第7日は特に波乱のない静かな日になりました。ジョコビッチとマレーは若手の挑戦をストレートで退けナダルも快勝。ソック対コリッチの若手対決は強烈なフォアハンドで終始押し込んだソックがストレートで勝利してナダルへの挑戦権を獲得しています。  またガスケが格上シードのアンダーソンを撃破してベスト16進出。これで「フランス四銃士」の4人、ツォンガ・シモン・モンフィス・ガスケが全員ベスト16に進出することになりました。圧倒的ホームアドバンテージを背に戦う彼らが4回戦で上位撃破なるか、今日と明日は彼らの戦いぶりに注目です。  それでは第8日のプレビューといきましょう。 【錦織vsガバシュビリ】(スザンヌ・ランラン第2試合)  ベスト16に残ったノーシード勢は3人。昨日紹介したソック、ゴファンを撃破してベスト16入りしたシャルディ、そしてこのガバシュビリです。ソックが37位、シャルディが45位と手強い中堅勢なのに対してガバシュビリはなんと74位。74位でも実はランキングを戻してきたほうで、4月末には一時100位まで順位を落としています。錦織の敵ではなさそうな気がします。  一方で最近の勝ち上がりには目を引くものがあります。5月に入って転戦したCHで2週連続優勝を果たしあっという間に現在の順位に復帰。その好調は全仏に入っても継続し、ここまでF・ロペス、モナコ、ロソルと名の知れた選手3人相手にしてなんと1セットも落とさず勝ち上がってきています。この勢いは半端じゃありません。錦織は彼の快進撃を食い止めることができるのでしょうか?  今月の23日に30歳になったロシアの選手。錦織との対戦成績はATPツアー本戦に限ると錦織3勝1敗となっていますが、錦織がまだ17歳だった07年モントリオールMSの予選でも対戦して敗れているので3勝2敗としてもよいかもしれません。その対戦を除いて唯一敗れた試合は錦織が昨年メンフィス連覇を果たした直後のデルレイビーチ1回戦で、限界を迎えた錦織が棄権して終わりました。その後今年のバルセロナ初戦では錦織がきっちりストレートで勝利を収めています。  錦織は2回戦から中3日も空いています。テニスの大会で中3日も空くということはめったにありません。疲れは取れますが逆に間隔の空き過ぎは試合勘を鈍らせます。序盤は思うようにプレーできないかもしれません。そんな中でどのようにガバシュビリの勢いを食い止めていくか、錦織の試合運びに注目しましょう。勝てば全仏では初となるベスト8、そして第2のスタートラインです。 PREVIEW | Can #KeiNishikori reach #RolandGarros QF for the 1st time?He meets #Gabashvili in R4:http://t.co/VLZNnYC0IQ pic.twitter.com/1COvX2FqNj— Live Tennis (@livetennis) 2015, 5月 31 【ベルディヒ×ツォンガ】(フィリップ・シャトリエ第2試合)  錦織とほぼ同時刻、センターコートでは第4シードのベルディヒが4回戦に臨みます。相手は「フランス四銃士」の一人目ツォンガです。ツォンガはアンドゥハルをストレートで片付け、一方ベルディヒは地元勢のペイルに粘られたものの4セットで退けてここに勝ち上がってきました。  フォアハンドの強打をガンガンを打ち込んでいくツォンガにとって本来クレーとの相性はイマイチ。しかしここ全仏は別です。2度のベスト8以上があります。バブリンカを破りさらにジョコビッチをMPまで追い詰めた12年、そしてフェデラーをストレートで撃破してベスト4に入った13年です。一方のベルディヒも本職はハードコートで、全仏では初戦敗退も何度かあるなど戦績が安定しません。それでもツォンガと同様にベスト8(昨年)とベスト4(2010年)が一度づつあるのは流石の一言です。  この二人の対戦成績はベルディヒが6勝2敗と大きくリード。とにかく苦手選手の多いベルディヒにとってここまで明確に勝ち越している組み合わせはそう多くありません。通常の対戦であればベルディヒ圧倒的有利の予想をしたことでしょう。だがここはフランス、8度の対戦のうち唯一フランスで戦った13年マルセイユ決勝ではツォンガが勝利しています。今日はその当時をはるかに上回る大声援がツォンガに送られることでしょう。アウェーには慣れっこのベルディヒが崩れる可能性は考えづらいですが、逆に声援を受けたツォンガがうまくノッていければ勝機はあるはずです。激戦を期待します。 【バブリンカ×シモン】(スザンヌ・ランラン第3試合)  昨年はまさかの初戦敗退だったものの、全仏でバブリンカはほぼ毎年安定した成績を残しています。GSにおいての素晴らしい戦いぶりはここ2年に共通のものです、大舞台のバブリンカは集中力が違います。  だがそのバブリンカをもってしても苦戦しそうな組み合わせがツアー屈指の曲者、かつ地元フランス勢のシモン戦。3回戦のマウー戦をフルセットの末に勝利して自身3度目の全仏ベスト16を決めたシモン。彼の守備的プレーが作り出す泥試合に引きずり込まれたら誰であろうと危険です。バブリンカもATPツアー通算2勝2敗と攻めあぐんでいます。3年前にはここ全仏の3回戦で対戦しましたがフルセットの死闘の末になんとかバブリンカが逆転勝ちを収めました。  シモンにとって全仏は悔やんでも悔やみきれぬ因縁の場所でしょう。2年前の4回戦、フェデラーを相手にセットカウント2-1とリードを奪ったものの、逆転負けでベスト8を逃しました。全仏では前述のバブリンカ戦、昨年の3回戦ラオニッチ戦と合わせてなんと3年連続フルセットで敗退中。もうこんな悲劇は繰り返せません、今年こそ、今年こそ勝って初のベスト8入りなるでしょうか。 【フェデラー×モンフィス】(フィリップ・シャトリエ第3試合)  昨年デビスカップ決勝、今年のモンテカルロとクレーでフェデラーに2連勝中(通算4勝8敗)のモンフィス。4度のベスト8うち1度のベスト4とフランス四銃士の中では最も高い全仏成績をマークしており、当然彼にかかる期待は非常に大きなものになっています。ここ2年のフェデラーの不安定な戦いぶりを見れば尚更期待が膨らむというものです。  だがモンフィスはここに辿り着くまでに消耗しすぎてしまった感が否めません。2回戦のシュワルツマン戦、3回戦のクエバス戦と共に中南米のクレーコーターが相手でしたが彼らの繰り出すストロークに押されて追い込まれました。いずれもセットカウント1-2からの逆転勝利で夢をつないだモンフィス、特に3回戦はブレイク2つ分のリードを許した1-4からの大逆転でした。  それでもせっかく辿り着いたリベンジの機会負けるわけにはいきません。全仏では08年,09年,11年と3度続けてフェデラーに敗退中で、一度も勝ったことがありません。当時のフェデラーはクレーでも自在にショットを操り生半可なクレーコーターでは全く勝ち目がありませんでした。だが今は違います、モンフィスにとって問題となるのは勝利を収めるその瞬間、最後まで自分も体力気力が持つのかということになるでしょう。気力のほうは観衆が補充してくれるはず、あとはフルセット2回の疲れに対してどのように耐えていくか。全てはモンフィスの踏ん張り次第です。