ウィンブルドン2週間をテニスに集中しまくったおかげでこの平日5日間はブログを書く暇が全くありませんでした。今週はツイッターのほうでも何もつぶやかず、リアルに専念させていただきました。決勝のレポートや世界ランキングなど等、本来は上げるべき記事は大量にあったのに上げられなかったことをお詫び申し上げます。  しかしテニス界は一瞬たりとも待ってくれません。こうしている間にもニューポートでは大会が行われていますし、今日からはデビスカップ準々決勝が始まります。今日はデビスカップ準々決勝プレビューを急いでお届けし、明日からは通常運転で更新させていただきます。  男子テニスの国別対抗戦、デビスカップ準々決勝がこの週末3日間で行われます。今までは4月のマイアミMS後に行われていたのですが、負担軽減を兼ねてこの週になったようです。北米シリーズ開幕まで休みをとる選手が多いことが要因でしょう。そうはいってもWB後すぐの戦いであり、WBで勝ち上がった選手にとって負担の大きいスケジュールとなっています。こういった各選手の情勢が各国の戦略に影響を及ぼしているかもしれません。  それでは早速4カード、ノンストップで見ていきましょう。 【イギリス×フランス】(コート:芝)  英仏対決!イギリス国内はウィンブルドンに続いて大いに盛り上がりを見せています。国の威信をかけて用意した決戦の場所はATP500・クイーンズが開催されたばかりのロンドン・クイーンズ・クラブ。先月マレーが4度目の優勝を果たしたばかりとエースにとって相性のよい場所で、またフランス勢のシモンとガスケがWBで勝ち上がり疲労がたまっているだろう点も好材料です。 Ready for the start of @DavisCup? @jameswardtennis kick things off for GB! http://t.co/vyfksTLBHY #BackTheBrits pic.twitter.com/c039toogv6— British Tennis (@BritishTennis) 2015, 7月 16  しかしマレー1人で三勝は負担が大きすぎます。イギリスのカギを握るのはシングルス2番手の選手と、そしてダブルスです。シングルス2番手の起用が決まったのはデ杯男のジェームズ・ワード。先日のデ杯1回戦ではあのイズナーを最終セット15-13という死闘の末撃破してイギリスに貴重な1勝をもたらしました。WBでは3回戦まで進出しており、今週のランキングは自己最高位の89位を記録中。シモンとの対戦が決まっている初日で再び番狂わせを起こせれば、イギリスが準決勝に大きく近づくことになります。  一方フランスは全仏で燃え尽きたツォンガ、デ杯が苦手なシモン、モンフィスの不参加、などと相まってかなり苦しい立場でアウェーに乗り込むことになります。フランスはワード戦2試合は必勝を期すとして、カギはダブルス。イギリスはWBで準優勝したばかりのマレー兄弟の兄・ジェイミーを擁するなどダブルス専門の二人を配置しておりフランスに勝たせる気はさらさらありません。シモン以外の3人でどう組ませるかが監督クレマンの腕の見せ所となるでしょう。昨年の決勝スイス戦では人選・采配ミスを責める声も上がっていただけに、この大一番お手並み拝見というべきか。 【アルゼンチン×セルビア】(コート:インドアクレー)  アウェーのセルビアはWB優勝したジョコビッチが当然不参加。一方のアルゼンチンもかつてナルバンディアンやデルポトロがいたころからはだいぶメンバーが落ちており、お互い現有戦力をうまくやりくりすることが求められる一戦です。  ダブルスはジモニッチを擁するセルビアが圧倒的有利。しかし2番手対決ではデルボニスやシュワルツマンを擁するアルゼンチンが一歩リードします。となると、勝負を左右するのはエース対決か。アルゼンチンのエースであるL・マイヤーは何度も死線を突破した猛者です。1回戦では7時間以上にわたったデ杯シングルス史上最長試合を制しており、昨年のプレーオフでも土壇場の勝利で母国をワールドグループ残留に導きました。  一方ジョコビッチ不在を任されたトロイツキにしても当然負けられない戦いです。彼もまたデ杯には思い入れのある選手。2010年の決勝では最終ラバーを任され、見事ストレートで勝利を収めてセルビアを優勝に導いています。なお、この二人唯一の対決は今年の全豪で実現しており、そのときはトロイツキが勝利しています。 【オーストラリア×カザフスタン】(コート:芝)  デ杯になると出てくる謎の強豪国、それがカザフスタンです。ククシュキンやゴルベフといった選手を擁してこそいますが、ほかのトップ国に比べて層が薄いことは否めないはず。だがデ杯の彼らは普段のランキング以上の実力を発揮しています。ロシアやウクライナといった隣国出身者だけで構成されるカザフスタン代表にとって、デ杯とは自らがこの国で戦う意味を証明する唯一の場所なのです。1回戦では死闘の末トップ選手をそろえたイタリアを撃破して勝ち上がってきました。  そのカザフスタンをホームで迎え撃つ、圧倒的有利のはずのオーストラリア。ヒューイットのラストイヤーに懸ける思いは強いはずで、当然優勝を狙ってのデ杯になる予定でした。だがそこに思わぬ邪魔をしかけてくれたのが問題児トミッチ。1回戦で2勝を挙げて初戦突破に貢献したはずの22歳はWBで敗退後、ラフター等数人の自国OB達を名指しして暴言を吐き捨ててしまう大失態。これが重く見られデ杯のメンバーから外されてしまいました。チームの戦いをよそにバカンスに向かったトミッチはそこでも騒ぎを起こし、危うく逮捕寸前だったようです…  エースの起用ができなくなったオーストラリアは期待の若手二人、キリオスとコキナキスを起用したものの、カザフスタンの結束を崩せずまさかの2連敗スタートとなっています。二日目のダブルスに登場するヒューイットはこれがデ杯最後の試合となってしまうのでしょうか。 A massive win for #Nedovyesov, def. #Kyrgios 7-6(5) 6-7(2) 7-6(5) 6-4. #Kazakhstan now up two rubbers. #AUSKAZ pic.twitter.com/fzb2wfS7nG— TennisAustralia (@TennisAustralia) 2015, 7月 17 【ベルギー×カナダ】(コート:クレー)  本来この試合はベルギーのエース、ゴファンとカナダのエース、ラオニッチという二人のライバルがぶつかり大激戦となるはずでした。しかしラオニッチはWBで怪我がぶり返し無念の離脱。そしてWBベスト8に入った2番手ポスピシルにも、もはやデ杯を戦う体力は残されていませんでした。両雄を欠くカナダに対してベルギーはベストメンバーをそろえています。シングルス出場者の中で圧倒的に実力の抜けたゴファンが順当に2勝を稼ぐことでしょう。ベルギーが準決勝に進むとなると、1999年以来16年ぶりの快挙です。