男女の3回戦が行われ、第1シードのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)が逆転で勝って、1988年のシュテフィ・グラフ以来、女子では史上4人目の年間グランドスラム達成にまた一歩近づいた。しかし、予断を許さない状況になっている。  セレナは昨年のこの大会からメジャー4連覇。今回はマリア・シャラポワ(ロシア)が欠場したこともあって、年間グランドスラムは固いと言われてきたのだが、不安を残す試合が続いている。問題は相手よりセレナ自身にある。  テニスの記録は、相手に仕込まれたミス(フォーストエラー)と自分の凡ミス(アンフォーストエラー)を分けて考える。キキ・バーテンズ(オランダ)との2回戦の第1セット、セレナには26本もアンフォーストエラーがあった。相手も16本だったためセットこそ落とさなかったが、この日は違った。セレナのアンフォーストエラー14に対し相手は1。ベサニー・マテック サンズにシングルスの優勝経験はなく、ランキングも101位と差は大きい。セレナがセットを落としても場内は楽観ムードに包まれていたが、本人に余裕はなかった。  セレナの最大の武器、サービスがよくない。この日、3セットマッチでサービスエースはたった7本。しかもセカンドサーブからのポイント獲得率は42%と下がる。2回戦の試合後、セレナはそのまま練習コートに向かってサーブ練習をしていたが、この日も改善は見られず、この先のドローを見ると前途は厳しい。  同じく序盤に苦しんだウィンブルドンの場合、4回戦の相手はビーナスだった。子供の頃から打ち合った姉との試合で流れを切り替えることが出来た。今回の4回戦の対戦相手はマディソン・キーズで、今年の全豪でベスト4、ウィンブルドンではベスト8に入った伸び盛り、アメリカ期待の20歳だ。 「固くなっているということはない。(グランドスラム4連勝のかかった)ウィンブルドンは意識したけれども、今回はみんなが言うほど意識していない」  年間グランドスラムがかなうか否か、サーブの復活にかかっている。  男子では、第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)はストレートで勝ち上がったが、ラファエル・ナダル(スペイン)は第32シードのファビオ・フォニーニ(イタリア)に2セット・リードから逆転負けした。ナダルは今シーズン不調で、ハードコートシーズンに入ってからも錦織圭、フェリシアーノ・ロペス(スペイン)に敗れているが、4大大会で一つもタイトルを取れなかったのは2004年以来11年ぶり。フォニーニには今季だけで3敗目を喫した。  第7シードのダビド・フェレール(スペイン)、第10シードのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)も敗れ、1回戦で錦織を倒したノーシードのブノワ・ペール(フランス)が第26シードのトミー・ロブレド(スペイン)を倒してベスト16に残った。 文:武田薫