フェデラー、マレー、ワウリンカは順当に勝ち上がりました。だがジョコビッチが大苦戦!前哨戦クイーンズで準優勝するなど好調なアンダーソンに相手に2セット連続でタイブレークを落としてしまうまさかの立ち上がりとなりました。その後疲れからか、緊張からか武器のサーブでポイントを取れなくなったアンダーソンからジョコビッチが2セット奪い返すと試合は日没サスペンデッドとなり終了。決着は今日に持越しとなりました。本日は女子の準々決勝がメインで、男子はこの1試合のみとなります。  ジョコビッチは調子が悪かったのでしょう。特に第2セット以降、エラーを抑えた、悪く言えば消極的なテニスに終始し苦しみながらもスコアを整えてきました。ここを乗り越えて元のジョコビッチに戻れるかが今後のウィンブルドンの行方を大きく左右することになります。 To be continued... #Djokovic and #Anderson will resume play at the start of the 5th set tomorrow at #Wimbledon. pic.twitter.com/k6fr4VfJgK— ESPNTennis (@ESPNTennis) 2015, 7月 6  ジョコビッチは2010年WBでベルディヒに負けて以降BIG4+ワウリンカ、そして錦織の5人にしかGSで敗北を喫していません。また最後に準々決勝より前で敗れたGSというとなんと09年全仏にまでさかのぼります。GS連続準々決勝記録はフェデラーに次ぐ歴代2位を記録しており、この試合に勝てばさらに記録を伸ばすことになります。だがジョコビッチとて時には負けそうになったこともあります。今日はこの5年間、彼が乗り越えてきたピンチを振り返ってみることにしましょう。 (注)対BIG4は除いてあります。今回はあくまで下の選手からの挑戦を退けたパターンに限定です。 【2012年全仏4回戦 セッピ戦】 (4-6,6-7(5),6-3,7-5,6-3)  11年全豪にて覚醒したジョコビッチは全仏を除く全てのGSを制し、翌年の全豪でもマレーとナダルを激闘の末に退けて勝利をつかみました。生涯グランドスラム、いや4連続GS制覇の期待をかけて臨んだ全仏はジョコビッチとそれを迎え撃つナダルを前に大変な注目の集まる大会となったのです。  だがプレッシャーからなのか、それとも本当に不振だったのか、ジョコビッチの勝ち上がりは最初から芳しくありませんでした。今までと同じように強打を打ち込んでもなぜかそれがロングアウトになってしまう…。苦しんだジョコビッチの危機は4回戦で訪れました。前哨戦ローマでイズナー、ワウリンカを連破する快進撃を見せたセッピを相手に2セット連取されてしまったのです。なんとかフルセットの末に振り切って勝ち上がったのですが… 【2012年全仏準々決勝 ツォンガ戦】 (6-1,5-7,5-7,7-6(6),6-1)  続く準々決勝では更なる強敵が挑んできました、地元のサポートを受けて勝ち進むツォンガの挑戦です。第1セットこそジョコビッチが圧倒したものの、徐々に勢いを増したツォンガの強打はジョコビッチの頼りないストロークを容易く打ち破って2セット連取、そして今度はMPまで迫ります。ジョコビッチはもう本当に九分九厘負けていました。だがツォンガはあと1ポイントを取る勇気がなかった…最後の最後でためらったツォンガから勝利の女神は逃げていき、第4セットをタイブレークで制したジョコビッチがファイナルセットも奪ってツォンガを退けました。 【2012年全米準決勝 フェレール戦】 (2-6サスペンデッド,6-1,6-4,6-2)  第1試合でマレーがベルディヒを破った後の第2試合にジョコビッチが登場しました。対戦相手は第4シードのフェレール。両者の実力には差がありジョコビッチの勝利は確実かと思われました。だがアーサー・アッシュ・スタジアムにはこれ以上ないほどの強風が吹き荒れていました。ジョコビッチはストロークのコントロールを完全に失ってしまいエラーを量産。このまま行けばフェレールにも勝機が?だがフェレールが今にも第1セットを先取しようかというその時に試合はサスペンデッドとなってしまいます。その風を起こしていたのはなんとハリケーンだったのです。  翌日再開した試合を制してジョコビッチは決勝に進みました。だが決勝でも強風は吹きやまず、この風への対応が遅れたジョコビッチは2セットダウンから挽回したものの最後力尽きてマレーに敗れています。 【2013年全豪4回戦 ワウリンカ戦】 (1-6,7-5,6-4,6-7(5),12-10) (【2013年全米準決勝】【2014年全豪準々決勝】【2015年全豪準決勝】【2015年全仏決勝】)  全豪3連覇を目指すジョコビッチ、その4回戦の対戦相手はワウリンカでした。正直戦前の評判はジョコビッチ優勢一色でした。当時のWOWOWの試合プレビューだってご覧の通りです。  しかしふたを開けてみればそこにいたのは今までと別人のようなワウリンカでした。立ち上がりいまいちよくなかったジョコビッチの守備は左右の大砲に打ち砕かれ、立て直してきても崩れることなく一進一退の攻防が続きました。ジョコビッチがデスマッチの末に最後仕留めたゲームですら、ワウリンカの凄まじい粘りに苦しんだのですから。 その後幾度となく両者の激闘が繰り広げられるようになったのは皆さんご存知の通りです。翌年の全豪でリベンジを果たしジョコビッチの4連覇を阻止したワウリンカは先の全仏でもジョコビッチの悲願を打ち砕いています。 【2013年ウィンブルドン準決勝 デルポトロ戦】 (7-5,4-6,7-6(2),6-7(6),6-3)  次世代筆頭と言えばこのデルポトロをおいてほかにいなかった、そんな時代がありました。2013年、デルポトロは何度となくBIG4の壁を打ち破らんと挑みかかり、その度に単なる好勝負という域を超えたぶつかり合いが繰り広げられます。13年WB準決勝はその一つのハイライトでした。デルポトロのパワフルなサーブとフォアハンドはジョコビッチの壁をまさに破らんとし、それに対して全力で答え打ち返すジョコビッチとの激しい打ち合いが続きました。試合はフルセットの末ジョコビッチが勝利をつかみ取ったのですが既にこれ以上戦う余力はなく、決勝ではマレーの前になす術なく敗れることになりました。 Emotional scenes at end of #Djokovic v #DelPotro. Most exciting match of #Wimbledon '13 so far? Most entertaining? pic.twitter.com/d3bfUgpMsG— Wimbledon (@Wimbledon) 2013, 7月 5 【2014年ウィンブルドン準々決勝 チリッチ戦】 (6-1,3-6,6-7(4),6-2,6-2)  チリッチは2014年冒頭から好調を維持していました。2月の3週連続決勝進出に続く活躍がウィンブルドンで訪れます。ベルディヒを破ってベスト8に勝ち上がったチリッチは圧倒的不利と見られたジョコビッチにも臆することなく食らい付き、先に2セット目を奪ってセットカウント2-1としたのです。  だが当時のチリッチにはまだかつて見られた弱気の虫が生きていました。第4セット以降のチリッチからは強さが失われ、ジョコビッチに逆転を許してしまうことになります。チリッチの真の覚醒にはあと2か月が必要でした。