来週行われる3大会をチェックしていきましょう。250大会がメンフィスとサンパウロで、500大会がロッテルダムで行われます。この3大会に参戦するメンバーはある程度の法則性にもとづいています。欧州が拠点の選手はロッテルダムやその次のマルセイユへ、アメリカが拠点の選手はメンフィスやその次のデルレイビーチへ。クレーが得意な選手はサンパウロや来週のリオデジャネイロ、さらに翌々週のブエノスアイレスへ。といった参戦の仕方をするのです。 【メンフィス】(錦織参戦)  メンフィスはかつてATP500大会でした。しかし残念ながら客入りが悪く、またアメリカからスター選手が消えたこともあってATP250に格下げとなってしまいました。ですが今でもアメリカハードコートシリーズの幕開けとしての役割は果たしています。この後デルレイビーチ、アカプルコと続くのです。  錦織は堂々の第1シード。第2シードはアメリカのトップ選手、イズナーかと思われていましたが錦織と同じくアメリカを拠点とするアンダーソンがWCを貰って参戦、第2シードとなりイズナーは第3シードとなりました。250大会としてはトップ20が三人いるのはそこそこの充実度で、決して穴場大会とは言えません。  錦織は順当に行けば先日の記事で取り上げたジャジリ、準々決勝が昨年の決勝で対戦した第5シードのカルロビッチ、準決勝がイズナー、決勝がアンダーソンか第4シードのドルゴポロフということになります。とはいっても彼らが全員順当に勝ち上がるとはいかないもので、準決勝以降では第6~8シードのジョンソン、ベッカー、マナリノや、イズナーブロックにいる2010年覇者のクエリーと対戦することになるかもしれません。  カルロビッチ→イズナー→アンダーソンと続いた場合、ビッグサーバー街道と名づけてもいいぐらいの対戦カードとなりますね。彼らとの戦いは錦織自身「気持ちが乗ってこない」とあまり得意ではないようですが、逆に苦手でもありませんし、またラリーが続かないので体力をセーブできる相手でもあります。ここでしっかり250ポイントキープして気分よくアカプルコへ臨みたいものです。 【ロッテルダム】  欧州インドアシリーズの山場、ATP500のロッテルダムです。欧州を拠点とする選手達が勢揃いするので、毎年参戦者が豪華なことで知られています。過去の優勝者を見てもフェデラー、マレー、ベルディヒ、デルポトロなどなどトップ選手がズラリ。そして今年も4人のトップ10選手が集結しました。下位シードももちろん充実しており、現在世界ランク20位のモンフィスがノーシードとなってしまうほど。  上位シードの組合せはマレー【1】×ベルディヒ【3】、バブリンカ【4】×ラオニッチ【2】となりました。がこの4人が勝ち上がるには色々山を越えていかなければなりません。中でもきついのは昨年優勝者のベルディヒでしょう。いきなり初戦がヤノビッツ、そして2回戦が現在絶好調のセッピとかなり苦しいドロー。さらに下位シード・アグートのブロックにはモンフィスまでいます。  第5シードのディミトロフを引き受ける羽目になってしまったのはバブリンカ。だがこのディミトロフもいきなり2回戦でゴファンとの対戦が予想されており、どの選手にとっても1回戦や2回戦ですら決して簡単に勝たせてくれない凝縮されたドローとなっています。グルビスが初戦でいきなり弟弟子(コーチが同じ)のティエムと対戦するのもちょっとした見所です。  最後に上位陣のポイント入替をチェックしておきましょう。マレーとベルディヒは昨年分を先に失効させて、その時代わりに計算に入るポイントを入替Pとしています。 【サンパウロ】  南米クレーシリーズの第2弾はブラジルのサンパウロで行われるクレーの250大会。正式名称「ブラジル・オープン」。比較的新設された大会の多い南米シリーズの中で、ブラジル・オープンは2001年から続いている大会です。2011年には大会開催地を変更してから現在のサンパウロで開催中。2013年には怪我からの復帰途上にあったナダルが参戦し、見事優勝を勝ち取ったことでも知られています。  クレーの大会と言うだけあって伝統的に優勝者はアルマグロ、ロブレド、フェレーロなどのスペイン勢。過去3度優勝しているアルマグロは今年はノーシードからの参戦です。この他にもスペイン勢は第1シードのF・ロペスや第2シードのロブレドなど計7人を送り込んでいます。  近年はトップ選手の優勝が多かった大会ですが、昨年優勝者はこれがツアー初優勝となったアルゼンチンのデルボニス。となると今年も誰かが台風の目となるかもしれません。カレーニョ、シュワルツマンといったクレーを得意とする若手陣にも期待がかかります。