ATPツアーファイナルズ・準決勝。 この世界の頂とも言うべき舞台、ましてセミファイナルに日本人が立つ日が来ようとは! 錦織圭、本当にすごいを通り越した、見たこともこれから先見れるかも分からない才能が、ついにこの舞台まで上がってきました。 アンディ・マレー、ロジャー・フェデラー、ダビド・フェレール。 強豪ひしめくこのラウンドロビンを見事2勝1敗で堂々の通過。 その実力・勝負強さに、もはや彼の能力に疑問符を投げかけるテニス関係者・ファンなど世界中に誰もいないことでしょう。 そういうところまでやってきました。 このミラクルジャパニーズに立ちはだかる男、ノバク・ジョコビッチ、世界ランク1位。 錦織と同じユニクロのウェアに身を包み、正確無比なストローク、鉄壁のディフェンス能力、何より冷静沈着な青い瞳は、コート上に立つ相手の戦意をみるみると奪ってゆくかと思わせるほどです。 今シーズンは全仏準優勝、全英優勝、錦織に敗れた全米はベスト4と、相変わらずの安定感でポイントを積み重ね、昨日行われたRR第3戦の勝利により、年間ランク1位を確定させました。 さらに7月には長年連れ添ったガールフレンドとようやく結婚、先月には待望のお子さんも誕生し、公私ともに過去最高とも思えるほどの充実度。 お子さんが誕生してからは、ここまで実に全勝、ただの1セットさえ落とすことなくパリのマスターズを制し、さらにはツアーファイナルズ3連覇を目指してここまで勝ち上がってきました。 ましてやO2アリーナの舞台はインドアのハードコート、このサーフェスではなんと30連勝中。 誰もどうにも手のつけられないほどの強さだった2011年を彷彿とさせるような、あるいはそれ以上かとも思うほどの「ハイパー・ジョコ」が錦織圭の対戦相手です。 しかし、世界の頂点を目指す上では決して避けられない相手なのが事実です。 そういうステージに現在の錦織は立っているのもまた事実、ここまで来た充実感よりも、倒すべき相手として錦織陣営も策を練っていることでしょう。 本当に難しく、ミッション・イン・ポッシブルと言っても過言ではないタスクです。 全米では目の覚めるような快勝でしたが、先日のパリでは故障の影響かサービスが不可解なまでにセーブされ、完敗。 3度目の対決は今年の決着戦、どう考えても厳しい戦いになることは間違いありませんが、あっと驚く内容・結果をいつも出し続けてきた錦織に期待したいところです。 インドアのハードコートは錦織も得意とするところ、初勝利、それもハイパー・ジョコからあげたときはバーゼルのインドア大会でした。 怪我を背負っていたのはお互い様、今日のポイントはいかに錦織が自信を持って得意の展開に持ち込めるか、その一点でしょう。 出だし様子見、という余裕や隙ははっきりと持てないほど、今のジョコビッチは強いです。 バブリンカ、ベルディヒ、チリッチと対戦したラウンドロビンで失ったゲームはたったの9つ。 この相手にこの内容、フェデラーとはまた違った、まさに無敵の超人と言えましょう。 昨日のベルディヒ戦も1・2セットともに立ち上がりの4ゲームを連取。 今日は特に立ち上がりに気をつけて、サービス・リターン両方思い切りよくプレーすることが彼を攻略する鍵となりそうです。 逆に言えば、そうしたプレーを錦織が実行できるならば、ハイパージョコ相手にも対抗しうると言うことです。 それができるのは、フェデラーか、錦織か、きっとできると信じて、コートの中へ入ってもらえたらと思います。 今日は地上波放送もあり、多くの人がこの世界最高峰の一戦をご覧になることかと思います。 どうぞお楽しみに、本当にすばらしい選手2人の対決を見れること、まして片方は日本人だなんてこんな幸せなことはありませんから。 期待以上にも、期待以下の内容になることもあるでしょう。 でもそれがテニス、ひいてはスポーツというものです。 一喜一憂するのも楽しいですし、そこから何かに魅力を感じて新しくファンになる人もいるしょう、それでいいと思います。 そして少しでも、この希有な才能を持ちながらも、それに溺れずひたすらに頑張ってきた、時には天然で素朴なこの青年のことを大切に思ってくれたらと思います。 まずは無事に終わることを祈りつつ、悔いのない戦いを期待しましょう。 それまでは私も仕事頑張らなければ!(笑)