ゲリー・ウェバーOPの準々決勝が行われ、錦織はヤノウィッツと対戦しました。 ビックサーバーであり、クレー育ちのヤノウィッツはストローク力でも強さを見せる選手です。試合中の大きな声が有名ですが、過去にはマスターズで準優勝、ウィンブルドンでベスト4など実績もある強豪です。最近は勝ち星に恵まれず、ランキングを51位に下げていますが、この試合では実力をいかんなく発揮しました。                                           第1セットは、互いに第9ゲームまでキープして錦織が5-4とします。錦織は高い集中力を保ち、コートを広く使って揺さぶりをかけます。 一方のヤノウィッツは、得意のビックサーブを軸に、ストローク戦では、強打を放ってきます。アウトになることがあっても、とにかく、ハードヒットを心がけていました。また、集中力も高く、調子の良さをうかがわせました。サービスゲームでは時に、セカンドサーブでも200キロを超える球を放ってきます。 そんな接戦の展開でしたが、ヤノウィッツにわずかに隙が生まれたのは、プレッシャーのかかる第10ゲームでした。ダブルフォルトが出て、最後はバックハンドのラリーの打ち合いから、ショットをアウト。錦織がブレークして、第1セットを6-4で取ります。ここぞという時の隙を逃さない錦織の集中力は見事でした。                                           しかし、第2セットになると、錦織の集中力が若干落ちました。第3ゲームでブレークを許す展開は、第10ゲームで錦織がブレークバック。それでも、ヤノウィッツが第11ゲームで再びブレークして、このセットを7-5で奪います。積極的な攻撃姿勢を続けるヤノウィッツは、集中力も高く、ミスも少なかったです。浅いショットを見逃さず、力強いストロークも見せました。また、強打を打ち続けるので、たまに見せるドロップショットが非常に効果的でした。錦織は若干サービスのコースが甘くなったり、リターンの精度も落ちていました。                                           そして、迎えたファイナルセット。序盤は互いにブレークが出る、激しい展開になります。 勝負のポイントになったのは錦織が2-1で迎えた第4ゲームでした。ヤノビッチのサービスで始まるも、突然、プレーが大きく乱れます。ダブルフォルトや、サービスが甘くなり、ストロークでもミスが出て、ラブゲームで錦織がブレーク。ここまで、高い集中力と気迫あふれるプレーを見せていたヤノウィッツが、急激に調子を落とした瞬間でした。逆に言えば、それだけ、ここまで見事なプレーをしていたともいえますが、とにかく、この第4ゲームはヤノビッチにとって、勢いを失う痛い取られ方でした。 BS朝日の解説者で、錦織のジュニア時代の指導者の米沢氏は、「マラソンで先に行っていた選手が、急にペースを落とした」という意味の発言をしていますたが、なるほど、という感じでした。 ここからは錦織の展開となり、第1セット同様、集中力を増した錦織が、ヤノウィッツをベースラインの後ろに押し込むなどして、6-3で取りました。 まさに、錦織の勝負強さと粘り強さから、自分の流れに持ち込んでの見事な試合運びでした。 この試合では、相手もミスが少なく、第1回戦、2回戦のようにはいきませんでしたが、最終セットで修正して、強さを見せたところが素晴らしかったと思います。                                            気になる準決勝ですが、この後行われる、モンフィスとセッピの勝者との対戦となります。 モンフィスは高いフィジカルを持ち、コートを滑るようなプレーを時に見せ、スライダーマンの異名を持ちます。陽気な選手で、試合中にもたまに笑顔を見せたり、楽しませれくれる選手です。 現在、ランキングは16位で、今シーズンはフェデラーをロレックス・マスターズで破っていますし、強い選手です。ベースラインの後ろからでもウィナーを打つなど、フィジカルの強さと技術の高さが光る選手です。性格的に乗ると強く、乗らないと淡白なプレーをすることがあります。 アンドレアス・セッピは長い手足が特徴の選手で、ランキングは45位。ミスが少なく、精神面も含め、安定感がある選手です。                                            ここまでの個人的な感想ですが、錦織の芝での大会は、見応えある試合が続き、おもしろいです。個性的な選手との対戦が続いているというのもあるかもしれません。                                           byあかつき18号(あかつきスポーツ☆18ニュースを書いています)