錦織の初戦、ヴェセリ戦は第1試合に組まれました。日本時間夜19時以降という予定になっており、第1試合に組まれている女子の第2シード、ハレプが終わり次第始まります。 大体20時ぐらいのスタートになるのではないでしょうか。  錦織が対決する「若手陣」というとブリズベンやメンフィスあたりで当たる英語圏の若者が多く、それ以外の国の若者とはあまり試合が組まれていない気がします。チェコ出身のヴェセリとの初対決は非常に楽しみです。ヴェセリについて興味ある方は若手特集記事や初優勝時記事なんかを見ていただけたらと思います。  これを勝ち上がると3回戦はF・ロペス対トロイツキの勝者との対決です。なお、注目のキリオスはロペスにストレートで敗れています。  さて、今日はナダルが10年ぶりにランキングを落としたことを受けて、10年前から現在までにおけるこの時期のランキングを振りかえってみたいと思います。まずは05~07年を見てみましょう。ローマMS直後のランキングで、全仏前最後のMSハンブルクが控えています。  懐かしい名前が多く見える中、ローマで優勝した弱冠18歳のナダルがキャリアハイの5位を記録しているのが05年です。この表にもいるクレーコーターの先輩達コリア、カナスを破っての優勝でした。準決勝ではフェレールも破っています。年始51位だったナダルですが、このわずか2か月後にはさらに2位まで浮上します、なんと恐ろしい出世スピード!現在も現役なのはフェデラー、ヒューイット、ナダルの3名です。  続いて06年になると、00年代前半に活躍した選手達の名前はほとんど消え、代わりにナルバンディアンやダビデンコなど「フェデラー&ナダル時代」に3位の座を争った名選手達が入ってきました。リュビチッチやブレーク、フェルナンド・ゴンザレスもこの時代を代表する選手です。  07年になると早くもジョコビッチやマレーの名前が見えます。もうジョコビッチとマレーがトップ10に入ってから8年になるのです。当時は二人とも19歳で、この翌日にマレーが20歳の誕生日を迎えています。  続いて08~10年。09年の制度改革でハンブルクがマドリッドに変わっています。  08年。フェデラーとナダルのポイント差が過去3年に比べて詰まっているのがわかるでしょうか?王座交代はウィンブルドン後に実現することになります。前年9月にキャリアハイの7位を記録したガスケが9位に残っており、10位にはローマで準優勝したバブリンカが14ランクアップで飛び込んできました。この週がバブリンカにとって初めてのトップ10です。  09年、ツアー制度の改革により選手達のポイントは倍近くに補正されています。1位は前年に王座交代を果たしたナダル。だがこのとき既にナダルの身体はボロボロでした。クレーに生まれ変わったマドリッドの初回大会決勝でフェデラーに屈したナダルは続く全仏の4回戦で…。そして5位には当時20歳のデルポトロがいます、このころまでは順調に若手陣がランキングに名前を見せていたのです。  10年、全仏後に再びナダルが1位に返り咲く、その直前です。2位にいるのはナダルではなくなんとジョコビッチ。ナダルは3月に一度ジョコビッチとマレー両方に抜かれて4位まで落ちています。だがそこからがクレーキングの本領発揮。モンテカルロ、ローマの連勝でジョコビッチを捉えると(表に掲載した週)、マドリッド決勝ではフェデラー相手に前年の雪辱を果たし、続く全仏は1セットも落とさない圧巻のパフォーマンスで1位に返り咲きました。この年ナダルは全盛期を迎えます。  そして11~13年。11年よりローマとマドリッドの順番は入れ替わっています。  ジョコビッチ怒涛の43連勝があったのがこの年、2011年です。この年のマドリッド決勝はハイレベルな試合となりましたが、ジョコビッチが現実離れしたプレーでクレーキングを粉砕してしまいました。続くローマでもジョコビッチはストレートでナダルを破ってナダル戦4連勝!、勢いに乗って運命の全仏を迎えることになります。  12年、数字を見ればわかりますが4人の数字が飛びぬけています。この絶望的な差がBIG4が固有名詞にまでなってしまった証でもあります。そしてこのランキングはあのブルークレーがあった直後のものです。ブルークレーという波乱がフェデラーの2位返り咲きをアシストし、ランキングは一気に大混戦になりました。運命のいたずらと言うべきかもしれません。  13年になるとランキングの様相が変わってきます。マドリッドの優勝ポイントを失ったフェデラーが3位に下がり、代わりに2位浮上したのはマレーです。ジョコビッチ・マレーという1位2位の並びはこの後8月まで続きます。そしてナダルは5位にいます。日曜日マドリッドで敗れたナダルが「5位と7位に大した違いはない」と語ったのはこのときのことを振り返って言っているのです。モンテカルロでジョコビッチに敗れるという波乱から始まったナダルのクレーシーズンでしたが、その後は2010年の時と同様に勝ちまくり、全仏準決勝の死闘を乗り越えてクレーキングの座を守り抜きました。  ちょうどこの週、バブリンカがトップ10に帰ってきました。08年10月以来実に4年半ぶりのことでした。  最後に去年と今年のランキングを比べてみましょう。  昨年のこの週は、錦織が初めてトップ10になった記念すべきランキングです。それから1年、錦織は落ちることなくむしろさらに高い次元にいます。素晴らしいことです。