全仏OPは決勝が行われ、ノバク・ジョコビッチ(1位)とスタン・ワウリンカ(9位)が対戦しました。 今季のジョコビッチの強さはゆるぎないものがあり、全豪OPで勝利後、出場したマスターズ4大会ではすべて優勝と、正直、勝てる選手がいるのだろうか!? というぐらいの強さでした。BIG4の時代から、ジョコビッチの1強時代へ…そんな、新時代を感じさせるぐらい、ジョコビッチはプレー、精神ともに充実していました。 ジョコビッチの本の言葉を借りると、ピーク・ヒューマン・パフォーマンスという人類が行いうる最高のパフォーマンスに到達していると、ある人物が語っていました。 そんな、ジョコビッチの高い守備力に、打ち勝たなくては、勝利することはできません。                                               今季、ジョコビッチを破っている選手はフェデラーとカルロビッチの2人だけです。フェデラーは片手バックハンド、カルロビッチはビックサーバー…ワウリンカは、高速サーブと片手バックハンドを兼ね備えています。                                           ワウリンカの方は今季、全豪OPで準決勝まで進むものの、その後調子を落として、出場したマスターズではさえない成績でした。BNPパリバ・オープンでは、2回戦敗退。マイアミ、ロレックス、マドリードでは3回戦敗退となっています。しかし、直近のマスターズであるイタリア国際では準決勝に進出して、調子を上げて、全仏OPに入っています。                                           決勝戦の方は、第1セットをワウリンカが4-6で落とすものの、2セット目からはストロークがさえて、ウィナーなどを決めて6-4で取りました。その後は勢いを増したワウリンカが、6-3、6-4で取って勝利しています。 ジョコビッチは、スケジュールで不利な面がありましたが、決勝戦においては、疲れの影響もあったかもしれません。精度が落ちている部分がありました。確かに、ジョコビッチの対戦相手を見ると、準々決勝のナダル、準決勝のマレーと厳しい相手が続きました。特にマレー戦ではフルセットまで持ち込まれ、昨日の今日で試合となったため、不利な点もあったと思います。 一方のワウリンカは集中力があり、パーフェクトなプレーをしたと言えるかと思います。サービスからの展開、リターン、フォア、そして、代名詞ともいえる強烈な片手バックハンドのダウンザライン。また、彼の爆発力も、特筆するものがありました。さらに、劣勢でも攻めの姿勢を貫いたワウリンカに、流れが来たともいえるかと思います。ジョコビッチには、生涯グランドスラムのプレッシャーも、少なからずあったと思います。                                           表彰式では、生涯グランドスラムを逃したジョコビッチに、観客が鳴りやまぬ拍手で健闘を称えたシーンがありました。ジョコビッチが思わず涙して、見ていたファンにも感動をもたらしました。 セルビアでは、コソボ戦争の影響で、空爆を避けてシェルター生活も経験しているジョコビッチ。そういう状況の中でも、テニスを続け、プロになってからは、14時間の練習を課していたこともあると言います。そんなジョコビッチは、生涯グランドスラムにふさわしい選手だと思いますが、今回はワウリンカが見事なプレーを見せたと思います。 ジョコビッチは試合後、ワウリンカに称賛の言葉をおくるとともに、「再び帰ってきて、優勝するまで諦めない」と語りました。                                              byあかつき18号(あかつきスポーツ☆18ニュース)