というわけでご無沙汰ぶりの解説講座。 今回はITFハンドブック08版(日本語訳&公式サイト掲載中)を参照に、ルールと技術論について。 車いすテニスには「大きなルール変更点」はありません、前回で上げた2バウンドルールぐらいでしょうか。 でも、それが即健常者の行うテニスと同様の行為ができるとは限りません。 第1にサービスに関する部分から記していきたいと思います。 上記ハンドブックの4-1、プレー上のルールより。 )サービス  サービスは下記のとおりに打たなければならない。   i サービスを始める直前に、サーバーは静止しなくてはならない。サーバーはその後ボールを打つ前にワンプッシュしてもよい。   ii サービス中は全ての車輪もベースラインやセンターマークとサイドラインの仮想延長線上に触れてはならない。   iii クァードの選手が通常の方法でサービスを行えない場合、他者がボールを落としてそれを打ってもよい。 一見すると何ら通常と変わらないルールですが、これが結構クセモノです。 車いすの場合、俗にチェアワークと言われる技術を使うことで、足の代わりに車椅子を制御します。 ここで大きな問題になってくるのは「車いすはそのままだと停止できない」ということ。 介護施設などで入所されている身内が居る方や、ボランティア等で車いすに触れた経験のある方ならわかると思います。 車いすには、その大きな車輪が完全に止まるためのストッパーが付いています。 しかし、テニスにかぎらず障害者スポーツで「ストッパーを使用したまま競技を行える」ような場面は意外と少なかったりします。 (ストッパーその物は利用者さん自信が使用できる程度のロック形式で、車輪前方に鉄の板を当てることで動作を静止させる事ができます) で、ここからが技術論。 テニス等で競技者は「静止」を求められます。しかし、構造上「大車輪へのストッパー」は不利になるなど、問題点が多すぎます。 又、テニスの場合は打った直後から「チェアワーク」が開始されます。(一般のテニスと同じようにコート中央に戻ることが基本です) そこで、ストッパーの代わりになるのが、補助輪。後部の補助輪は固定に近い形ですが、前方の2輪を直角にすることで静止することが出来ます。 と同時に、ストッパーが掛かっていないため、すぐにチェアワークを駆使することが出来ます。 といったところで、次回はそのチェアワークやショットを支える筋肉についてのお話をしたいと思います。