ATP公式の年末特集第1弾が「Rivalries Of 2014」。これはATP公式がしのぎを削り合ったトップ選手達の対戦カードを5つ取り上げて紹介するというものです。昨年はほとんどがBIG4同士で残り1個がデルポトロVSジョコビッチだったのですが今年はずいぶんと様変わりしました。このブログでもその5つの対決を取り上げてみましょう。ブログでレビューを書いている試合にはリンクをつけているので参考にしていただければと思います。  なお対戦カード名のリンクはATP特集記事へのリンク、対戦成績のリンクはATP公式H2Hへのリンクとなっています。 ①錦織VSラオニッチ(通算4勝1敗、2014年度3勝1敗)  華々しくATP年末特集の一番手を飾ったのがこの二人の対決でした。世代交代の到来を告げるにふさわしい激戦の結果は錦織の3勝1敗。  実は2年前の楽天OPでの死闘以降、錦織とラオニッチはずっと対戦がありませんでした。今年のマドリッドが実に1年半ぶりの対戦だったのです。その後実に4度の対戦、その全てが両者にとって非常に重要な対戦でした。特に全米(レビュー)と楽天OP決勝(レビュー)は両者の全てがぶつかり合う文字通りの死闘に。錦織にとって、今後何年も戦い続けるだろう好敵手がラオニッチ。この二人の勝負に関してはまた新たに記事を組んで特集したいと思います。 ②ジョコビッチVSフェデラー(通算17勝19敗、2014年度2勝3敗)  No.1とNo.2の激突、2014年はフェデラーの3勝2敗という結果になりました。同じようにこの二人が覇権を争った2012年はジョコビッチの3勝2敗でしたが今度はフェデラーが勝ち越しています。この二人の対決、お互いが真正面からぶつかりお互いの武器を余すことなくぶつけ合う戦いはいつ見ても楽しいものです。特にウィンブルドン決勝は最高の試合でした。両者トップギアのぶつかり合い、徐々に優位を築くジョコビッチ、土壇場から一気に盛り返すフェデラー、そして最後まで緊張感を保ったままの最終セット。35度目の対戦にしてまた新たな名勝負が加わることになったのです。  惜しむらくはツアーファイナルズ決勝で行われるはずだった6度目の対戦が幻に終わってしまったことでしょうか。2年前にはハイレベルかつ熱戦の素晴らしい決勝が見られただけに、今回実現しなかったのは残念でなりません。 この二人については今年5度目の対戦となった上海でプレビューとレビューを書いています。よろしかったらどうぞ。 ③マレーVSロブレド(通算5勝2敗、2014年度2勝0敗)  全米終了時点、アンディ・マレーはレースランキング11位でした。2014年は出場した大会で決勝進出すらなく、昨年受けた腰の手術からの復帰に苦しみ続けていました。  だがマレーのチャレンジはここからが始まりでした。まずはアジアシーズン最初の大会である深センに参戦し勝ち進みます、決勝の相手はスペインのトミー・ロブレド。対戦成績は3勝2敗と拮抗していたとはいえ、マレーが成長してからはセットすら取られず3連勝中だった対ロブレド戦でした。しかし試合が始まると大激戦となり…最後はマレーが5つのMPをしのいで大逆転勝ちを収めました(レビュー)。  マレーはその後北京でチリッチを破るなどベスト4入り、上海ではフェレールに敗れましたが翌週のウィーンでフェレールにリベンジを果たし今季2勝目を飾ると5週連続参戦となるバレンシアに乗り込んできました。バレンシア準決勝では宿敵フェレールと三度激闘、これを下して決勝に進みます。今年のマレーにとっては奇跡ともいえるツアーファイナルズ出場がついに目の前に迫っていました。そこに再び立ちはだかったのがロブレドだったのです。再び大激戦となった試合はまたしても5つのMPをしのいだマレーが死闘を制しました(レビュー)。 マレーはパリMSでもベスト8に入り最終戦出場を果たし、今年を世界ランク6位で終えています。来年のマレーには4位復帰、そしてさらにその上を目指して錦織、ラオニッチらとしのぎを削り合う活躍を期待したいものです。 ④フェデラーVSバブリンカ(通算15勝2敗、2014年度2勝1敗)  昨年から大きく成長しついに今年全豪制覇、4強時代に大きな穴を開けたバブリンカ。だが彼にはまだ3つのミッションが残っていました。優勝経験のないマスターズの制覇、11連敗中の先輩フェデラーに対する勝利、そして悲願のデビスカップ優勝。  迎えたモンテカルロMSでバブリンカがどんどん勝ち進みます。チリッチ、ラオニッチ、ナダルを破ったフェレールらをそれぞれストレートで退けあっという間に決勝戦へ。だが決勝で最大の敵が立ちはだかりました。フェデラーも未だ優勝のないモンテカルロ制覇へジョコビッチを破るなどして勝ち進んできたのです。第1セットはフェデラーがあっさり奪取。またしても過去11回と同じ展開なのか…しかし第2セットのタイブレークでバブリンカはフェデラーを打ち破りました。続く第3セット失速するフェデラーに容赦なく厳しいショットを浴びせたバブリンカが見事MS初優勝を成し遂げたのです。  残り2度の対決(WB準々決勝、最終戦準決勝)でもパワフルなショットで押し込み第1セットを奪ったのはバブリンカでした。しかし最終的にはフェデラーの意地が勝利を引き寄せています。フェデラーを救ったのは新コーチ・エドバーグの元で充実させたネットプレーでした。(ツアーファイナルズ準決勝・レビュー)  そして両者は今年の最後にデビスカップ優勝を成し遂げました。バブリンカにとっては間違いなく最高の1年となったでしょう。 ⑤ジョコビッチVSナダル(通算19勝23敗、2014年度2勝1敗)  今年はやや影の薄かった「2013年度頂上決戦」。ここ4年間はジョコビッチVSナダルとジョコビッチVSフェデラーが交互に最強対決となっている感があります。今年は3度対戦し、ジョコビッチの2勝1敗。2度のMS決勝での激突はジョコビッチが勝利を収めたものの、全仏ではナダルが意地を見せました。両者の対決42回は、既にATP史上最も対戦数の多い二人になっています。  これまで幾度となく名勝負を積み上げてきた両者としては珍しく今年は淡白な試合が続き残念でした。来年復活するナダルによってまた新たな名勝負が生み出されていくことになるのか、次の対戦を期待したいと思います。