【錦織×バブリンカ】(日本時間12時以降試合開始)  全米準々決勝の再現です。皆さん覚えていると思います。錦織が4時間15分の死闘を制して準決勝に進出した、あの試合です。    スタン・バブリンカ。世界ランキング4位。ディフェンディング・チャンピオンとして迎えた全豪でしっかりベスト8に進んできました。全豪のポイントを失うとランキングが暫定で10位に落ちるとかで一発屋と称す向きもあるようですが、個人的にはそのような見方は反対です。一昨年の全米以降6大会中5大会でベスト8進出を決めています、マスターズのモンテカルロでも優勝しています、デビスカップも制しています。要するに大きな大会でしかモチベーションが上がらないのでしょう。今年は前哨戦のチェンナイで連覇を達成するなど好調で現在9連勝中。  全豪では組合せにも恵まれ3試合連続のストレート勝ち、4回戦のガルシアロペス戦もあっさり2セット連取したものの第3セットで18個ものUEを量産し自滅、昨年のデビスカップ決勝から続いていた21セット連続奪取が途切れてしまいます。第4セットもタイブレーク0-5まで追い詰められたバブリンカでしたがバックハンドのドライブボレーを決めて逆襲開始。SPを5本しのいだ末なんとか4セットで勝利を収めています。  バブリンカの駄目なパターンはミス多発による自滅。この4回戦は危うくそのパターンに陥りかけました。錦織戦ではバブリンカがどれだけ凡ミスを叩くかに注目してみるのもいいかもしれません。ミスが増え始めたらチャンスです。  一方の錦織。フェレール戦でなんとストレート勝ち、世界も日本も驚かせました。シモン戦での消耗がたたったのかフェレールの調子が悪くミスを量産(44個!)してくれたことも錦織を救いましたが、それを差し引いても常にラリーを支配したのは錦織でした、フェレールにわずか14本しかウィナーを許さなかったのです。試合を見た人は錦織のストロークの質がまるで違ったのがわかったのではないでしょうか。ラケットを全力で振り切り深くて威力のあるストロークを連発、フェレールの返球が甘くなったと見るやオープンコートに叩き込んでウィナー。  だが錦織もフェレールと同数の44個の凡ミスを犯しました。攻めた結果なので仕方ないとも言えるのですがこれで勝てるのはここまでです。これからはもっと精度を上げていかなければなりません。  バブリンカと戦う点において重要なのは、錦織の基調であるバックハンドのラリーが効かないこと。バックハンドでラリーをしながら角度をつけて相手の甘い返球を作りたい錦織の基本的戦術はバブリンカの強烈なバックハンドで返されてあまり効果を発揮しません。フォアバック関係なく両方から攻め込み、ベースラインでの打ち合いで限界まで深いストロークを入れ相手の返球を甘くする必要があります。角度をつけるショットももちろん必要ですが、甘いとカウンターを食らいますので読まれないタイミングで打ったり、よりキツいコースに入れていく必要があります。それでいて極力ミスは避けなければならないのでとても厳しい戦いです。  あとは今回の錦織を見ているとやはりサーブが重要かなという気がします。強化されたサーブは入りさえすれば錦織の大きな武器となっているのですが、ちょっと調子に波があり、入らないときはかなりキープに苦しんでいます。これはバブリンカにも同様の傾向が見られるので、両者の1stサーブの入りが一つ勝敗を分けるポイントになるでしょう。  バブリンカがエラーマシーン状態に入って凡ミスを量産してくれない限りは全米と同様の死闘になるはず、最低でも4セット以上の戦いとなるでしょう。ここを錦織がどう乗り越えていくのか、悲願のグランドスラム優勝に向けて絶対負けられない決戦です!