早速第1日の試合カードを見てみましょう。注目はこの2試合。 【ナダルVSユーズニー】(ロッド・レーバー・アリーナ 第3試合)  全豪のメインコートはロッド・レーバー・アリーナと呼ばれます。そのコートで男子最初の試合を戦うのが前年準優勝者のナダルです。だが今年まだ勝ち星のないナダルの相手は1回戦の相手としては確実にハズレと言ってよいでしょう、元世界8位のユーズニーを引いてしまったのです。  06年まで対戦成績は拮抗していたものの、07年以降はナダルの8勝1敗で計11勝4敗。「通常なら」ほぼ問題ない相手です。ユーズニーの側も40位台までランキングを落としたのは09年以来であり、さすがに32歳という年齢を感じさせます。懸念材料はやはりナダルの身体の状態でしょう。バーゼル終了後離脱した直接の原因は盲腸でしたが、それ以外にもナダルの身体には様々な負担が蓄積されています。昨年の夏痛めて全米欠場の原因となった右手首に加え、長年の激闘によって傷つき、オフに幹細胞治療を行うなどした背中など、かなりの満身創痍です。  ドーハでは第1セット先取したにも関わらず、第2セットを自らの失速で落とし、第3セットで対戦相手ベレールを乗せてしまいました。初戦からいきなり負けることはないと思いますが、実力者との初戦で現在のナダルの状況が推し測れることでしょう。 【伊藤竜馬VSクリザン】(日本時間9:00開始WOWOW生中継)   伊藤にとって全豪は相性の良い大会です。グランドスラムで挙げた通算3勝のうち2勝がこの全豪。12年13年と2年連続での初戦突破でした。その後GS本戦での勝利は途絶えていましたが昨年全米で久しぶりの勝利を挙げ、ランキングもトップ100に復帰。前哨戦のチェンナイでも1回勝利を収めており、いい感じに本戦に臨めそうです。  ただしクリザンは伊藤より数段格上の相手です。「錦織世代」のサウスポー、クリザンは勢いに乗っています。昨年は大ブレイクした2012年に次ぐ活躍を見せ、錦織やナダルといった強豪を各地で撃破し、2度目ツアータイトルも獲得しています。今シーズン初戦となったブリズベンでもドルゴポロフを破る活躍で見事全豪シードを獲得しました。順当なら3回戦でマレーに挑戦です、そこまでは絶対負けたくないでしょう。  もう一つ、映像は見られないでしょうが個人的に注目したい試合があります。 【ヴェセリVSトロイツキ】 なんと前週の大会優勝者同士の対決。共に予選から勝ち上がって優勝した二人です。チェコの21歳、ヴェセリはオークランドで見事にツアー初優勝を成し遂げました。198cmの長身を活かした強力なサーブとフォアバック両方から強打が打てるストロークが武器。基本的には本国の先輩ベルディヒに近いスタイルかもしれません。この活躍で昨日発表されたランキングはキャリアハイを20位以上更新。なんと39位まで上がってきました。ブロックは先輩ベルディヒのブロック。2回勝てば先輩に挑戦できますが果たして勝ち進めるでしょうか。  一方のトロイツキはシドニー優勝でツアー2勝目。かつては世界最高12位を誇ったトッププレイヤーで、ジョコビッチと共にセルビアのデビスカップ優勝にも貢献しています。だがドーピング検査に必要な血液サンプルの提供を拒否したとして1年間の出場停止処分を下されたのです。事の真相は分かりませんが、離脱中も親友ジョコビッチらのサポートを受けて練習を続け昨年ツアーに復帰。チャレンジャーでの活躍もあってランキングをトップ100に戻した直後の優勝でした。この優勝でランキングを57位まで戻しています。  勢いに乗った二人の対決を制するのはどちらか?勝者は2回戦でシード選手のL・マイヤーに挑むことになるでしょう。 Jiri Vesely has won his first @ATPWorldTour final at the Heineken Open. More here: http://t.co/hev46yVtGg pic.twitter.com/1plYnQuJ07— Sky Sports Tennis (@SkySportsTennis) 2015, 1月 17  この他、ボトムハーフの上位シード勢が続々と登場。フェデラー、マレー、ベルディヒ、ディミトロフらが初戦を戦います。ベルディヒやディミトロフを差し置いて2番目に大きいコートであるマーガレット・コート・アリーナの試合に起用されたのは地元のキリオス。昨年の活躍によって大きな期待がかかっていますが、2年連続初戦突破はなるでしょうか。  忘れてはいけないのがヴェセリとキリオス以外の若手陣。コリッチ、コキナキス、トンプソン(錦織とクーヨンで接戦を演じたオーストラリアの若手です)、シュワルツマン、クライノビッチなど沢山の若手が初戦を戦います。多くは初戦で敗れてしまうでしょうが、一人でも多く勝ち残って世代交代の流れの中に入っていって欲しいものです。