大会も大詰めの第11日、女子準決勝の2試合と男子準決勝の1試合が行われ、女子決勝は第1シードのセレナ・ウィリアムズ(アメリカ)と第2シードのマリア・シャラポワ(ロシア)の実力者対決に決まった。  頂点まであと二つ、ここまで来ると、実力者たちは机上の予想では考えられない力を発揮し始める。シャラポワはこれまでマカロワには5戦して5勝。しかし、昨年の全米オープンでも4強入りしているマカロワはここまで5試合で失セット0と完璧なテニスを披露、とりわけシモナ・ハレプ(ルーマニア)との準々決勝は6-4、6-0とスキなしだった。一方のシャラポワは2回戦で予選上がりのアレクサンドラ・パノワ(ロシア)にマッチポイントまで握られながら生き延びてきた。  コイントスに勝ったマカロワがレシーブを選んだ。試合前、記者席の机には物を置けないほどの強風。シャラポワのサーブの弱点を見越し、立ち上がり一気に崩そうという意図は明らかだ。第1ゲームのシャラポワのサービスゲームはダブルフォルト絡みで15-40と、マカロワの作戦は的を射ていたが、シャラポワも立ち上がりの重要性を十分に意識し、がむしゃらに強打対決に応戦した。深いリターンで攻めこむマカロワに対し、シャラポワは相手フォアサイドを執拗にえぐった。4度目のデュース、17本の長いラリー展開でシャラポワがバックハンドのウィナーを決めたのが大きい。第1ゲームの所要時間10分、サービスキープしたシャラポワはさらに攻めた。第2ゲーム、30-0からデュースに持ち込むと長いラリーを制してブレーク、2-0の出だしで、先ずは相手の思惑を打ち砕いた。  年齢は1歳違いのロシア対決。マカロワは挑戦者の気持ちを続けた。第4ゲーム、15-40と追い込まれたマカロワは、そこから意地を見せてブレークポイント3本を食い止め、更に第6ゲームでもブレークの危機を脱すると、第7ゲーム、この日3本目のダブルフォルトを生かしてブレークバック。だが、シャラポワの集中力の高さは半端ではなかった。続く第8ゲーム、打ち合いから4本連続でストロークのウィナーを奪って再びブレークし、第9ゲームをラブゲームで切り上げた。  この日のシャラポワは計7本のダブルフォルトを計上したが、パワーと気迫を前面に押し出し、第2セットも一気に4-0まで持ち込んで試合を決めた。ポイント数で70と49という予想外の圧勝、全豪では3年ぶり4度目の決勝進出を決めた。  もう一つの準決勝は米国の新旧対決。ノーシードながら勝ち上がった19歳のマディソン・キーズがセレナ・ウィリアムズに遠慮なく攻め込んで第1セットを競り合ったが、セレナの強打が徐々に精度を増して若手のミスを呼び込んだ。キーズは第2セットにマッチポイントを8本も凌ぐ抵抗を見せてスタンドを沸かせたが、最後は女王のパワーにねじ伏せられた。この勝利でセレナは優勝した2010年以来5年ぶりの決勝進出を決め、週明けの世界ランク1位の維持を確定させた。決勝で対戦するシャラポワとの戦績はセレナの16勝2敗、最近では15連勝と大きくリードしている。  夜に行われた男子準決勝は、第6シードのアンディ・マレー(イギリス)が第7シードのトマーシュ・ベルディヒ(チェコ)を倒し、全豪では4度目、グランドスラムでは優勝した2013年ウィンブルドン以来となる決勝進出を決めた。大会第12日は男子シングルス準決勝の残り1試合が行われ、女子決勝は31日、男子決勝は2月1日に行われる。 文:武田薫