今季の錦織の成績はランキングも4位まで上がり、とにかく、多くの大会で期待に応える戦いを見せてくれています。 180㎝に満たない(最近は、180㎝という申告になったようですが)身体で、トップ戦線をはるのは並大抵ではありません。反応、思考、体力、フィジカル、メンタル、技術など、あらゆるものを駆使し、戦っている姿は、時に凄みを感じることもありました。追い込まれても、挽回する姿は、尊敬を勝ち取るに値するプレーだとも思います。                                              今季の錦織を振り返ると、序盤から好調で、2月にはメンフィスOPで優勝、4月にもバルセロナOPで優勝という良い流れでした。実際、ランキングが下の選手には圧倒することもしばしばで、トップの強さを見せつける試合も多くありました。一方で初戦では、時折、苦戦したり、ナーバスになる試合も、見受けられました。 そういう中でも、勝ち星を積み上げて、ランキングも4位になり、ハードから、クレー、さらには芝に移っても好調が続きましたが、残念ながら芝でふくらはぎ筋膜炎の疑いもあり、棄権する試合もありました。 とはいえ、マスターズ、グランドスラムでの優勝という期待もかかるシーズンになっています。                                           しかし、錦織の四大大会の成績は…                                             グランドスラムの2015年の成績 全豪OPベスト8(ワウリンカに敗退) 全仏OPベスト8(ツォンガに敗退) ウィンブルドン(2回戦で棄権) 全米OP(1回戦でブノワ・ペールに敗退)                                                また、マスターズでは2度の準決勝進出があるも、アンディ・マレーに、優勝を阻止されてしまいました(マドリードOP,ロジャーズ・カップ)。 グランドスラム、マスターズでの優勝は、まだ道のりが険しいものだと感じさせるものでした。                                                錦織にとっては、高い壁となっている選手は何人かいます。それは、ジョコビッチ(1位)、フェデラー(2位)、マレー(3位)、ワウリンカ(5位)です。この4人に加え、いわゆるBIG4のナダルもですが、錦織は通算成績で負け越しています。 逆に言えば、トップ10選手でも、ベルディヒ(6位)、フェレール(7位)、チリッチ(9位)、ラオニッチ(10位)などには、しっかり勝ちこしています。 ちなみに、最も相性が悪かったのがナダルで1勝7敗です(今年のロジャーズ・カップで初勝利)。また、A・マレーとは1勝5敗となっていて、今季に限って言えば、マレーによってマスターズの勝利を阻まれています。                                           マレーから見れば、錦織は勢いを止めて、倒しておかなければいけないライバルです。ですから、一緒に練習をすればビデオにとって、データ会社に分析させるというように、徹底的にマークしてきます。錦織がこれから上に行くためにも、絶対に破る必要があるのが、マレーということになります。                                           8月のロジャーズ・カップでは、準々決勝でナダルを初めて破って、勢いがあった錦織でしたが、マレーに3-6、0-6で完敗となりました。マレーが徹底的に錦織を倒そうという気持ちもあったように見えますし、調子も良かったようです(マレーは決勝で、8連敗していたジョコビッチに、今季初勝利で優勝)。 錦織は疲労からくる身体の痛み(臀部)もあったようですが、やはり、精神的にもショックがあったように感じます。2セット目は、ガクッとパフォーマンスが落ちました。今季の成績をチェックする限り、0-6で負けたのはこの試合のみです。 錦織は直前の大会でチリッチ、イズナーなどを破ってシティ・オープンで優勝、さらに、ナダル越えもはたして……優勝を狙える! という流れでした。そこにマレーという大きな壁が立ちふさがった感があります。                                             この敗戦後、錦織はマスターズである、ウェスタン・サザンOPを欠場。そして、全米OPにのぞんでブノワ・ペール(41位)に、まさかの敗戦という流れになりました。全米OPまで2週間の休養があったわけですが、精神面で疲れがたまっていたようにも見えました。後は、2014年度の準優勝というプレッシャーもあったようです。                                              この後は、モチベーション的にも厳しい時期にあるようですが、逆に次の大会まで時間もあくので、リフレッシュ期間に当てるなどして、次戦にのぞんでほしいと思います。 次戦は9月18日のデビスカップ プレーオフのコロンビア戦、さらには10月上旬の楽天ジャパン・オープンへと続いていきます。楽天オープンにはワウリンカも出場するので、今季敗戦している借りを返すチャンスでもあります。 再びモチベーションが上がることを願いつつ、応援していきたいと思います!