オフシリーズ・閑話球題 ⑥ATPツアーの紹介その4(全米以降)と、トップ選手のスケジューリング
こんにちは。
急に寒くなりましたね。私も最近は完全防寒で過ごしてますが、こんなんで2月ごろ大丈夫なのか心配です…
さて今日は全米以降みなさんが注目された方も多かったであろう終盤戦の大会です。
まず最初は「アジアシリーズ」です。そのものずばりアジアを転戦するシリーズで、9~10月の恒例行事となっています。
アジアシリーズの前に1週間だけ違う地域での大会がありますが、本来カウントはしないものの、紹介の都合でここに入れておきます。
このアジアシリーズでは過去にマレーが3週連続優勝を果たすなど、終盤戦にさしかかったシーズンとはいえまだまだ逆転の要素が詰まっています。
またコミットメントプレイヤーに対するATP500の義務ですが、これは4大会だけでなくこのアジアシリーズの2大会(東京、北京)と、欧州インドアシリーズの2大会(バーゼル、バレンシア)のうち最低1大会に出場しなければならないというルールもあります。
week38(9/21~27)
モゼールオープン(メス、ハード、ATP250、昨年優勝…ゴフィン)
フランス北東部の街、メスで行われるインドアハードの大会。全米終了後デ杯を挟んで、またアジアシリーズ開催前週ということでフランス勢を除いて比較的穴場の大会です。
今年はゴフィンが好調を維持。ツアー2勝目を手にしました。
week39(9/28~10/4)
マレーシアオープン(クアラルンプール、インドアハード、ATP250、昨年優勝…錦織)
現在東南アジアで唯一開かれているATPツアー。ここから本格的にアジアシリーズが開幕です。
今年はアジア全体の期待を一身に背負った第1シードの錦織が全米以来の初戦を優勝で飾り、終盤戦のスパートをかけました。
深玔オープン(深玔、ハード、ATP250、昨年優勝…マレー)
今年から新設された中国での3大会目のATPツアーです。
大会はフェレールに加えマレーがファイナルに向けて緊急ワイルドカード参戦。トップ10二人の参加に盛り上がりました。
決勝ではマレーが5本のマッチポイントをしのぎロブレドに逆転勝ち。存在感をアピールしました。
week40(10/5~11)
楽天ジャパンオープン(東京(有明コロシアム)、ハード、ATP500、昨年優勝…錦織)
日本で行われている唯一のATPツアー。日本テニスの聖地有明コロシアムで行われます。
上海マスターズの前週という厳しい条件にもかかわらず、今年はトップ10が4人そろい、また過去の優勝者が集結する大会になりました。
シード勢の早期敗退が目立ったのが残念でしたが、決勝は錦織とラオニッチの若手対決に。接戦をものにした錦織が初の2週連続優勝を果たし、大会をきっちり締めました。
チャイナオープン(北京、ハード、ATP500、昨年優勝…ジョコビッチ)
北京五輪の会場跡地で行われる大会です。
例年ジョコビッチが出場しており、いまだ北京では無敗です。
今年も他を圧倒し、決勝では史上初のダブルベーグル(6-0、6-0)まであと1ゲームまで迫ったものの、ベルディヒが最後は意地を見せて回避しました。
week41(10/12~18)
上海ロレックスマスターズ(上海、インドアハード、マスターズ1000、昨年優勝…フェデラー)
欧州・北米以外で行われる唯一のマスターズです。
ホスピタリティがよく、トップ選手が集う中での「最も好きなトーナメント」マスターズ部門で毎年賞を受賞しています。
今年は早期敗退が目立ち、ノーシードのシモンが決勝に行くという波乱もありましたが、準決勝のジョコビッチ×フェデラーは今シーズンでも1、2を争うレベルの高い試合でした。フェデラーが勝ち、後半戦で猛チャージ。世界1位奪取も見えてくる上海初優勝でした。
「欧州インドアシリーズ」
欧州インドアシリーズは3週間。長かったレギュラーシーズンもあと少しを残すのみです。
インドアハードでのサーフェスが続き、ジョコビッチ、フェデラーが得意としています。気候などに左右されず、確実なボールを打つことができる代わりにサーブのトスアップなど視界が変わってしまうのが特徴です。
残り3週間を迎え、普通でしたらファイナル争いが過熱するところです。特に逆転を狙って10位付近の選手が連続参戦します。
約1500p程度は稼げるので毎年逆転劇の可能性は十分に残っています。
week42(10/19~25)
イフ・ストックホルムオープン(ストックホルム、インドアハード、ATP250、昨年優勝…ベルディヒ)
スウェーデンでは2つ目のATPツアーです。
前週の上海から考えると、気温差がかなり大きいことがわかりますね。
今年は連覇を狙ったディミトロフが2本連続股抜きショットを決めるなど話題になりましたが、決勝はベルディヒが競り勝ち、少しファイナルに向けて厳しくなりました。
クレムリンカップ(モスクワ、インドアハード、ATP250、昨年優勝…チリッチ)
今年はロシアの名選手、ファイナル優勝経験もあるダビデンコの引退セレモニーが行われました。ロシアもサンクトペテルブルグでの開催がなくなり、1大会のみになりました。
全米以来調子を落としていたチリッチが優勝。これで実質的にファイナル出場を決めました。
エルステ・バンク・オープン(ウィーン、インドアハード、ATP250、昨年優勝…マレー)
音楽の街ウィーンで開かれます。今年はフェレール、マレーの両名が緊急参戦。それまでのエントリー状況では上の2大会に比べ少しレベルが落ちていただけに朗報でした。
その二人の決勝は息づまる熱戦に。結局マレーが勝ち、上海での直接対決の雪辱を果たしました。
week43(10/26~11/1)
スイス・インドア(バーゼル、インドアハード、ATP500、昨年優勝…フェデラー)
フェデラーの出生地バーゼルでは昔からATPツアーが行われていました。
フェデラーが少年時代のころボールボーイとして参加していたエピソードは有名で、この影響から現地の少年少女のボールパーソンへの参加はスターへの第一歩とされています。
ATP500への昇格はフェデラーのおかげでもあるわけですが、トップ選手になってからはずっと参加しています。
今年も優勝し、地元ファンの期待に応えました。
バレンシアオープン500(バレンシア、インドアハード、ATP500、昨年優勝…マレー)
南ヨーロッパでは珍しいハードコートでの大会です。マドリードマスターズが以前ハードコートで10月に行われていた名残でもあります。
最近開催が危ぶまれていますが、来年はとりあえず開催が決定しています。
今年は深玔に続いてマレーとロブレドの決勝に。3時間20分という今シーズンのATP最長マッチを制したマレーが一気にファイナル濃厚に上り詰めました。
week44(11/2~11/8)
BNPパリバマスターズ(パリ、インドアハード、ATP1000、昨年優勝…ジョコビッチ)
通称「ベルシー(Bercy)」。ベルシー総合体育館で行われるレギュラーシーズン最後の大会です。優勝トロフィーの木の枝を模したような形も独特です。
特徴はマスターズ唯一の48ドローで、上位勢は5回勝てば優勝。ファイナル圏内の10位付近の選手も一発逆転があります。
今年はラオニッチが決勝に到達。逆転でフェレールを抜き返し最後の1枠に滑り込みました。
そのラオニッチを一蹴したジョコビッチがインドア無敗を更新し続けます。
week46(11/16~22)
バークレイズ・ATPワールドツアーファイナルズ(ロンドン、インドアハード、最終戦、昨年優勝…ジョコビッチ)
シングルス・ダブルス合わせて30試合しかないこの大会に今年はのべ263560人ものお客様が詰めかけました。また会場内の特設ブース(チケットを持ってなくても入れるらしい)まで含めると40万人を超える一大イベントです。選ばれた8人(組)だけが出られる最終戦です。
すべてのテニス選手が1年間の目標に掲げ、立つだけでも夢の舞台、待遇、賞金は破格です。今年はアジア人初の出場となった錦織が期待に応え準決勝に進出。大会を盛り上げました。
さて4回にもわたってお届けしてきたので、今回はまとめを入れておきましょう。
まずは年間スケジュールのおさらいです。カッコ書きは出場義務or半強制義務の大会です。
1月 全豪OPシリーズ(全豪OP)
2月 2月武者修行シリーズ(複数のATP500)
3月 3月マスターズ(インディアンウェルズ、マイアミ)
4~5月 欧州クレーシリーズ(モンテカルロ、マドリード、ローマ、全仏OP)
6月 芝シリーズ(前哨戦、ウィンブルドン)
7月 7月武者修行シリーズ
8月 USオープンシリーズ(カナダ、シンシナティ、全米OP)
9月~10月 アジアシリーズ(東京/北京、上海)
10~11月 欧州インドアシリーズ(バーゼル/バレンシア、パリ)
+最終戦
こう見てもきついですね。今日は最後に実際の錦織圭2015年確定スケジュールを参考にしながら見ていきましょう。
☆は参戦義務大会、★は参加決定大会(ソースあり)、△は出場可能性あり大会(週)です。
week1 ★ブリスベン
week2 ★クーヨン・クラシック(エキシビション)
week3 ☆全豪OP
week4 ☆全豪OP
week5
week6 ★メンフィス
week7
week8 ★アカプルコ
week9 ★デ杯1回戦
week10 ☆インディアンウェルズMS
week11 ☆インディアンウェルズMS
week12 ☆マイアミMS
week13 ☆マイアミMS
week14
week15 △モンテカルロMS
week16 ★バルセロナ
week17
week18 ☆マドリードMS
week19 ☆ローマMS
week20
week21 ☆全仏OP
week22 ☆全仏OP
week23
week24 ★ハレ
week25
week26 ☆ウィンブルドン
week27 ☆ウィンブルドン
week28 ★(デ杯QF)
week29
week30
week31 △ワシントン
week32 ☆カナダMS
week33 ☆シンシナティMS
week34
week35 ☆全米OP
week36 ☆全米OP
week37 ★(デ杯SFor入れ替え戦)
week38
week39 △クアラルンプール
week40 ★楽天OP
week41 ☆上海MS
week42
week43 △バーゼル/バレンシア
week44 ☆パリMS
week45
week46 ファイナル???
なんかもうほとんど試合ですね。これでも少ないほうです。フェレールとかいつ休んでるのかわからないくらい出てます。2月と7月も休んでないですからね。
次回からはプレイヤーに注目していきます。選手名鑑代わりになればいいですね。それでは。