2回戦が終わりました。マナリノに2セット連取され大ピンチを迎えたマレーも最後は力の差を見せて逆転勝ち。今日もシード陣の多くが順当に3回戦に進出しています。しかし地元アメリカ勢の中でも期待されていたソックが2セットアップから逆転負けしたのはショッキングな出来事でした。ソックは熱中症で最後は動くことすらできず、壮絶な棄権負け。3回戦ではワウリンカに挑むはずでしたがこのカードは実現しませんでした。 Up 2 sets to 1, Jack Sock was overcome by the heat at the U.S. Open and was forced to retire: http://t.co/UJYXpY7cad pic.twitter.com/UphSlYh6im— TENNIS.com (@Tennis) 2015, 9月 3 <初戦で敗れたシード陣>錦織、モンフィス(棄権)、シモン <2回戦で敗れたシード陣>ディミトロフ、ソック(棄権)、カルロビッチ  シード陣はまだ6人しか負けておらず、これはここ2年間で最小の数字(13年全仏以来)です。加えて下位シード陣の踏ん張りが目立つのも特徴で、下位シード16人のうち14人が3回戦に勝ち上がってきています。彼ら下位シードが上位シードの壁に挑むのがこの3回戦です。今日5日目の注目カードをいくつか上げてみてみましょう。 【ラオニッチ×F・ロペス】(グランドスタンド:第4試合)  ラオニッチにとって岐路となったのはマドリッドMSでした。世界ランク4位が目前に迫っていた状況で、モンテカルロで足を負傷していたにも関わらず見切り発車したラオニッチ。ベスト8マレー戦まで勝ち上がり狙い通りキャリアハイの世界ランク4位を記録。だがそれが苦戦の始まりでした。足の手術を受け直後のローマ、さらに全仏を欠場。しかし続く芝シーズンになっても状態は戻らず、迎えたウィンブルドンはなんと3回戦敗退に終わり、さらに試合終盤は怪我がぶり返しほとんど動けない状態でした。  ラオニッチは1か月休養を取った後地元カナダのモントリオールMSで再び復帰しましたが、モントリオールと続くシンシナティでは1セットも取れずに衝撃の連続初戦敗退。数か月前4位を記録したはずの世界ランキングは10位まで落ちてしまいました。苦しい中で迎えた全米は初戦2回戦を突破していますがまだ本調子とは言えないでしょう、一戦一戦が勝負です。  対戦相手は、2回戦でフィッシュの引退を見送ったF・ロペス。ラオニッチとロペスは今年の全豪4回戦で激突しフルセットの死闘を繰り広げました。このときはラオニッチが辛くも勝利を収めましたが、直近のシンシナティで二人は再び激突し今度はロペスがストレート勝ちでラオニッチを初戦敗退に追い込んでいます。ラオニッチが完全に近い状態に復調していない限り勝ち目はないであろう強敵です。ラオニッチの戦いぶりに注目が集まります。  お互いサーブが強力なだけにブレイクやミニブレイクを許したほうが負けるというわかりやすい構図です。2回戦では61%のファーストサーブを入れてこれを勝利に繋げたラオニッチ。この3回戦でもしっかりサーブを入れていけるでしょうか。 【フェレール×シャルディ】(ルイ・アームストロング:第3試合)  病み上がり、ぶっつけ本番で全米を迎えたフェレールでしたがここまでは比較的順調に勝ち上がっています。錦織ブロックは錦織、ディミトロフ、モンフィスといったシード選手が続々と崩れており、フェレールにとっては思わぬ大チャンス。4回戦で激突するであろうチリッチ戦に向けてさらに調子を上げていきたい一戦がこの3回戦となります。  対戦相手のシャルディに対しては過去7勝1敗。なんだいけそうじゃん、と思いそうですがこれは昨年の3回戦のときにも言われていたこと。昨年のフェレールは暑さの前に体調を崩してしまい、熱中症でフラフラになりながらのテニスを強いられました。そしてシモンの前に敗れ去ったのです。  今年の暑さも相当厳しい状況となっています。最初に取り上げたソックだけではなく、既に男子シングルスとしてはGS史上最多の棄権者(12人)を記録している酷暑のニューヨーク。フェレールも十分気を付けなければなりません。 Back in the New York groove: No. 7 seed #Ferrer survives #Albot, 4-6, 7-5, 6-1, 6-0. #usopen pic.twitter.com/XIz6RsbsKp— US Open Tennis (@usopen) 2015, 8月 31 【ゴファン×アグート】(コート17:第3試合)  ヤングガンズは既に二人大会を去りました。唯一残ったラオニッチも本調子ではない中で存在感を発揮しているのが「ヤングガンズ四番手」のゴファンです。既にランキングではディミトロフを上回りこの世代3番目に浮上しており、更なるキャリアハイの更新と近い将来のTOP10入りを狙っていることでしょう。2回戦は苦しみましたがフルセットの末に突破、昨年と同じ3回戦まで進出し最低限の成績をキープしています。  昨年の3回戦はディミトロフとの若手対決を繰り広げた末、最後は力尽きて敗れました。シンシナティのジョコビッチ戦で最後失速し金星を逃したことからもわかるように、体力面の不安がある選手で終盤戦の戦いに課題があります。2回戦の疲労は完全には抜けていないでしょう。この状況で過去0勝2敗のアグートに勝利するミッションはなかなかの難題です。ラオニッチ同様ゴファンも真価を試される戦いとなるでしょう。