マレーはストレートでF・ロペスを下しました。そしてその試合中にトミッチが棄権するという情報が入ってきて、あっさりジョコビッチの勝ち抜けも決定。準決勝でこの二人が激突することになりました。  そんな簡単にBIG4全員を勝ち抜けさせるわけにはいきません。幸いにも残り二人に立ち向かうのはBIG4以外のメンバーの中では最強クラスの選手たち。高い壁ではありますがぜひ突破してほしいものです。ではプレビューといきましょう。 【フェデラー vs ベルディヒ】(第1試合 日本時間午前4時試合開始)  おそらくフェデラーのファンでベルディヒに対していい思い出のある人は一人もいないでしょう。アテネ五輪、2010年ウィンブルドン、2012年全米、などなど要所要所でことごとくフェデラーを阻んできた、いわば対フェデラー最強の刺客がベルディヒです。  初対戦となったのが04年アテネ五輪。ここでいきなりベルディヒはフェデラーを破ってしまいました。その後はしばらくフェデラーの連勝が続きましたが、ベルディヒがトップ10定着するようになったころから一気に対戦成績が拮抗するようになりました。以下に過去10戦の対戦のみを取り上げた表を載せています(通算はフェデラーの12勝6敗)。  過去10戦5勝5敗。これを過去5年間と期間で縛ればなんとベルディヒが5勝4敗と勝ち越しです。特に2010年のウィンブルドンは衝撃でした。フェデラーが自分の庭として君臨していたその場所で、7年連続決勝進出していた緑の芝で、なんと準々決勝で敗れてしまったのです。それもご覧のとおりほぼベルディヒの快勝に近いスコアでの快挙でした。その後も勝ったり負けたりしながら今に至ります。マスターズでの激突は5回ありフェデラーの3勝2敗とこれも拮抗しています。  なぜこのような対戦成績になるのでしょう。おそらくですが、ベルディヒのパワフルかつフラットなショットがフェデラーのバックハンドを使い物にならなくするからではないでしょうか。そうなるとフェデラーはバックハンドをスライスにしてしばしば対抗しますが、ベルディヒのフォアハンドの強打はこれを見事に仕留めます。  逆にフェデラーが勝つときは必ず試合のどこかで訪れる、ベルディヒが崩れたチャンスを一気についてのものが多い気がします。マドリッドやドバイの決勝はフェデラーが耐えて耐えてベルディヒが自滅して決着がついた試合です。ベルディヒはこのパターンを絶対に避けなければなりません。  おそらく競った試合になるでしょう。試合の勝負どころ、一本の1stサーブの入り、一本のストロークミスが勝負を分ける戦いになるかもしれません。 【ナダル vs ラオニッチ】(第2試合 日本時間午前6時以降試合開始)  ラオニッチが非常に充実した勝ち上がりを見せています。3試合で許したブレイク0、落としたセットも0。それでいてタイブレークはわずかに1回のみ。何から何までラオニッチの思い通りに試合を運ぶことができています。その要因はなんといってもサービスゲームの安定感。コートや使用球に苦しむ選手が多い中で、ラオニッチにとっては逆に理想に近い環境が整っています。サーブは無理して打ち込まなくても回転かければ高く弾んでそれだけで脅威になります。今大会通じてセカンドサーブのポイント獲得率がなんと7割に達しているという驚きの数字が出ているのです!サービスゲームが安定すればそれだけリターンゲームで決めに行けます。相手もストロークでミスしてくれるのでラオニッチにとってストローク面の不利は小さくなっているはずです。ラオニッチは逆に196㎝あるのでバウンドの高さもさほど気になりません。  対ナダルはこれまで0勝5敗。今回は初勝利を挙げる絶好のチャンスです。サーブを攻略されどうしても途中でブレイクを許してしまうのでこれまでナダルには歯が立ちませんでした。テニスはブレイクされなければ負けないスポーツ。それを体現するにはまたとないシチュエーションではありませんか。 "I'm here because I want to break through," Raonic says of facing Nadal next. He's 0-5 H2H against Rafa #BNPPO15 pic.twitter.com/hSjRr8yGZv— BNP Paribas Open (@BNPPARIBASOPEN) 2015, 3月 19