全米OPの準決勝、第1試合はノバク・ジョコビッチの強さが際立ちました。圧勝という表現はしばしばされますが、まさのその言葉が当てはまる強さでした。 ジョコビッチとチリッチの通算対戦成績は、ジョコビッチが13勝0敗と圧倒していますが、そういった相性も出た試合だったとも感じます。また、試合の後にジョコビッチがインタビューで明らかにしましたが、チリッチは足を痛めていたようです。                                              ジョコビッチVSチリッチの準決勝 第1セット ジョコビッチ6-0チリッチ 第2セット ジョコビッチ6-1チリッチ 第3セット ジョコビッチ6-2チリッチ エース数 ジョコビッチ:3 チリッチ:4 ウィナー数 ジョコビッチ:16 チリッチ:11 ダブルフォルト ジョコビッチ:1 チリッチ:5 アンフォースドエラー ジョコビッチ:13 チリッチ:37                                           …以上のようなスタッツになりました。セット数を見ると一目瞭然ですが、第1セットでジョコビッチが6-0とベーグルで取り、圧倒的な優位に立ちました。第2セット、第3セットもその優位性は変わらず、ほとんどジョコビッチがゲームを支配し続けました。 チリッチの負傷の具合はわからないので何ともいえない部分はありますが、今シーズンの序盤からウィンブルドンあたりまでのような、とにかく強いジョコビッチが出た試合となりました。 ですので、ゲームでもジョコビッチの良さが目立つ試合でした。コートのカバーリング、相手の攻撃力を利用した反撃、スピードは抑えても決めることができるサーブ、強弱の付け方、集中力……良かった点は本当に多かったです。 定評のあるリターン、ストロークももちろん威力を発揮していました。また、特筆すべきは、リターンでチリッチの動きを読んで、先に動いている点です。相当、研究もしているのでしょうし、読みもさえていました。このため、チリッチは得意の形であるサービスからの得点が奪えず、リズムに乗れないまま、多くのブレークを許す形になりました。 ジョコビッチは好きなテニスな格言として…                                             >”「このゲームは一見コート上にあるラインとラインの間で行われているように見えるが、実際はお前の耳と耳の間で行われているのだ」” 引用:ノバク・ジョコビッチ ストーリー あとがき 稀有なプレイヤー ジョコビッチの強さの秘訣と格言                         …という言葉を上げていますがが、こういったメンタルでの戦いでも、ジョコビッチが大きく上回っていた印象です。 ジョコビッチは直近の2大会のマスターズで、決勝で敗れていますが、集中力、気合とも再び充実している印象です。決勝でも、強いジョコビッチが見られそうです。                                             一方のフェデラーVSワウリンカですが、この試合では、フェデラーの強さが際立ちました。 マレーが、「上位2人は別格…抜くのが難しい」ということを語っていましたが、やはり、この2人が良い状態であれば、次元が違うテニスをするようです。                                              ワウリンカは全仏OPでは強打と強いメンタルで、ジョコビッチを破って優勝。また、通算では16勝3敗と大きくフェデラーに負け越しているワウリンカですが、今季は対戦成績を1勝1敗としています。そういった自信もある中でのぞんだワウリンカですが、この準決勝はフェデラーが圧倒しました。                                              第1セット フェデラー6-4ワウリンカ 第2セット フェデラー6-3ワウリンカ 第3セット フェデラー6-1ワウリンカ                                              ……とフェデラーのストレート勝ちとなりました。 第1セットの序盤は主導権争いで接戦になるかなと感じましたが、終わってみれば、徐々に流れをものにし、ワウリンカのリズムを奪ったフェデラーが圧倒したゲームになりました。 第1セットでは、第3ゲームで話題のリターンダッシュであるセイバー(Sabr=Sneaky attack by Roger)を2度ほど見せました。このセイバーという戦法が主流となることはなかなか難しそうですが、相手にとっては、警戒すべき技が一つ増えることになります。34歳にして、新たな戦法に取り組むフェデラーは、やはり、偉大なプレイヤーだなと感じます。                                             このセイバーも含め、フェデラーは、リターンで色々な引き出しをだし、ワウリンカを動揺させていました。また、ワウリンカがリターンの時に下がれば、すぐにサーブ&ボレーを繰り出すなど、とにかく、柔軟な戦術を見せていました。 フェデラー、ジョコビッチ共に、変幻自在というか、本当に弱点が少なくて、臨機応変な戦術ができるプレイヤーだなと思います。                                                   決勝ではこのフェデラーとジョコビッチが対戦します。 今季は5敗しかしていないジョコビッチに、唯一、2度勝利しているのがフェデラーです。 決勝に限ってみると、ウィンブルドン、BNLイタリア国際、BNPパリバ・オープンではジョコビッチが勝利。一方、直近のウェスタン&サザン・オープンの決勝、さらに2月のドバイテニス選手権では、フェデラーが勝っています。 勝ち数ではジョコビッチが上回っていますが、最近の現状を踏まえると、どちらが勝つかわからないくらい、フェデラーの調子も上がっています。ただ、準決勝のような集中力とモチベーションの高いジョコビッチだと、攻略は困難な気がします。どちらにしろ、「今」の最強を決めるにふさわしい頂上決戦となりそうです。