錦織は第1セットと第2セット以降が別人でした。ドディグ戦も同じようにスロースターターでしたし今大会はもうずっとこうなのかもしれません。第1セット終わった時はどうなるかと思ったものの第2セット以降はそれが嘘のような文句なしの展開でした。  錦織は全米でもラオニッチ戦バブリンカ戦と立ち上がり非常に悪かったのですがジョコビッチ戦では修正できたので、この全豪でもスロースターター癖を修正してくれることに期待したいものです。  錦織の相手を決める一戦、フェレールVSシモンはフェレールが勝利しました。お互い筋金入りのストローカーがラリー戦を展開しましたが、やはりフェレールのほうが攻める分打ち勝てます。あっさり2セットを先取すると第3セットも5-4でフェレールのサービング・フォー・ザ・マッチ。しかしフェレールはミスを連発して15-40としてしまうと痛恨のDFで追いつかれます。足も痛めていてもう限界に見えたシモンでしたがこのチャンスに奮起しました。次のゲームをあっさりとキープすると次のフェレールサーブでは動揺したフェレールから一気に4ポイント連取して第3セットを取り返したのです。  第4セットは再びフェレールがリード、今度は2度ブレイクして5-1とリードしました。今度こそ勝利は間近に見えました。それでもシモンはここから再び反撃します。フラット気味のストロークを左右に打ち込んでフェレールを圧倒!キープ、ブレイク、キープ…驚きのカムバックにマーガレット・コート・アリーナの観客も大声援でシモンを後押し、そしてとうとう5-4からのフェレールサーブもブレイクして5-5に!この試合を見ていた人全てにとって信じられない光景が展開されていました。最後はフェレールがタイブレークの末に3度目のMPで振り切って4回戦進出を決めたものの、フェレールのほうも終盤は疲労困憊でした。足を引きずっていたのでどうしたのかと思ったら爪を割って流血していたとは…まさに両者全てを出し切った素晴らしい死闘でした。 Huge relief for No.9 seed David Ferrer as he is FINALLY able to overcome Gilles Simon 62 75 57 76 for spot in R16. pic.twitter.com/hkDclAfjkw— ESPNTennis (@ESPNTennis) 2015, 1月 24  さあ第7日、ボトムハーフの4回戦です。4試合しかないので全試合プレビューします。 【ベルディヒ×トミッチ】  キリオスの影に隠れていますが、トミッチも後輩に負けじと4回戦まで勝ち上がってきました。前哨戦の錦織戦では完敗だったトミッチでしたが全豪ではそれが嘘のような勝ち上がり。2回戦でシード選手のコールシュライバーを下すと3回戦ではグロースとの地元対決をストレートで勝利して4回戦に進んできました。  トミッチにとって全豪4回戦は3年前に並ぶキャリアハイタイの成績ですが、3年前のことなんて思い出したくもないでしょう。フェデラーにやりたい放題されて惨敗に終わったのです。それから3年、自らの成長を見せることはできるでしょうか。対戦相手の第7シード・ベルディヒとはウィンブルドンで2度の対戦があり2度とも敗れています。しかもベルディヒはここまで1セットも落としておらず好調です。地元の声援を味方につけるトミッチが番狂わせを起こすことはできるのでしょうか? 【ナダル×アンダーソン】  この試合はナダルの勝利に終わる可能性が大きいでしょう。現在世界15位のアンダーソンですが、格上のTOP10プレイヤーには弱く勝率.159と全く歯が経ちません。そのためかグランドスラムでも5回のベスト16がありながらベスト8は1回も経験ありません。  ナダルは2回戦のフルセットマッチでその状態が心配されましたが3回戦は圧勝しています。今大会初めて当たるシード選手がアンダーソンとなるナダルがしっかりその実力を見せつければ、ベルディヒ戦に向けて視界良好となるでしょう。 【マレー×ディミトロフ】  いよいよ実現しました、ボトムハーフ4回戦最大の注目カード。対戦成績はマレーの4勝2敗ですが昨年はディミトロフが2勝1敗と勝ち越した関係にあります。直近はパリMSの3回戦で対決しマレーがストレートで勝利、最終戦出場を決定させました。  マレーは強いです。ディミトロフが奮起できなければ、普段通りのプレーをするだけでマレーが勝利を手にするでしょう。ディミトロフの勝機はそのフォアハンドにかかっています。どれだけフォアでマレーを追い詰めることができるか、回り込みもどんどん使っていくべき、とにかくラリーで打ち勝つことで勝利が見えてきます。逆にラリーでマレーを崩せずバックハンドのミスだけが増えていくような状況になればマレーの快勝に終わる可能性が大きいです。過大評価とか伸び悩みとか最近よく聞こえてくるディミトロフが、真の力を見せることができるのか、そんな4回戦です。 【キリオス×セッピ】  4回戦はフェデラーVSキリオスが実現か?それを阻んだのがセッピでした。第4セットタイブレーク、劇的なパッシングショットでフェデラーに止めを刺し自身2度目の全豪16強。セッピも低迷しているとはいえ元はトップ20プレイヤーです。自身初のGSベスト8へ気合十分で向かってくることでしょう。  だがこの組合せは昨年の全米1回戦で実現してキリオスが勝利しています。ストロークでまともに撃ちあえばキリオスがかなり有利です。大会前のキリオスは故障明けで、万全ではないと自らコメントしていました。ベストを尽くすが、勝ち上がれるかはわからないと。それでも蓋を開けてみれば危なげない勝ち上がり。シード選手のカルロビッチも4セットで下し、フェデラーもいなくなったとなればもう行けるところまでいくしかありません。  キリオスはムラッ気の多い選手で、集中力がMAXのときは手がつけられませんが明らかに気が抜けている時もあります。セッピはその瞬間を逃さず攻めこむことができるでしょうか。