錦織圭(日本)が久々に会場に戻って練習。世界ジュニアランキング1位のオルランド・ルス(ブラジル)とほぼ1時間打ち合って、4回戦に備えた。試合は現地31日、スザンヌランランの第2試合に入っている。錦織の動向にばかり気を取られている内に、女子もベスト16が決定、第1シードのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)、第2シードのマリア・シャラポワ(ロシア)の2強がいよいよエンジンをふかしてきた。  風邪気味で、鼻をかみながらのセレナが危なかった。3回戦の時点でグランドスラム優勝のビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)と対戦するきついドロー。アザレンカがちょうど1年前からの足の故障でランキングを落としたためだが、実力はトップ5だ。セレナは2回戦で、世界ランク105位のアンナ・レナ・フリードサム(ドイツ)に第1セットを奪われただけに立ち上がりが気になったが、この日も第1セット、いきなりダブルフォルトで先にブレークを許してしまった。第3ゲームでブレークバックしたものの、第6ゲームを再びブレークされてセットを先行された。  最大の武器であるファーストサーブの不安定さを狙われ、第1セットのポイント確率が53%。2人は5月のマドリッドで対戦し、セレナは勝ちはしたがフルセットで僅か1ポイント差の接戦だった。渾身のリターンで攻め込んでくるアザレンカに、第2セットも先にブレークされて追いかける展開だったが、第8ゲームで追いつき、きわめつけは第10ゲームだった。セレナが持ち前の強打を集めて0-40とし、アザレンカがどうにかデュースに持ち込んだものの、4本目のセットポイントをフォアに叩きこんでセットオールとした。獲物が見えてくれば、セレナのパワーは全開する。ファイナルセットも第1ゲームをいきなり落としたものの、徐々に気持ちがボールに乗り移ってその後を圧倒。第5ゲームには時速202kmのサーブも飛び出して決着をつけた。  セレナの組み合わせブロックでベスト16に残ったシングルシードはペトラ・クビトバ(チェコ)だけで、半分がノーシード。下の山では宿敵のシャラポワが失セット0で勝ち上がっており、女子は2強に絞られつつあるようだ。  男子では、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)がタナシ・コキナキス、第3シードのアンディ・マレー(イギリス)はニック・キリオスと、ともに話題のオーストラリア勢を倒してベスト16に進み、スペインのラファエル・ナダル、ダビド・フェレールも順当に勝ち上がった。注目の若手ボルナ・コリッチ(クロアチア)は米国の新鋭ジャック・ソックにストレート負け。また女子ダブルスでフランチェスカ・スキアボーネ(イタリア)と組んだクルム伊達公子が敗れ、これで今大会に残った日本選手は錦織だけになった。  なお、8日目からはジュニアが開幕し、日本勢では豪州育ちのサンティラン晶が注目される。 文:武田薫