ドーハ大会の1回戦でロソルを相手にストレート勝ちを収めたカルロビッチ。この試合でも当たり前のように27本のエースを積み上げたカルロビッチのエース数は9022本となり、とうとう9000本を突破したのです。  これがどれぐらい凄い数字か、表で確認してみましょう。  恐るべし!カルロビッチはわずか483試合でここまで辿り着いたのです。1試合当たりのエース数はなんと18.6本で他の追従を許しません。1位のイバニセビッチのほかクライチェクやルーゼドスキーなど90年代を代表するビッグサーバー達が多数ランクインしてるにもかかわらず彼らを凌ぐ勢いでエースを積み重ねています。  カルロビッチがどんな選手か知らない方のために直近の映像を用意しておきます。33本のエースを打ち込んでフェデラーを追い詰めた昨年のバーゼル準決勝です。  映像を見られた方はどんな選手か分かったと思います。211cmの巨体を使って打ち込むサーブが全て。ストロークはとても苦手です、ストロークよりフットワークが苦手と言ったほうが正しいのかもしれませんが。そのためサーブを返されたらネットに詰めて勝負を決めにいきます。返球が甘いことが多いのと、リーチの長さでポイント率はかなり高いですが決して凄く上手いわけではありません。でもそれで勝ててしまうのです。昨年にしても優勝こそなかったものの錦織に敗れたメンフィスなど3大会で決勝進出しています。  2月末には36歳になりますが、果たしてカルロビッチはあとどれだけのエースを積み上げるのでしょうか。ちなみに昨年のエース数は1185本。イバニセビッチを抜き去ることは決して不可能ではないでしょう。  せっかくなのでこれより下も見てみましょう。TOP50から現役を抜き出しています。  この中でベルディヒより1試合あたりのエースが多い選手は一般的にサーブが武器の選手として分類されることになるだろうな、というのが個人的な印象。しかしやはり1試合あたりが10本越えとなると一気に少なくなりますね。  12位のイズナーはタイブレーク勝率歴代3位を誇るビッグサーバー。ウィンブルドンにおけるツアー史上最長試合(11時間5分、最終セット70-68)で知られている選手です。208cmのイズナーはカルロビッチよりは動ける選手です。カルロビッチと違い、フットワークに難があるもののストロークも頑張ってこなします(例:2012年ジョコビッチ戦)。それが最高位9位、そしてもう4年以上安定してトップ20選手として戦い続けている理由でもあります。  24歳にして43位にランクインしているのはお馴染みのラオニッチ。実はラオニッチは身長自体は196cmしかありません。しかし手足の長さは相当なもので、最終的なリーチの長さはイズナーと同等に近いと考えてよいでしょう。ラオニッチもまたストロークを磨いています。フットワークが辛い以上、やはり長期戦は避けたいので一撃必殺のフォアハンドの強打を磨いているのがラオニッチの特徴。また当初は本当に弱かったバックハンドも最近は強化されてきているようです。  この二人の例を考えると、カルロビッチという選手が特殊な立ち位置にいるのがよくわかると思います。90年代にはこのような選手はそれほど珍しくありませんでした。だが現代においては本当に稀有な存在です。    ところで、この表にはマレーとジョコビッチはいますが、ナダルがいません。ナダルはどこでしょう。ATP公式を見ると99位にナダルがいます。1試合あたりのエース数はわずか3本です。もちろん主戦場がクレーコートなのもエース数が少ない理由の一つですが、それでもナダルは2010年以降サーブが強化されてなおこの数字なのですから驚き。ちなみに錦織は254位にいます。1試合当たりのエース数は3.1本で、ほぼナダルと同じ傾向です。