日曜日、ドバイの予選決勝に臨んだコリッチは最終セットタイブレークの末に敗退を喫しました。本来ならコリッチの今週はなかったはずでした。しかしコールシュライバーが初戦開始前に棄権したことにより、コリッチはラッキールーザーとして本戦に滑り込むことができたのです。  初戦はジャジリを下して勝ち上がりました。迎えた2回戦はバグダティスとの対戦。コリッチは第3セット3-5までリードを許しましたが土壇場でブレイクバック、タイブレークへ持ち込みます。だがタイブレークでも2度ミニブレイクを許してしまい1-4、万事休すかと思われましたがバグダティスは痙攣によって棄権を余儀なくされました。コリッチに2度目の幸運が舞い込みました。  失うもののなくなったコリッチがマレーに挑みました。コリッチの真骨頂は「悪い時はマレー、いいときはジョコビッチ」と昨年本人が大胆不敵なビッグマウスで語ったようにその卓越した守備力。どんなボールも安定してコートに入れる力は18歳と思えないほど見事です。攻のキリオス、守のコリッチと並び称してもいいかもしれません。  今年は下部大会回りではなく積極的にツアーに挑戦しているコリッチ。ドバイ前までの今シーズン戦績は2勝5敗。18歳にしては素晴らしい頑張りを見せていますが、マレーが負けていい相手ではありません。プレースタイル的にもコリッチの完全上位互換であり、むしろマレーが大差で勝つかと思われたのですが…  なんと第1セットはコリッチが3度ブレイクを奪って6-1で先取してしまったのです。マレーの不調とコリッチの好調がかみ合った結果でした。コリッチは思い切りベースラインから下がってストローク、マレーの守備的ラリー合戦に一歩も引かず、逆に前に踏み込んでくるマレーに対して深いボールを送ってミスを誘います。コリッチのボールが浅くなると今度はマレーが攻められなかったり打ち込んでミスしたりしてコリッチを助けてしまいます。マレーは第1セットだけで27個もの凡ミスを強いられました。  第2セットはマレーも必死に踏ん張って粘りましたが、第6ゲームのこのプレーからコリッチが見事にブレイクを奪ってみせます。 Dubai 2015 Hot Shot Coric Watch as Borna Coric utilises all of the tools in his arsenal in this... http://t.co/XsPx3PUW11 #tennisnews— Tennis_RT ❄ (@Tennis_RT) 2015, 2月 27  そのままコリッチがサービング・フォー・ザ・マッチに持ち込みました。最後の1ゲームのプレッシャーはきついものです。0-30と追い詰められ、さらにマレーのスマッシュが炸裂!…だがこれをネットにかけてしまう痛恨のミス。生き返ったコリッチが4連続ポイントを奪って勝利し、18歳にしてナダル(昨年のバーゼル)とマレーを破った恐るべき選手となりました。この勢いで準決勝ではフェデラーに挑みます。  一方、マレーの敗退によって決勝進出で4位以上が確定することになった錦織。しかしまずは目の前の試合とアカプルコ優勝が最優先。今日の相手はドルゴポロフでした。ジュニア時代から練習なども行っていた旧知の仲である二人は激しい戦いを展開しました。長いデュースの末開幕ブレイクで先制パンチに成功した錦織でしたが、粘るドルゴポロフを相手に攻めきることができず一旦は追いつかれてしまいます。  だが直後の第9ゲーム、デュースに持ち込んだ錦織はこのチャンスを逃さずラリーで打ち勝ち再びブレイク。最後きっちりキープして第1セットを先取した錦織は、第2セットでも競った展開を紙一重リードしてこの試合をストレートで終わらせました。勝負を決めたのはこのプレーでした。 Watch: A tennis player's worst enemy? The wind. Can cause problems even for the pros. Just ask #Dolgopolov! #tennis http://t.co/8xPMb45F6m— TennisTV (@TennisTV) 2015, 2月 27  第2セットで錦織が握ったブレイクポイントはこのプレーによって生まれた1本だけ。だが錦織はワンチャンスをしっかり生かしてブレイクを奪ってみせたのです。  錦織は準決勝で2週間前メンフィス決勝で対戦したばかりのアンダーソンと再戦します。メンフィスでは錦織の快勝でしたが、今週のアンダーソンはジョンソンやトロイツキといった難敵を退けて第4シードの意地を見せています、油断はできません。頂点まであと2つ、優勝という結果に花を添える形でキャリアハイ更新の快挙を成し遂げてほしいと願っています。