錦織の準決勝の相手は「宿敵」ラオニッチ。昨年も4度戦い錦織が3勝1敗と勝ち越したものの、いずれも激戦でした。この先も長い付き合いになるであろうライバルと2015年最初の大会で早くも激突。ここまでの勝ち上がりは錦織に利がありました。ラオニッチの準々決勝はグロースとの一戦でしたが大いに苦しめられ、最終セットタイブレークで辛くも勝利していたのです。  第1セット、錦織は素晴らしいプレーを見せます。相変わらず好調なサーブを軸に盤石のサービスキープを展開します。ポイント獲得率だけ見たらどっちがビッグサーバーかわからないレベルでした。ストロークでも堅実さと攻撃性を両立した見事なプレーで、凡ミスはわずかに2本逆にウィナーは13本という完璧なスタッツ。だがそれでもブレイクは取れませんでした。ラオニッチが錦織のBPの度に見事なサーブで凌いだからです。だがそのプレーはタイブレークで生きました。錦織はラオニッチから奪えた1本のミニブレイクを逃さずセットアップ。錦織は1本もミニブレイクを許さなかったのです。  第2セット入ってしばらくして錦織のプレーが落ちてきました。2セット続けてBPのピンチを迎えます。だがここをしっかり凌いでブレイクを許さなかった錦織は再びキープのペースを上げていきます。ラオニッチも走り回って錦織のサーブを破ろうと奮闘し、自らのサーブはいとも簡単にキープするものの、錦織も一歩も引きません。第2セットもタイブレークに入りました。息詰まる戦いは4-4へ。だがここで錦織が痛恨のダブルフォルト…それでも錦織には挽回のチャンスが与えられました。ラオニッチのSPでリターンから攻めこみ、チャンスボールを叩いて…ボールを抑えきれず大きくアウトしてしまい錦織はこのセットを失いました。  第3セットも両者キープを続けます。錦織にもラオニッチにも時折ビッグプレーが飛び出し観客を沸かせます。BPを握られた第2セット序盤を除けば錦織のサービスゲームは最後まで完璧でした。だがラオニッチのサーブはそれ以上に脅威でした。最終的に記録したエースの数はなんと34本!錦織はそもそもBPすら3回しか握ることができませんでした。これではブレイクできません。  自分がブレイクされなければ負けることはないのがテニス。二人の戦いは試合通して一度もブレイクを許さないまま最終セットもタイブレークに入ったのでした。タイブレークでの錦織は3本連続でセンターへの1stを叩き込み快調でしたが、4本目の1stをなんとか返されると、またしてもフォアハンドをふかしてしまいラオニッチにミニブレイク。最後はリターンエースを叩きこまれて敗戦となりました。  ビッグサーバーとやるときのミスの怖さというものを改めて思い知ったのではないでしょうか。1本のミスも許されない、今回錦織にかかるプレッシャーは相当のものだったはずです。同時に、ラオニッチのサービスゲームを破るにはもっと揺さぶりが必要だと痛感したかもしれません。敗戦によってまた新たな戦略が生まれ、そうして切磋琢磨して成長していくのでしょう。  逆に収穫もありました。今回ラオニッチが奮闘したのは34本のエースを記録したサーブだけではありませんでした。ストロークでもコートを走り回り、見事なショットを何度も打ち込みました。既にかなり洗練されてきている強打だけでなく、繋ぎのショットやバックハンドもかなりレベルが上がりつつある印象を受けました。だが錦織のサーブは最後までブレイクを許さなかったのす。過去2戦改善が指摘されてきたサーブが強敵相手にもしっかり通用したことは間違いなく好材料であり、全豪に大いに期待したいものです。今回の結果には錦織自身も手応えを感じているようです!  まだ錦織にはドルゴポロフと共に勝ち上がったダブルスの決勝が残っています。決勝は今日の15時30分から。相手はマレー/ピアーズ組。このマレーというのはジェイミー・マレーつまりマレーのお兄さんです。錦織初のダブルスタイトルはなるでしょうか? (おまけ)  アジアカップと全豪は期間丸かぶり。どちらもオーストラリアで行われるだけでなく、1月20日のヨルダン戦はメルボルンで行われます。目指せアベック優勝!! Come on Nishikori!!!@BrisbaneTennis pic.twitter.com/OypHTI0AcV— MAYA YOSHIDA (@MayaYoshida3) 2015, 1月 10