個人的にメインイベントに据えていたモンフィス対クエバスは死闘になりました。クエバスはパワフルなストロークを深く突き刺してモンフィスの守備を打ち砕き、セットカウント2-1,ゲームカウント4-1と大量リードを奪ったのですが、気を抜いたのか1個ブレイクバックを許したのが致命傷に。スザンヌ・ランランコートを埋め尽くした観客の大歓声を受けて復活したモンフィスが5ゲーム連取で第4セットを逆転。迎えた最終セットでも先にブレイクを奪ったのはクエバスでしたが気合十分のモンフィスが崩れることはなく、最終セット6-3でフェデラー戦へと歩を進めています。モンフィスは2試合連続のフルセット勝利で、全仏でのフルセット勝ちが通算10度目(史上1位タイ)となりました。  錦織の対戦相手はノーシードのガバシュビリに決定しました。全仏16強はこれが2度目と実績がないわけではありませんが、ツォンガ、シモン、モンフィスとフランス四銃士を迎え撃たなくてはいけない他のボトムハーフのシード陣と比べて恵まれていることは確かです。不戦勝からの試合勘を立て直しつつもできればストレートで突破したいところ。 【シード選手の状況・トップハーフ】  ジョコビッチ[1],ガスケ[20],アンダーソン[15],ナダル[6],マレー[3],キリオス[29],ゴファン[17],チリッチ[9],L・マイヤー[23],フェレール[7]と計10名のシード選手が残っています。上位16シードからのシードダウンはイズナーと、そしてなんと2年連続の初戦敗退となってしまったディミトロフ。心は既にウィンブルドンなのか? 本日は既にシード同士の対戦が3カード組まれています。白熱した戦いが期待できるはずです。さて第7日のプレビューにいきましょう。 【マレー×キリオス】  グランドスラムで初めてシードがついた20歳のキリオス。無事にシードを守って勝ち上がったキリオスが3回戦で挑む相手はマレーです。キリオスはナダルと1度、フェデラーと1度戦いいずれも勝利を収めているのですが、マレーとは3度も戦って未だ勝ち星がありません。キリオスの荒削りな攻めはマレーの前に無力なのです。全豪の大声援をもってしてもなおセットを奪うことすらできませんでした。  しかしマレーの側にも不安要素はあります。2回戦ではソウザの奮闘に苦しみました。本番は2週目といってよいマレーが序盤戦でピリッとしないこと自体は、本来大した不安要素にもならないのが普通です。だがピークを迎える前の3回戦に強敵を迎えるこの試合でも2回戦と同じようなマレーなら足元をすくわれる可能性は大いにあります。 クレーコートであろうとキリオスの戦い方は基本的にハードのときと変わりません。とにかく自分の武器を信じてサーブとストロークで攻め込んできます。それをマレーがきっちりいなせれば何事も起こらないでしょう。そうでなければ… 【ジョコビッチ×コキナキス】  まずはコキナキスの奮闘を称えましょう。IW4回戦で死闘の末敗れていた先輩トミッチに対して2セットダウンから最終セット8-6の大逆転!対トミッチ戦初勝利とともに自身初となるGS3回戦進出を自分の庭ではないクレーで達成しました。この全仏は地元全豪以外で初めてとなるGS本戦だったのですが、とても初参戦とは思えない堂々とした勝ち上がりです。ツアーで揉まれ続けた成果が出ているといってもよいでしょう。着実に力をつけています。 .@TKokkinakis saves 3 M.P. to d #Tomic in 5 sets, is 1st teen in @rolandgarros 3R since 2008. http://t.co/Roja4GLDyl pic.twitter.com/TzIqGVf4D6— ATP World Tour (@ATPWorldTour) 2015, 5月 28  コキナキスの挑戦を受け止めるのは王者ジョコビッチ。ここまで勝ち上がりには全く不安ありません。ノンプレッシャーで突撃してくるであろう19歳の挑戦をどう退けていくのか、試合の結果自体は見えていますが見て損はない試合になるのではないでしょうか。 【ソック×コリッチ】  第10シード、ディミトロフを1回戦で破ったのはソックでした。アメリカの希望として今年の活躍を大いに期待されていたソックでしたが怪我で出遅れ、復帰したのはマイアミMS。しかしそこでいきなりベスト16に入るとクレーシーズンに入ってもヒューストンでツアー初優勝を果たすなどコンスタントに活躍を続けています。ダブルスでは既に実績十分のトップ選手ですが、シングルスでもここまで順調に階段を上りつつあるといってよいでしょう。  だが22歳のソック(これは同い年のトミッチにとっても同じでしょう)にとって絶対に負けられないだろう存在が、最近何かと目立ってきている「自分よりさらに年下の選手達」。18歳のコリッチはまさにそういう存在です。今週初めてトップ50入りを果たしたコリッチはこの全仏でも初戦でいきなりクエリーを破ると続く2回戦で第18シードのロブレドを倒しています。いくら今年不調とはいえクレーコーターのトップ選手を撃破してしまったのです。恐るべき18歳。  ソックはやや短気なところがあり、苛立ちの隠さないことが珍しくありません。コリッチの守備的戦術にハマって独り相撲になることだけは避けたいでしょう。