錦織は順当に4回戦を突破しベスト8一番乗りを果たしています。同様にバブリンカもシモンを粉砕しベスト8。だがスザンヌ・ランランが2試合とも無風だったのに対してフィリップ・シャトリエは大荒れとなりました。ツォンガがベルディヒからあっさり2セット連取したのです。強風の吹き荒れたセンターコートでベルディヒは終始低調なプレーに終わり、逆にツォンガはバックハンドで踏ん張りフォアハンドを叩き込む理想的な展開を見せてくれました。  第3セットもツォンガがブレイクを奪って5-4。これで決まりかと思われましたがここからベルディヒが息を吹き返しブレイクバック、さらにタイブレークを制して1セット取り返すと続く第4セットでもブレイクを奪いました。静まり返るフィリップ・シャトリエ。もう挽回は不可能かと思われましたが、ツォンガが自ら流れを引き戻しました。この局面から連続ブレイクで逆転すると、最後は210キロ台のサーブを3本連続で叩き込んでトドメを刺しました。11位以下に無敗だったベルディヒを打ち破り、ベスト8進出です。  ボトムハーフの準々決勝は錦織vsツォンガ、そしてバブリンカvs…。それでは第9日のプレビューといきましょう。 【ジョコビッチ×ガスケ】(フィリップ・シャトリエ第4試合)  フランス四銃士の最後を飾るのがガスケ。ガスケは全仏は4回戦が最高です。ベスト16での敗退が3度、もう一歩壁を破ることができず順当なら今年も敗れて4度目のベスト16敗退となってしまいます。ジョコビッチへの対戦成績も1勝10敗(8連敗中)と芳しくなく、ガスケにとっては厳しい戦いとなりそうです。地元の声援を背になんとか一太刀浴びせられるか。  ナダル戦に向けて大切な戦いとなるのがジョコビッチ。結果だけでなく内容も充実させ、大一番への準備を整えたいところ。 【マレー×シャルディ】(スザンヌ・ランラン第2試合)  強敵キリオスをあっさり撃破して視界良好のマレー。4回戦はノーシード選手との対戦、とはいえ地元フランス勢のシャルディが相手となれば決して油断はできません。しかし2週間前のローマではストレートで苦もなく撃退しています。マレーがその実力を発揮すればベスト8入りは当確です。  シャルディは21歳だった08年以来二度目のベスト16入り。イズナー、ゴファンとシード勢を打ち破ってのベスト16入りは快挙とみていいでしょう。強打が持ち味のシャルディが地元の大声援を背にマレーのテニスに穴を開けることができれば、チャンスが出てきます。 【ナダル×ソック】(スザンヌ・ランラン第4試合)  ナダルもまたジョコビッチ戦に向けて大切な試合です。相手はフォアハンドの強打に加えてダブルスで鍛えた小技も使いこなすジャック・ソック。ノーシードながら下位シード陣と比較してもその実力は見劣りしません。ここまで楽な戦いが続いているナダルにとってはよい試金石となるでしょう。  ソックは自分の武器であるフォアハンドをどこに叩き込んでいくのでしょうか?ナダルのバックを集中的に突いてみると面白いかもしれません。ソックのパワフルなフォアハンドが深く決まれば、ナダルのバックハンドを押しこむことができるかもしれません。 【フェレール×チリッチ】(コート1 第2試合)  前日の試合を全て消化できなかった影響でコート1に押し出されてしまったこの試合。だが4カード中最も激戦が期待できるカードです。フェレールは3回戦ボレリに2セット取られてあわや敗退というところまで追い詰められてからの11ゲーム連取。見事な逆転劇でベスト16に勝ち上がってきました。一方のチリッチはシードダウンも考えられるという下馬評を覆してのベスト16入り。ここまで3戦いずれもストレートで勝ち上がっており、絶好調だった全米レベルとは行かないまでも2014年前半(2月の3週連続決勝進出、WBベスト8)のプレーは取り戻しているようです。  対戦数は少なく、フェレールの3勝1敗。しかし5年ぶりの対戦です。最後の対戦となった5年前のマドリッドといえばフェレールが一時ランクを落として10位台をさまよっていたときのもので、もう一昔前といっても良いレベルです。仕切り直しとなる5度目の対決はどんな様相を見せてくれるのでしょうか。 【フェデラー×モンフィス】(フィリップ・シャトリエ第2試合)  トップハーフの選手達には悪いですが、今日のメインイベントは昨日から持ち越しとなったこの試合です。 To be continued.. #Monfils/#Federer to resume battle for #RG15 QF spot on Monday at 1 set-all. http://t.co/7scMqvhcVO pic.twitter.com/36x2fv2EHk— ATP World Tour (@ATPWorldTour) 2015, 5月 31  フェデラーがモンフィスの立ち上がりを突いてブレイクを奪いそのまま第1セットを先取、だがストローク戦でモンフィスに主導権を握られたフェデラーは徐々にジリ貧に追い込まれます。続く第2セットは1stサーブが47%と低調でストローク戦の劣勢をカバーしきれませんでした。おまけにワイドに打った1stサーブはほぼモンフィスに返されてしまい、1stサーブはポイント獲得率も43%とフェデラーとは思えない数字を記録しています。  それでもモンフィスのUEをきっかけに一気にたたみかけたフェデラーは土壇場でブレイクバックを奪います、だが反撃はそこまで。モンフィスはデュースからフォアのDTLでSPを握り、バックのDTLを丁寧に決めて連続ウィナーで第2セットを締めくくりました。  二日がかりの戦いは第3セットから始まります。やはりフェデラーのサービスゲームが一つポイントとなるでしょう。どれだけサーブからの攻撃だけでポイントを取れるか、悪いですがストローク戦だけでは到底フェデラーはモンフィスに及びません。ミスや詰めの甘さも目立ったネットプレーの改善もサービスキープには必須となってくるはずです。とにかくショートポイントを増やしていくこと、そこにフェデラーの勝機があります。  勝者は3連戦となる準々決勝でバブリンカと戦います。どちらが勝っても明日はバブリンカに料理されるだけかもしれませんが、それでも絶対負けられないこの勝負の行方は最後まで追いたいと思います。 <動画/今夜、フェデラーと対戦!> 「曲芸的な魅せるテニス」から、安定感と戦術を備えた「勝てるテニス」への変貌。 才能は開花するのか?現在のモンフィスに迫る映像!!⇒http://t.co/3FNf9IonYF #wowow #テニス pic.twitter.com/h7H9VveYIs— WOWOWテニス (@wowowtennis) 2015, 6月 1