っていました。「これは(ワウリンカの)リズムがおかしくならない訳がありません。リズムを壊します。」結局この後、ワウリンカは最後までペースをつかめず、フェデラーはアグレッシブに、抑えるべき所は抑えて勝利を手にしました。恐るべし「SABR(sneak attack by Roger)」(テレビでは「セイバー」と聞きとれます。)、自分の名前が付いた技が出来ました。  インタビューでフェデラーが言っていました。「6年間頑張ってやって来た。」と。又一つフェデラーは、先の領域まで辿りついたようです。それも、私達には想像も出来ない様なハードな練習を積んで来た筈なのに、楽しそうに習得し、トライしている様子が私達にも伝わってきます。本当に底知れない奥深さを持つテニスプレーヤーです。やはり、見ていて一番惹かれて行くプレーヤー。一番好きなプレーヤーですね。  これで、二日後の決勝戦がグンと楽しみになってきました。今日は二人とも1時間半前後の試合で、決勝戦までは中1日空きます。双方共に、体調万全、又最高に調子もピークに持って来ています。世界最高峰の二人が疲労やコンディションを崩す事無く、お互いに最高のプレーで激突出来る。そんな近年稀に見る貴重な試合が見られるのではないでしょうか。楽しみです。月曜の朝何時開始になるのでしょう?!ライブでみたいですね。  ジョコビッチが改めて今日見せたコートカバーリング能力、シンシナティではフェデラーの攻撃力が結果的には勝りました。今日のジョコビッチは、それを上回っていたと思います。さらに進化しパワーアップしたフェデラーに通用するのでしょうか?又、ここ最近をもう少し中期的な流れで見ると、現在のフェデラーの攻撃力がジョコビッチに通用するのか?非常に興味深い決勝戦です。楽しみ!!今回こそ、フェデラーの攻めにジョコビッチのディフェンスが通用しなくなるのか?どっちでしょう?!  ところで、ライジングボールって、伊達、錦織らが先駆者的な存在かと思っているのですが、最初は誰だったのでしょうか?錦織選手は、ライジングボールの返球により速い攻撃を実現し、これを大きな原動力として、世界のトップグループにのし上がって行きました。現在は、殆どの選手がこれを真似て来ています。錦織選手もさらなる対応が必要になるでしょう。  「セイバー」!あまりにもセンセーショナルな戦法ですが、これも各トッププレーヤー達によって真似されたり、対策方法を練られて行く事でしょう。ライジングボールもセイバーも今後のテニス界の潮流を変えていく要素になるでしょう(ライジングボールは既になっている様に思いますが)。そして皆が出来るようになり、いつしかテニスの基本的な要素になってしまうのかもしれませんね。  そんな事にも注目しながら、今年残りの錦織選手の活躍に注目して行きたいと思います。  ところで決勝の予想、優勝、フェデラーで。