第9日は女子準決勝が行われ、絶対女王セリーナと期待の若手、21歳のムグルッサという対照的な二人が勝ち上がってきました。今夜は男子準決勝が行われます。4人の対決を、心ゆくまで楽しみましょう! 【ジョコビッチ×ガスケ】(第1試合)  ここまで素晴らしい快進撃を見せてきたガスケにとってこれが三度目のGS準決勝。ガスケがウィンブルドン準決勝の舞台に立つのは07年以来8年ぶりとなります。7年前の準々決勝もやはりロディックを相手に2セットダウンからの大逆転、最終セット8-6のデスマッチを制してのものでした。だがその時はウィンブルドン5連覇を狙って勝ち上がってきたフェデラーには歯が立たずストレート負け。6年の時を経て再び挑んだ全米準決勝でも因縁の相手ナダルに歯が立たず、ストレートで敗れ去りました。3度目の正直を期したい今回の準決勝でも立ちはだかるは再びBIG4、それも最強の座に君臨するジョコビッチとなってしまったのです。  今年の全仏4回戦でもあっさりストレート勝ちを収めており、ジョコビッチの有利は全く揺るぎません。ガスケに敗退したワウリンカが負け惜しみからか、「ガスケにとって勝つチャンスは少ないだろう」とコメントを出しても誰もそれを否定することはできないのです。だがガスケだってやられっぱなしでは終われないでしょう。1セットでも、1ゲームでも、いや1ポイントでも多くポイントを奪い、得意の片手バックハンドでジョコビッチを苦しめる光景を見せてほしいものです。 【フェデラー×マレー】(第2試合) - 両雄、24度目の激突 - Semi-Final @Wimbledon #Federer v #Murray "Who is going to win & what's your motivational message?" RADIO to 81333 pic.twitter.com/acDoXXsslJ— BBC Surrey (@BBCSurrey) 2015, 7月 10  対戦成績はフェデラーの12勝11敗と拮抗しています。昨日取り上げた13年全豪での対戦でマレーが勝った後の対戦成績は11勝9敗でした。1年ぶりの対戦となった翌年の全豪準々決勝でフェデラーが快勝、これ以降フェデラーが3連勝を収めて現在に至ります。  マレーの対フェデラーが一気に悪化した理由の一つには、怪我からの復帰後におけるフィジカルの低下があると思われます。復帰したとはいえ、マレーはレベルの高いやり取りについていけるだけのフィジカルを取り戻せていなかったのです。直近の対戦となったツアーファイナルズは6-0,6-1という大差がついていますが、これはマレーに6週連続参戦の疲れがあったとみて間違いないでしょう。実際当時同様に敗れた錦織に対してはマドリッドでリベンジを果たしています。  マレーのストロークにはフェデラーを咎める特性が備わっています。フェデラーという選手は勢いでガンガンいく傾向があり、実はショットの1本1本を見ると甘いボールも結構多いのです。特に次やその次で仕留める意図を込めて打つ攻撃的ショットやアプローチショットに甘くなる傾向があります。するとカウンターの得意なマレーはそれを逃してくれません。しかしフェデラーもフェデラーで、マレーがセカンドサーブを入れにきたりすると逃さず叩き込んできますし、返球が浅くなると一気に攻め込んでいきます。お互い1本のミスショットが命取り、技巧の限りを尽くした激しいやり取りが行われることでしょう。  フェデラーはまだ復活したマレーと対決したことがありません。攻撃的ストロークを積極的に扱い、課題のセカンドサーブも強化された新生マレーに1セット目から対応できるかは未知数でしょう。マレーとしてはフェデラーが対応してくる前に一気に押し込みたいところ。いくら効果があるとはいえ、カウンターや守備だけではフェデラーに勝つことは難しいので、マレーが自らラリーの主導権を握ることも重要になってきます。なおマレーが決勝に進めば、男子ダブルスで決勝進出を果たした兄ジェイミーと決勝でそろい踏みすることになります。  一方のフェデラーはスライスを交えながらマレーの勢いを止めにくることでしょう。芝におけるフェデラーのスライスはジョコビッチですら攻略に苦しむ代物です。浮いたり止まったり低く滑ったり、時にはドロップショットになったりまさに自由自在。3年前の決勝でも存分にマレーを苦しめました。またフェデラーのサービスキープを露骨に左右するのが彼の生命線ともいえる1stサーブの入り。この大会通して好調をキープしていますが、マレーのプレッシャーを前にしても1stを入れ続けられるのか。 He can try this but it's not going to be easy: #AndyMurray faces #RogerFederer at Wimbledon > http://t.co/ezcZ4HjKgt pic.twitter.com/g6C1KhBGUL— Live Tennis (@livetennis) 2015, 7月 10  両者の微妙な力関係を一つ左右する要素に、屋根の存在があります。互角の展開が続いた12年ウィンブルドン決勝では、屋根が閉じて以降展開が一変しフェデラーが押し切って優勝しています。幸い今日の天気予報は晴れ。イギリス中の人々がその晴天が続くことを祈っていることでしょう。