こんにちは。 昨日のセレモニーよかったですね。まずはその様子からです。 初めてファイナルを観戦するという方も多いと思いますが、試合前からこの出迎えようです、これがファイナルの重みです。 各選手にVIPルーム、ネーム入り専用ロッカー、移動用ベンツ、ネーム入りシャンパンなど、とにかく国賓級の待遇で迎えられます。 そしてなんといってもその象徴が8人でのオーダーメードのスーツ着用による記念撮影です。 今年はツイッターでも人気のベルディヒがいたことでいろんな写真がアップされています。とりあえずベルディヒ撮影のこれを紹介しておきます。 O2アリーナ上でのセルフ記念撮影 すごく楽しそうですね。もう一つ。 船上でのレセプションパーティーのセルフ記念撮影 選手たちが心からこの空間にいる喜びを表しています。 よくよく見ると立ち位置とかで選手の性格が分かりますね。 錦織は身長が一番低いのと、こういうのは結構前に出たい性格らしいのでいいポジションで写ってますね。 動画も一つ紹介しておきます。 ATP公式・昨日の1日 30秒頃に錦織のネーム入りシャンパン、1分ごろに映っているおじさんはATP会長のカーモードさんです。 さて後半はファイナル出場選手を詳しく紹介していきます。 今週からテニスを見始める人にも優しい解説を目指します。 グループA 1.ノバク・ジョコビッチ(セルビア) 8年連続8回目の出場・優勝3回 今シーズンの主な成績…ウィンブルドン優勝、マスターズ優勝4回 「完成されたNO.1のテニス」 ジョコビッチの良さはとにかく総合力です。そしてミスが少ないことが挙げられます。 ジョコビッチとディフェンスがいい選手が試合をすると長くなる傾向にあります。2012年全豪決勝は、グランドスラム決勝では現在でも最長の5時間53分。試合後のセレモニーで立っていられなかったのは印象的でした。 そしてリターンの名手でもあります。記憶に新しいパリ決勝では、第1セットのラオニッチの全てのサービスゲームでブレークポイントを握りました。 またインドアハードで現在2年間無敗。ナンバー1のジョコビッチが強さを発揮すれば優勝候補筆頭でしょう。 3.スタン・バブリンカ(スイス) 2年連続2回目の出場・昨年4強 今シーズンの主な成績…全豪OP優勝、モンテカルロMS優勝 「一閃!遅咲きの求道者」 バブリンカは高速サーブも武器としているパワーヒッターですが、なんといっても片手バックハンドは世界トップだと思います。 片手バックを使う選手にはいろんなタイプの選手がいますが、ガスケ、ハースなどは比較的強烈なスピンで入れにいくのに対して、バブリンカは矢のような低い弾道でボールが飛んでいくのが特徴です。当然最短距離で飛んでいくわけですから、ウィナーも生まれやすいわけです。フェデラーも比較的このタイプですが、破壊力や総合的な面からはバブリンカがトップでしょう。 参考までに全豪優勝のこの動画の紹介です。 全豪決勝ハイライト 他のもすごいですが、1分0秒ごろからのバックハンドストレートの軌道とスピードがおかしすぎます。これとクロスを打ち分けられます。 6.トマス・ベルディヒ(チェコ) 5年連続5回目の出場・4強1回 今シーズンの主な成績…全豪4強、マイアミMS、パリMS4強、ロッテルダム優勝 「驚異の安定感」 ベルディヒはビッグサーブに強烈なフォアハンドという典型的大型選手。ですが安定感は強く、5年連続の最終戦に加えてほぼ5~8位を5年間キープしています。 しかし自己最高が5位であることからも分かる通り、多くの大会でもQFまではしっかり勝ちあがるものの、4強と対戦するQFで敗れることの多い選手。今シーズンは前半戦で2000pを稼いで一時はトップ争いにも加わってくる可能性があったものの失速。ファイナルでは初の決勝進出を狙います。 8.マリン・チリッチ(クロアチア) 初出場 今シーズンの主な成績…全米オープン優勝、ATP250で3勝 「恐怖のパワーテニス」 全米オープン優勝で圏外から一気に上がってきたチリッチ。代名詞は錦織との全米決勝で見せたパワーテニス。デルポトロを彷彿とさせる破壊力のあるフォアハンドに強烈なサーブ。確変状態に入れば本当に強いです。 またファイナルの会場であるインドアコートにはめっぽう強く、今年はザグレブで優勝、ロッテルダムでも準優勝。通算でも勝率が高く、ロンドンのコートに合えば全米同様一気に頂点を獲れるかもしれません。 グループB 2.ロジャー・フェデラー(スイス) 13年連続13回目の出場・優勝6回 今シーズンの主な成績…ウィンブルドン準優勝、シンシナティMS、上海MS優勝 「テニス界の伝説・キングオブテニス」 シーズン終盤にジョコビッチを上回る全体トップ成績で2位で迎えるフェデラーは2013年の滑り込み出場とは全く意味の違うファイナルを迎えます。 フェデラーの最近のプレーは華麗なネットダッシュにあります。 ロングラリーで体力の消耗も多い現代テニスで、フェデラーは元サーブ&ボレーヤーのレジェンド、エドバーグをコーチに迎えてショートポイントの強化に取り組みました。 もともとボレーのセンスもあったフェデラーがエドバーグ直伝のボレーを習得したことでさらにプレーの幅が広がり、GS通算17勝、最終戦の優勝も6回あるまさにレジェンドが今年も優勝を狙います。 やはりフェデラーのサービスゲームは見どころです。コート上に芸術を描くと称される流れるようなプレーで錦織戦でも強敵として立ちはだかることは間違いありません。 4.錦織圭(日本) 初出場 今シーズンの主な成績…全米OP準優勝、マドリードMS準優勝、優勝4回 「時間と空間を奪うテニス」 選手紹介で日本人選手を取り上げる、それだけでも夢のようです。日本人、アジア人初のファイナルの舞台に錦織圭が挑みます。 錦織のテニスの良さは時間と空間を奪うテニスです。ちょっと患ってるキャッチコピーっぽく見えますが、事実は的確に捉えたつもりです。 錦織のプレー位置に注目してみてください。必ずほかの選手よりも前でプレーしています。 参考までに全米QFバブリンカ戦動画です。 全米QFハイライト動画 さっきのナダル×バブリンカ戦と比較してみると分かるのですが、全体的に錦織はライン上でプレーしている時間が長いです。 またその結果チャンスボールと分かった瞬間にコート内に入っていくスピードが速いことも分かります。 気がついたら前で攻め込まれて左右に揺さぶられる。まさに空間を支配され、奪われていく感覚です。 サーブとか見た目に分かる武器がないために錦織の良さはうまく説明しにくい選手ですが、相手にはものすごいプレッシャーが付きまといます。いつ攻め込まれるかわからないので。 じゃあ簡単な話、みんな前で打てばいいじゃないかという話ですがそれはできません。あれだけの高速ボールに反応し跳ねぎわをクリーンヒットして有効打を放つのはものすごく難しい技術です。ですので普通の選手はワンバウンドして最高打点で打てる、ラインより2歩程度後ろでプレーすることが多いのです。 たった2歩ですが追いつけるか否かの反復ダッシュをするテニスにとってこの2歩は絶大な2歩です。これこそがビッグサーブのない錦織が世界で勝って行ける理由です。 あとはバックハンドですかね。バックハンドがフォアハンドと同じ強さを持っている選手は少ないです。フォアストレート/クロス、バックストレート/クロスの4方向全てから展開していけるバリエーションの多さも魅力の一つです。 5.アンディー・マレー(イギリス) 7年連続7回目の出場(欠場1回・途中棄権1回)・4強3回 今シーズンの主な成績…全仏4強、優勝3回 「復活したカウンターテニス」 マレーは2013年末に腰の手術。当時2位だったランキングを生かして大きくランキングを落とさずに復帰する予定でしたが、復帰してからはしばらく不調。アカプルコでディミトロフに敗戦するなど、QFやSF止まりの大会が続きます。 全米OP付近からやや復調の気配が出ていましたが最終戦出場は微妙なライン。その不安と「4強危うし」を払しょくしたのが記憶に新しいここ2か月間での猛スパートです。 この間のマレーは持ち味であるディフェンスからのカウンターテニスが冴えわたりました。ラリーでコート外からもウィナーや形勢を逆転できるショットを放ち、まだケガ前の水準には戻っていないサーブを補っています。 一部テレビなどの報道もありましたがマレーはとにかく拾う。そしてIQテニスと呼ばれるほどの戦略家。ディフェンシブに戦いながらもしっかりと相手の出方を窺ってきます。地元ロンドンで今年こそ悲願の優勝なるか。楽しみです。 7.ミロス・ラオニッチ(カナダ) 初出場 今シーズンの主な成績…ウィンブルドン4強、パリMS準優勝 「最恐のビッグサーバー」 ラオニッチはもう説明不要でしょう。230km/h超えをセンターの隅に打つことができる超強力ビッグサーバーです。 ビッグサーバーで言うとカルロビッチやイズナーなども挙げられますが、サーブから最終的にキープに繋げる力としてはラオニッチが全ツアー選手の中でトップだと思います。 今期のキープ率は驚異の90%。下位にはほとんど取りこぼしがなく、タイブレークも最近はきっちり取れるようになってきました。 さらに最近ではストロークも改造。一本でウィナーが取れる強力なショットも身につけつつあります。 錦織同様に初出場、サーブがはまれば台風の目になる予感です。 まさに世界のトップ8、夢の競演です。これらの選手が計15試合もシングルスを行います。また同時にダブルスも開催され、こちらも8組が15試合を戦います(現時点でライブ放送してくれるテレビは日本にはなさそうですね、GAORAでは生放送ではシングルスのみの中継のようです)。 書いてて自分が楽しみになってきました。明日は気になる錦織×マレー戦直前、対マレーにどう向かっていけばいいかを書いていきたいと思います。それでは。