先のデ杯シングルス最長試合を戦ったブラジルのソウザが試合中に人種差別的コールを受けたとして日本でもニュースになっていました。デ杯はもともとテニスで一番お行儀悪くすることが許されている大会なので、ある程度の偏った応援は仕方ありませんがそれでも人種差別は許されません。報道を受けてソウザは公式ツイッターでこのようなメッセージを発表しました。 “Para terminar con esa charla mis queridos Hermanos! No paso nada, se quedo todo en la cancha, merecieron ganar mis amigos argentinos.” “Se portaron muy bien toda la gente desde el Viernes hasta Lunes! Gracias Argentina por nos recibir tan bien!!”  スペイン語を直接日本語に訳すことは私にはできません。しかしこれはほとんどの外国語に通用するのですが、google翻訳などの翻訳ソフトの助けを借りてこれを英訳してみると大体の文意を理解することができるようになるので、ぜひ皆さんには覚えてほしいテクニックです。 “To end this talk my dear brothers! Nothing happened, was left everything on the court, they deserved to win my Argentine friends.” “Everyone was very well behaved from Friday through Monday! Thanks Argentina for us to receive so well !!”  こうすると皆さん大体の意味がわかるのではないでしょうか。しかしソウザの配慮が身にしみます。ブラジルのテニス協会も特に抗議などを行ったりする予定はないとのことで、今回の件は幕引きを迎えました。だが相手方の配慮に期待するようではもちろんいけません。アルゼンチンはきっちり再発防止に向けて務めてほしいと思います。  この人種差別が遺恨となり、14年の長きにわたって仲違いをしてきたのがセリーナ・ウィリアムズとBNPバリパ・オープン(以下インディアンウェルズと表記)でした。  セリーナは1999年、まだ17歳の頃にインディアンウェルズで初優勝を飾りました。男子だけでなく女子にとってもインディアンウェルズはグランドスラムに次ぐ権威(かつてティアⅠ、現在はプレミア・マンダトリー)のある大会です。セリーナにとって初めてのティア1優勝でした。直後のマイアミでも準優勝を収め一躍トップ選手の仲間入りを果たしたセリーナは、この年の全米でグランドスラム初優勝を飾っています。  2年後の2001年、この年もセリーナは順調に勝ち上がったのですがここで悲劇が起こりました。準決勝の相手は姉のビーナス。当然地元USAの観客は姉妹対決に期待します。しかしそれを懐疑的な目で見ていたのが当時のトップ選手、デメンチェワでした。「リチャード(姉妹の父)が明日勝つ選手を決めるのよ」。はたして彼女の憶測は当たってしまい、試合はビーナスが試合直前に棄権してあっけない幕切れに。観客達の不満はブーイングという形でセリーナに浴びせられました。  決勝の相手は皆さんの中にご存知の人も多いでしょう、キム・クライシュテルス。普通ならセリーナが応援されるに決まっているはずの対戦カードでした。しかしここでも観客達の怒りは収まらず、セリーナに激しいブーイングや罵声を飛ばして来たのです。その中には人種差別的発言も混ざっていたとのこと。セリーナは不屈の闘志を見せてこの試合を逆転勝ちしたものの、それは彼女のヒールぶりを加速させるだけでした(参照:“What happened at Indian Wells?”)  それ以来彼女達姉妹がインディアンウェルズで試合することはありませんでした。翌週のマイアミは逆にセリーナが得意とする大会で通算7度もの優勝を収めているだけに余計対比が目立ちました。しかし彼女達に残された傷跡はあまりにも大きく、彼女がその出来事を消化するには長い時間がかかってしまいました。  ようやく昨年、セリーナと大会側が和解しセリーナがインディアンウェルズへの参戦を表明しました。しかし昨年度への参加は怪我によって叶わず。今年再び交渉の末、再度の参戦表明へと至りました。そして今年は回避することなくしっかり会場へやってきました。 "It was time. There wasn't 1 thing that told me I should come back" -@SerenaWilliams VIDEO--> http://t.co/AFREMzgz4f pic.twitter.com/Pb7Pwfw11B— WTA (@WTA) 2015, 3月 13  明日初戦を迎えるセリーナ。14年ぶりにIWのコートに立つことになる彼女が日本時間の今日会見を開いています。明日センターコートでセリーナを迎える歓声は、果たしてどんなものになるのでしょうか。