改めて2015全仏オープンのドロー表を見ましたが、ボトムハーフからはジョコビッチが最も当たりたくない相手が上がってきたのではないでしょうか? 皆さんご存知の通りワウリンカは2014年全豪オープンの準々決勝でジョコビッチを破り勢いそのままにGS初戴冠を果たしています。ですがこれは決してフロックではなく、ジョコビッチとワウリンカはそれまでもGSでは再三死闘を行ってきており、自分としてはワウリンカはいつかやってくれる!と注目していた中での2014全豪だったので、遂にやったか!と感慨もひとしおだった事を覚えています。ジョコビッチの最後のボレーミスは本当に印象的でした。 という事で過去の二人のGS戦績を振り返ります。 2015、全豪、準決勝:ジョコビッチ:7-6(1), 3-6, 6-4, 4-6, 6-0 2014、全豪、準々決勝:ワウリンカ:2-6, 6-4, 6-2, 3-6, 9-7 2013、全米、準決勝:ジョコビッチ:2-6, 7-6(4), 3-6, 6-3, 6-4 2013、全豪、4回戦:ジョコビッチ:1-6, 7-5, 6-4, 6-7(5), 12-10 2012、全米、4回戦:ジョコビッチ:6-4, 6-1, 3-1(棄権) うーん。このスコアを見ているだけでも興奮してきます。 ついでに5セットマッチという括りで言うと、二人は2006年のデビスカップ、ワールドグループ入りをかけたプレーオフでも戦っており、こちらもフルセットです。 2006、デビスカップ、プレーオフ:ジョコビッチ:6-4, 3-6, 2-6, 7-6(3), 6-4 尚、二人のクレーの直近の対戦は2012年マドリードの4回戦まで遡る事となり、この時はジョコビッチが7-6(5), 6-4で勝っています。 巷ではジョコビッチの生涯グランドスラム達成なるか?の見出しばかりが踊っていますが、我々テニスファンとしては、一体だれが連勝街道爆進中のジョコビッチを止めるのか?も大注目ですよね!自分としてはワウリンカこそが対ジョコビッチの最終兵器かと思っているので思う存分暴れまくって欲しいと思います。 さて、ATP公式サイトを見ていたら2015年度の二人のスタッツ比較表がありました http://www.atpworldtour.com/Share/Head-To-Head-Pop-Up.aspx?pId=D643&oId=W367 うーん。まあ今年のジョコビッチの戦績を考えると当然と言えば当然ですが、ブレイクポイントセーブ率を除き全てジョコビッチが上回ってますね。。とは言え過去は過去なので、あくまで参考という位置づけで。 (記事本文とは関係ないですが、スポナビブログの外部サイトへのリンク設定のルールがイマイチ分からないのでどなたがご存知の方がいらっしゃましたら教えて下さい。。) さて試合展望ですが、序盤でいかにワウリンカが攻めてリードできるか?がポイントになると思います。 まず1つ目のキーワード「攻め」ですが、攻めのポイントは2つです。1つ目は「サーブ」。ツォンガ戦では1ST SERVES IN 52%、1ST SERVES WON 76%と、1ST SERVES WONは悪くはないものの、サービスポイント自体は非常に少なかったと思います。これは中盤ツォンガのリターンが何かの力が働いているかのごとくコート内に収まっていた事もありますが、まず1STの確率を上げ、どれだけエース又はサービスポイントを奪えるかが大きな鍵になってくると思います。サービス力はワウリンカがジョコビッチに勝っている要素の1つです。 攻めの2つ目のポイントは「ストローク」。いかに先にワウリンカが仕掛けられるからでしょう。マレー戦でも再三見られましたが、互角となったラリー戦の仕掛け主はいつだってジョコビッチです。わずかでも甘くなって返ってきたボールはすかさず角度をつけて打ち込み優位を奪い、後はしっかり決めるだけ。マレー程のディフェンス力を持っても一度優位を奪われたラリー戦ではなかなかポイントを奪えなかったのです。特にワウリンカのサービスゲーム、サーブで奪った優位を起点にどこまで攻め切れるかが大きな鍵になると思います。 次に「序盤」というキーワードですが、これは今大会再三見せているジョコビッチの「ドロップ&ロブ」に対してのものです。ジョコビッチのこの前後の揺さぶりは2つの効果を見込んでいます。1つ目はウィナー。決まればベストです。2つ目はボディブロー。ナダル戦の3セット目で顕著でしたが、1,2セット前後に走らされたナダルに最早ボールを追う体力は残っていませんでした。 ナダル、マレーよりもフットワークに劣り且つ小技があまり上手くないワウリンカに対しては、この「ドロップ&ロブ」を更に多用してくる事が考えられます。もしセットリードされる事になると、前後の揺さぶりにより削られた体力に宿るメンタルも弱くなり、一気に持っていかれる可能性が高くなってしまいます。 以下、ワウリンカサイドから整理すると、こんな感じになります。 ・1STを入れる(入れにいく1STを打つという意味ではなく、強烈な1STを高確率で打ち込む) ・1STで優位を奪ったら必ず攻める(意味のない繋ぎの球は打たない) ・結果、サービスゲームを守る ・タイブレークは気合で取る(笑)特にセットカウントがイーブンの時は。 順番逆になりましたが、別にワウリンカファンでもなく、アンチジョコビッチでもありません。ただただ安定の徳川政権よりも、信玄・謙信・信長のいた混沌とした戦国時代の方が好きなだけです。いつだって我々スポーツファンの心躍らすのはライバル同士の激戦ですからね。 そういう意味で、是非是非ワウリンカには STOP Djokovic!を成し遂げて欲しいと思っています。 さて、決勝プレビューが長くなってしまいましたが、準決勝の寸評です。 ■ワウリンカVSツォンガ ワウリンカが1枚上手でした。2ndセットこそ途中でプレーレベルが落ちタイブレークで一気に持っていかれましたが、3rdセットでは幾度となくブレイクポイントを凌ぎ、タイブレークでセットをもぎ取ると、4thセットではストロークを軸にゲームを支配していました。ツォンガは全仏2度目の準決勝でもチャンスを生かせませんでしたが、今大会で十分復活をアピールできたと思います。早くランキングを上げて迷惑シードを脱却して欲しいですね。地元云々関係なく強かったと思います。 ■ジョコビッチVSマレー 凄い試合でした。全豪決勝もそうでしたが、この2人のストローク戦は異次元ですね。恐らく噛み合うというのもあると思うのですが、まるでレベルが違います。他の試合では1試合で数本しかないようなロングラリー(しかも繋ぐラリーではなくお互い意味を持った攻防をしている)が当たり前に発生しますからね。 とは言え、翌日に自分自身が今最も力を入れているゴルフを控えていた為、恥ずかしながら6-3,6-3になった時点で勝負有りと思い、一旦は寝たんですが、寝れずに経過を見たら3セット目3-3になっていたのでゴソゴソ起きだして続きをみていました。 するとマレーがジョコビッチの「ドロップ&ロブ」のロブに対して反応良く下がり、振り向きざまのパッシングを決めるスーパープレーを見せ、続けざまにジョコビッチの猛攻をしのいでのウィナーを決め土壇場のブレイク。観客のボルテージも最高潮に。何とかセットカウントを1-2とします。 どうでもいいですが、我々テニスファンは勝手なものですよね。余程どちらかの選手に勝って欲しいと願っていない限りはフルセットの熱戦を期待してしまいますからね。こういったGSで強敵相手に2セットアップとした側の選手は「ニュートラルな立場の観客」という敵も増えるので大変です。 さて話戻って第4セット。お互いボルテージも高いままサービスキープを続ける最中での中断。まだ日没まで1時間近くあったにも関わらず、画面にちらちらトランシーバーをもった大会関係者らしい人が映り始めたので何かなーと思っていたら、日没サスペンデッドではなく雷雨予報での中断との事。二人がコートから去った直後から雨が降り出してきたのにはビックリしました。 それにしてもこういったサスペンデッドの場合ってチケットどうなるんですかね?特に昨日の場合はサスペンデッドになったお陰で、センターコートのスケジュールが ①男子準決勝の続き ②女子決勝となったので、まず元々男子準決勝のチケットを持っていた人が入って、男子準決勝終わったらそのお客さんは会場から出て、②のチケットを持っている人が入場したんですかね?でもだとしたら①のチケットを持っていた人は、最悪10分くらいで終わってしまう試合の為に会場に足を運ばなければいけないので結構リスキーでしたね。まあ自分だったら迷わず行きますが。 結果はフルセットまでもつれ込みましたが、最終セットはジョコビッチが圧倒しましたね。単純に、ジョコビッチの攻めが早く、且つ強く、且つ正確だった、という事に尽きると思います。スタン曰くマシーンのジョコビッチですが、確かにパワースマッシュ(基本ミスらないアーケードのテニスゲーム)の1P対CPUを見てるみたいでした。 さあ執筆時点での全仏最終日のパリも、8:30となりました。両選手とも起床して最終決戦の心の準備を始めた頃でしょうか。 一体どちらの選手が歓喜の瞬間を迎えるのか?いよいよですね!