インディアンウェルズ(以下IWと略)から休む暇なく続いてマイアミマスターズが開幕します。既に予選は始まっていて、日本人参戦者ではダニエル太郎が唯一初戦を勝って本戦入りに一歩前進しています。本戦には錦織に加えて添田の参戦が決まっています。  マイアミといえばご存じアメリカ・フロリダ州の大都市。IWとは全く対照的にアメリカの東南部にあります。2大会に参戦する選手たちはアメリカ大陸を横断してここマイアミを訪れるのです。  この大会もIWと同じ96ドローを採用。シード選手は1回戦免除ですが、それを除けばグランドスラムと同じドローサイズという非常に大きな大会。そしてコートのスピードとしてはいわゆるスローハード、遅いのが特徴となるでしょう。ナダルが2004年に初対戦でフェデラーを破った場所である、と言われればそのコートの質がわかるのではないでしょうか。ただしIWと違って特殊な環境があるというわけではありません。一般的な遅めのハードです。  大会優勝者といえばやはりBIG4の名前が多いですが、08年にダビデンコ、10年にはロディックが優勝しています。ただ両者とも引退しているので現役の優勝者はナダルを除いたBIG4だけという、現役に限ればIWを上回る寡占大会となっています。しかも今回フェデラーは参戦しないので大会出場者で優勝経験あるのはジョコビッチとマレーしかいないことになります。  前置きはこれぐらいにして、日本時間で午前1時ごろ発表された今年のシングルスドローを見てみましょう。 【ベスト16の組み合わせ】 ジョコビッチvsロブレド フェレールvsシモン 錦織vsアグート ラオニッチvsディミトロフ バブリンカvsF・ロペス マレーvsアンダーソン ベルディヒvsツォンガ ナダルvsグルビス 【錦織のドロー】 1R 免除 2R ユーズニー/ゴルベフ 3R トロイツキ/バグダティス/ボレリ 4R アグート/ゴファン/ヤノビッツ/コリッチ など QF ラオニッチ/ディミトロフ/イズナー/デルポトロ SF ジョコビッチ  先に断っておきますがここマイアミもジョコビッチがダントツの優勝候補です。13年こそハースに敗れる大波乱で姿を消したものの、それを除く過去4年で3度優勝しています。IWの戦いぶりを見てもジョコビッチからはセットさえ奪うことが難しい状況です。  そうとはいえジョコビッチ戦のことを気にする前にまずは準決勝に進まなければなりません。準々決勝までは勝たなければいけない相手がそろっています。が、トロイツキやバグダティスはランク以上に強敵です。特にバグダティス相手は1勝4敗と苦手としており、できればボレリかトロイツキに倒してもらいたいところ。一方4回戦で格上選手に滅法弱いアグートを引いたのはラッキーでしょう。ゴファンも不振で、4回戦ではノーシードのヤノビッツやコリッチとの対戦も十分考えられます。  ラオニッチのブロックにはIWに続いてまたもディミトロフがいます。この二人の対戦今度こそ実現するのでしょうか?ディミトロフの初戦はいきなりデルポトロとポスピシルの勝者と当たります。デルポトロの回復具合はいまだ万全ではないようですが、やはり復帰したいという気持ちには勝てないようです。手首さえ持てばという条件付きですが一つ注目です。3回戦で待ち構えるイズナーも強敵。ここはラオニッチ対イズナーのビッグサーブ対決を予想するのが妥当かもしれませんね。  ボトムハーフもやはりマレーとナダルの上位シードを軸に考えたいところです。09年と13年の二度優勝しているマレー、昨年もジョコビッチ戦までは勝ち上がっています。準々決勝でバブリンカ戦が実現したら楽しみですがバブリンカは果たして勝ち上がってくれるのでしょうか。  一方まだマイアミ優勝のないナダルですが4回も準優勝していて実は全然苦手じゃありません。対戦相手はジョコビッチが2度、05年の全盛期フェデラー、ナダルにとって唯一の苦手選手ダビデンコとどれも仕方ない組み合わせ。IWでは敗れたとはいえ全豪より大分状態は上向いてきていて、本人も敗戦後の会見で手ごたえを口にしていました。しかしマイアミ入り後、転倒してしばらく起き上がれなかったというニュースがありました。その後の情報を見る限り大丈夫そうな気はしますが心配です。 Hope Nadal can still play! #miamiopen #tennis (@ Crandon Tennis Center in Key Biscayne, FL) https://t.co/pUI2BsT9ee pic.twitter.com/6n8MQ6Odzk— Sherman (@shermanur) 2015, 3月 23  優勝争い以外も見てみましょう。久しぶりな顔ぶれが何人かいます。故障に苦しんでいたツォンガの復帰は明るいニュース。デビスカップ決勝バブリンカ戦以来となる公式戦でどんなプレーを見せてくれるのか注目が集まります。また来年の全豪での引退を表明しているヒューイットが全豪以来となるトーナメント参戦。あと何試合見られるかわかりませんが、チャンスがあればその雄姿を見ておきたいですね。  IW活躍勢も見ておきたい。コキナキスはWCでの参戦が決まっており、初戦に勝てばバブリンカへの挑戦が実現します。そのコキナキスとの激戦後残念ながらジョコビッチ戦を棄権したトミッチは、勝ち進むと3回戦でベルディヒへの挑戦となりそう。IWでフェレールを破ったのに続く番狂わせが見られるでしょうか。復帰戦でいきなり4回戦まで進み、ダブルスではなんと優勝したアメリカの希望ソックも注目で、初戦で添田との組み合わせが決まっています。  最後に一つ。マイアミMSは、昨年男子シングルス準決勝が開催されないという前代未聞の悪夢に見舞われた大会です。今年はそんなことのないように、皆が元気に勝ち上がってくれることを祈ります。