こんばんは。 今日から超大型新企画、テニスのオフシーズンを乗り切るための連載シリーズ、閑話球題がスタートします。 前回も書きましたが改めて今回の目的について。 ①ターゲット層はあくまで2014年中にテニス観戦を始めた・興味を持った人が対象 ②その人たちがここに基づいた正しい知識でほかの人と差をつけられる程度に詳しくなれるようにする ③古くからの観戦の方でもはっと気づかれるような内容も盛り込む予定 です。序盤はとにかく知識の底上げ、レベルアップのために長いファンの方からは退屈した内容になると思いますのでご理解ください。 まずはATPツアーの仕組みからです。旧ブログにも1回構成で書きましたが、今年は注意しないといけない点がいくつかあるために2回に分けました。 まず、ATPツアーとはなんでしょうか? ATPは男子プロテニス協会の略で、いわゆる運営団体と思ってもらって大丈夫です。 いわゆる正式なプロツアーの大会は現在65あります。 ツアー下部の大会について先に説明しておきましょう。 下部の大会には2つのカテゴリー、チャレンジャーツアーとフューチャーズツアーがあります。 チャレンジャーツアーは50~200位付近の選手が、フューチャーズはそれ以下の選手が主に出場します。 チャレンジャーもフューチャーズも毎週複数の大会が世界各国で行われており、このあたりのランキングの選手はグランドスラムの出場を夢見て連戦に次ぐ連戦をこなしています。 そしてレギュラーツアーは4つのカテゴリーと、それとは独立したバークレイズ・ATPワールドツアーファイナルズがあります。 ファイナルはもう説明不要ですね。パリマスターズ終了時のランキング上位8名のみが出場できる夢の大会です。賞金総額・選手待遇ともに破格の大会で、トップ選手がシーズン最後の目標に掲げる重要な大会です。 4つのカテゴリーを順に紹介しましょう。 ①グランドスラム(4大会) 通称「4大大会」。全選手が出場、優勝を夢見る大会です。1月~2月の全豪(ハード)、5~6月の全仏(クレー)、6~7月の全英(芝)、8~9月の全米(ハード)があります。 ドロー数は128です。すべての選手が7回連続で勝たないと優勝できない非常に遠い道のりです。 ランキングの上から104人までが自動的にエントリーし、8人がワイルドカード(主催者推薦)、16人が予選勝者です。 全豪と全米でもかなり球足が違うので、この4つをすべて制すことは至難の業です。 現役ではフェデラーとナダルが生涯通算で完全制覇を達成しています。ジョコビッチは全仏をまだ取れていません。 錦織の来年の目標の一つはこのグランドスラム優勝でしょう。あり得ると思います。 ②マスターズ(9大会) 通称「準グランドスラム」。上位選手には出場義務が課されており、1週間で行うグランドスラムといってもいい主要大会。しかしその性質とこれまで日本人選手の活躍がなかったことから、グランドスラムと比較してほとんど報道されない大会です。 ドロー数は最小でパリの48、最大はインディアンウェルズとマイアミの96。シード勢は5~6回、ノーシード勢は6~7回勝つと優勝です。だいたい8人くらい予選勝者がいて、4人くらいワイルドカードになることが多いです。 目の肥えたテニスファンはグランドスラムのない時期はマスターズを楽しみにしています。何せトップ30+αはすべて出場します(けがなどを除く)。見ごたえのあるカードが多いです。 3月のインディアンウェルズ、マイアミ(ともにアメリカ、ハード)、4月のモンテカルロ(クレー)、5月のマドリード、ローマ(ともにクレー)、8月のカナダ、シンシナティ(ともにハード)、10月の上海、10~11月のパリがあります。 ③ATP500(13大会) 数字の500は優勝した時に得られるランキングポイントです。マスターズも時々それに準じて「マスターズ1000」と称されます(ごくまれにグランドスラム2000ということもあるようです)。 ドロー数は32~48です(1週間開催なので、おそらくこれ以上にはできないはずです。ATP250と比較して32ドローなのが特徴です)。予選勝者、ワイルドカードともに4人くらいです。本選ラインは60~80位くらいですかね。 前年度ランキングの上位30名(コミットメントプレイヤー)には最低4大会の出場義務が課されています。トップ10が3人程度出場することが多く、レベルが高いです。 2月のロッテルダム(インドアハード)、リオデジャネイロ(クレー)、ドバイ(ハード)、アカプルコ(ハード)、4月のバルセロナ(クレー)、6月のハレ(芝)、クイーンズ(芝)、7月のハンブルグ(クレー)、7~8月のワシントン(ハード)、9~10月の楽天OP(ハード)、北京(ハード)、10月のバレンシア(インドアハード)、バーゼル(インドアハード)があります。 ④ATP250(38大会) 優勝すると250pがもらえる大会です。トップ10選手は0~3人程度(平均1人くらい)出場します。もう錦織であれば、出れば優勝が約束されるような感じです。 ドロー数は28になることが多いです。上位4シードを最大4試合にすることで、小さな大会にも来てもらえるようにしているようです。予選勝者、ワイルドカードともに4人くらいです。本選ラインは100~結構下のほうまで行きます。 ※1 ハレとクイーンズは来年からATP500に昇格します ※2 大会数は現在ATP公式が発表している2015年の大会数で、2014年はこの数字とは異なります ※3 ATP500が32ドローになる理由はもし28ドローにすると1勝しただけでランキングポイントが90pも入ってしまう選手が出てしまうことを防ぐためだと思います、推測ですが。 さてこれだけ見ても結構いろいろなことが分かります。 まずはトップ選手の出場義務の多さです。 年間を通じてトップ30以上をキープし続ける選手にとっては グランドスラム×4+マスターズ×8(8の理由は次回に)+ATP500どっかで×4=16 の大会日程拘束されるということです。 インディアンウェルズとマイアミのマスターズは2週間開催なので、実にトップ選手は22週間も日程が拘束されてしまうのです!!! …はい、これで250のほうにも出ようとはなかなか思いにくいのが現状です。 まあ正確にはグランドスラムの2週目に残る選手なんてほんの一握りですし、すべての大会で週の後半まで勝ち残るわけではないですから少し言いすぎですが、少なくともその大会の初日はそこにいないといけないわけですし、これだけでも過酷なスポーツであることが分かると思います。 さて今日は豆知識を最後に。 ~ツアーのリズムをつかめ!~ ATPツアーは基本的に250→500→(時々250はさむ)1000or2000と段々高まっていくように構成されている! これを知っておくと便利です。 今後ツアー紹介は細かくやっていきますが、そのほんの一例です。 北米ハードコートシリーズ(7~9月前半) アトランタ(ATP250)→ワシントン(ATP500)→カナダ(マスターズ1000)→シンシナティ(マスターズ1000)→ウィンストン=セーラム(ATP250)→全米OP(2000) アジアシリーズ(9月末~10月) 深玔(ATP250)、クアラルンプール(ATP250)→北京(ATP500)、楽天OP(ATP500)→上海(マスターズ1000) こんな感じです。250は休憩とは言いませんが、大きな大会が終わった翌週は250であることが多いのでちょっと休むことができます。 さて明日はランキングのお話です。分かったつもりになっているそこのあなた、2015年はランキング計算が少々厄介になりますよ?というわけでそれでは。