錦織の敗戦については沢山のブロガーさん方が触れているのでここでは多くは語らないことにします。とりあえず言えるのは今回の錦織にグランドスラムを取らせるほど上の世代は甘くないということではないでしょうか。らしくないミスが多かったです。  しかもバブリンカは錦織を研究していました。何度となく錦織のショットを読んで的確に打点に入り恐ろしい返球を繰り出してきましたし、錦織がミスを重ねやすいフォアハンドにボールを集めてポイントを稼ぎました。錦織の十八番、バックハンドのクロスラリーも強烈な片手バックで粉砕してしまいました。勝ちパターンを失った錦織はネットプレーに活路を見出そうとしましたが、付け焼刃のネットプレーはタイブレークで…  ラオニッチもジョコビッチに完敗でした。先の4回戦でもディミトロフがマレーに封じられています。次世代と言われて持ち上げられていますが、キツい言い方をすればBIG4が落ちてきたおかげもあって伸びてきたのが彼ら3人なわけで、ツアーファイナルズでもそうでしたが越えられまいとする側が奮起してしまうとまだ歴然とした差がある…そう思えてしまいます。  でも越える山が大きいからこそ、それに挑む挑戦者・錦織を応援したくなるんですけどね!プロテニスの1年間は長いです、これからいくらでもリベンジのチャンスはあります。今日の負けを大きな糧にしてほしいものです。 【準決勝第1試合 ベルディヒVSマレー】  彼らの準決勝はベルディヒが昨年末から新しく契約した新コーチ「ダニ・バルベルド」が絡んで興味深い対決となるでしょう。彼はその2週間前まで5年間に渡ってマレーのコーチを務めていた人物で、マレーの旧友でもあるのです(詳しくは当ブログの過去記事を参照)。テニス記者達がツイッターで話題にしていたのはこんなことでした。 Question raised here in the media room. Any other coaches who are younger than the players they're coaching? Dani a year younger than Tomas— Reem Abulleil (@ReemAbulleil) 2015, 1月 27  年下コーチなんて確かに聞いたことありません(現在36歳、TOP100最年長のハースはかつて年下のコーチの元でプレーしたことがあったようですが)。まだ29歳のベルディヒが1つ年下のダニをメインコーチに据えるなど確かに前代未聞でしょう(逆にマレーにとってダニは1つ年上)。しかもマレーはレンドルなどほかのコーチもつけた上で親友としてダニをコーチに据えていたのに、ベルディヒはいきなりヘッドコーチで雇ってしまいました。  対戦成績は意外にもベルディヒが6勝4敗でリードしています。だが10試合の中で最も重要な対戦だったと思われる2012年全米準決勝はマレーが勝利しているのです。この試合はハリケーンが迫りくる中で行われ、ものすごい強風が吹き荒れていました。ベルディヒはまともにサーブも打てずマレーの前に敗れ去り、マレーは決勝でジョコビッチを破って悲願のグランドスラム初優勝を成し遂げました。グランドスラムでの対戦はそれ以来となります。ベルディヒは何が何でもリベンジを果たさなければなりません。  過去の対戦でベルディヒのサーブとストロークがマレーの守備網を切り裂くことができることはわかっています。フラット気味に繰り出されるベルディヒのフォアハンドを受けきるのはマレーにとってすら大変なことなのです。となると大切なのはやはりメンタルか。マレーに攻撃を潰された時、自分が痛いミスをした時、プレッシャーのかかる場面、次のポイントに同じような姿勢で向かっていけるのか。過去のベルディヒをあと一歩のところで阻んできた要素をはねのけることはできるのか。ナダル戦で見せてくれたような会心のプレーを最後まで続けられれば、2010年ウィンブルドン以来となる悲願の決勝進出が見えてきます。  こちらの記事(英語)には両者の対決を控えたダニのインタビューが掲載されています。マレーとの別れや今夜の準決勝を前にしての心境を語ったインタビュー、最後はダニのこのようなコメントで締められています。 “Of course. I will be very happy if Tomas wins. I will be a bit gutted for Tomas if he loses but at the same time I will be happy that Andy is in the final.” 両者の激闘に期待しましょう!