デビスカップの激闘がほぼ終わりました。全結果はこちらから。プレビューと同様に日本戦の記事は後で上げます。  デ杯というのは本当に番狂わせの起きやすい大会です。国別団体戦という特殊な状況、テニスには珍しい露骨なホームアドバンテージ。これらが普段の実力とは異なる力を選手から引き出します。普段のツアーとは別人のように強い選手もいますし、逆に思うように勝てない選手もいます。そして5セットマッチという長丁場。これらすべてが絡み合ってドラマを生み出すのです。  有力選手をそろえたセルビアとフランスは3連勝で、一抜けとばかりに二日目で抜けました。しかしこの2国に関しても簡単な勝ち抜けではなく、セルビアはデ杯4年ぶりの復帰戦となったトロイツキがコリッチ相手に2セットダウンまで追い詰められ、そこからなんとか這い上がって勝利を収めました。フランスはデ杯を大の苦手とするシモンが初戦でストルフ相手に死闘を展開、最終セット10-8という戦いの末振り切ると続く2試合では危なげなく勝利しました。この両国が優勝候補となるでしょう。  大きく有利と見られていたにもかかわらず苦戦したのがベルギーでした。フェデラーとバブリンカを欠くスイス相手に最終試合までもつれたのです。スイス善戦の立役者となったのは22歳の若手ラクソネン。スイスの代表監督ルーティが自らスカウトしてきたともいわれる期待の選手はこの1回戦で一人奮闘、2勝を挙げる大活躍を見せたのです。追い詰められたベルギーはフィジカル面の不安から温存していたゴファンを最後の切り札として使います。期待に応えたゴファンのストレート勝ちでベルギーがベスト8に入りました。  ヒューイットのラストイヤーを飾りたいオーストラリア。長い間ヒューイットが必死に引っ張ってきたチームに若い力が続々と生まれてきました。昨年のプレーオフではキリオスが活躍。今回キリオスは欠場でしたが、先陣を切った18歳のコキナキスがやってくれました。相手国チェコのエース、ロソルをフルセットの末破ってチームに勢いをつけます。残り2勝を稼いだのはこの大会でエースを務めた22歳のトミッチ。2試合ともストレート勝ちを収めてオーストラリアをベスト8に導きました。 #Tomic sends 28-time champion Australia into @DavisCup QFs with win over Czech Republic. http://t.co/N0VlQCET3F #atp pic.twitter.com/SO4m6hVLbf— ATP World Tour (@ATPWorldTour) 2015, 3月 8  オーストラリアの対戦相手は二日目終わって2勝1敗とリードを奪ったイタリアになるかと思われましたが、デ杯に強いカザフスタンが今年も番狂わせを起こしました。エースのククシュキンがセッピを破ると、イタリアはボレリの3連投を嫌ったかエースのフォニーニを投入します。だが最近クレー以外でからっきしのフォニーニは最終セット2ブレイクダウンから追いついたものの、結局及ばず敗退してしまいました。  そしてマレー擁するイギリス。3年ぶりにグラスゴーでプレーするマレーに対して会場は熱狂の渦に包まれました。マレーは初戦のヤング相手に第2セットまでUEわずかに1つという圧巻のプレーを披露。第3セットこそ息切れしたものの危なげなく4セットで勝ち切りました。すると魅せてくれたのが「イギリス第2の男」ワード。イズナー相手に2セットダウンから盛り返し、最終セットのデスマッチへ持ち込みます。ワードはいったんはブレイクを奪われながらも土壇場でブレイクバックに成功するなど最後まで一歩も引かずに戦い抜き、最終セット15-13の死闘を制しました。勢いに乗ったイギリスはダブルスでもマレー兄(ジェイミー・マレー)とイングロットのペアがブライアン兄弟に食らいついたものの、フルセットの末一歩及ばず敗退。  満を持して3日目、マレーが登場しました。相手は初日の雪辱に燃えるイズナー、序盤からストロークの強打をどんどん叩き込んできます。中でもターゲットにされたのがマレーのセカンドサーブ。容赦なくリターンを撃ち込まれてマレーは防戦一方となってしまいました。だがマレーを信じるグラスゴーの観客から大声援が送られる中、7度のBPをすべてしのいでみせたマレーはイズナーがタイブレーク冒頭でDFを冒した、そのたった一つのミスを逃さず第1セットを奪いました。勝負はここで決まりました。  第2セットは素晴らしいロブでイズナーの頭上を抜き去りブレイク。第3セットは再びタイブレークにもつれましたが、このタイブレークもマレーが制して勝利を挙げました。最後はサービスエースで締めたマレー。イズナーや審判と握手を終えるとコートに戻って絶叫。マレーのこの試合にかける思いが伝わってきた瞬間でした。イギリスは準々決勝でフランスと対戦します。 Here's what @andy_murray had to say about #DavisCup after his win today pic.twitter.com/L0loP2rwCi— Davis Cup (@DavisCup) 2015, 3月 8