最終戦は日曜日に開幕します、いよいよあとわずか。今日はA組の選手達についてじっくり見てみたいと思います。 【ノバク・ジョコビッチ】(世界ランク1位 最終戦成績:出場8回,優勝3回)  全米錦織戦の敗戦以降3大会2優勝、13勝1敗。最終戦2連覇中(10連勝中)。インドアハード27連勝中。世界NO.1ジョコビッチの評価はみじんも揺るぎません。全米までの不調ぶりがうそのように勝ち星を積み上げておりしかも13勝中6勝がトップ10選手から挙げたものという充実ぶり。おまけにその6勝で全てストレート勝ちするなど14戦中12戦がストレート勝ちと言われたらもう苦笑いするしかありません。  どんなボールにも反応できるフットワークと非常に安定したストロークでどんな相手も楽々とねじ伏せてしまう現在のジョコビッチ、ブレイクを奪うことなど朝飯前でタイブレークにすら持ち込ませません。その中で無理やり欠点を挙げるとすればその安定感に頼りすぎてやや守備的になりがちな癖があることぐらいでしょうか。14戦中唯一の敗戦となっている上海準決勝のフェデラー戦はその隙を突かれてフェデラーの猛攻を食らい敗退してしまいました。  もう一つ気になる点を挙げるとすれば1セット先取した後の第2セットで集中力を切らすのかブレイクを許すシーンがよく見られることでしょうか。錦織戦で見られた光景ですがジョコビッチはこれをパリのマレー戦や北京のディミトロフ戦マレー戦でも繰り返しています。ジョコビッチが強すぎるのでブレイクされてもまたブレイクを奪ってジョコビッチが勝つのですが、もしこの隙を逃さずセットオールに持ち込める選手がいればジョコビッチに対する勝機が出てくるかもしれません。 【スタン・バブリンカ】(世界ランク4位 最終戦成績:出場2回,ベスト4)  全豪を制しモンテカルロマスターズを制し1年でグランドスラムでもマスターズでも初優勝を果たしたバブリンカ。全英・全米でもベスト8に入っており大きな大会では素晴らしい実績を残したのですが安定感がなく早期敗退も繰り返す1年間となりました。特に全米後の成績がひどく伊藤竜馬に敗れるなど3大会連続初戦敗退、パリではなんとか初戦突破したものの結局全米以降2勝4敗に終わっています。  ベルディヒにもチリッチにも好相性のバブリンカですから普通通りプレーできればRR突破はさほど難しくないはずなのですがいかんせん現在の調子が悪すぎます。しかも翌週にはデビスカップ決勝が控えておりバブリンカはこちらに照準を合わせているものと思われます。集中力を欠いたまま試合に臨めば凡ミスを連発して3戦全敗ということも十分考えられます・・・ 【トマーシュ・ベルディヒ】(世界ランク7位 最終戦成績:出場5回,ベスト4)  今年も安定して勝ち進みポイントを稼いだベルディヒは5回目の最終戦出場となりました。これは今回の出場者ではフェデラージョコビッチマレーに次ぐ実績です。しかし過去4回の最終戦では活躍できたとは言い難く通算5勝8敗で準決勝進出は2011年の1度のみ(その1度もジョコビッチの負傷に助けられてのものでした)となっています。今年こそはRR突破したいところでしょう。  だがRR突破はいばらの道です。まずジョコビッチに対しては今年の北京で0-6,2-6の惨敗を喫してしまうなど2勝16敗という散々な戦績、まず勝ち目はないでしょう。初戦のバブリンカ戦はバブリンカの不調に乗じて確実に勝利したいところですが、全豪準決勝で負けてバブリンカの優勝をアシストしてしまうなどこちらも対戦成績がよろしくありません。唯一チリッチにだけは5勝4敗と勝ち越していますが、実は直近の対戦ではチリッチが全英・全米と続けてストレート勝ちを収めているのです。  この不利な状況を覆して勝利を収めるには武器であるファーストサーブとフラットのフォアハンドの調子はもちろん、無駄に自滅するシーンを絶対になくさなければなりません。全米チリッチ戦で判定に激高して直後のゲームでブレイクバックを許しそのまま敗退したり、先週のパリで最終セット5-6からダブルフォルト2本犯してブレイクで負けてしまったりと勿体ない負けの多い選手。ベルディヒが躍動するシーンを今年こそ見ることはできるのでしょうか? 【マリン・チリッチ】(世界ランク9位 最終戦成績:初出場)  全米優勝したチリッチは復帰戦となった北京でマレーに完敗を喫しました。続く上海でも初戦敗退を喫し燃え尽きだとか確変だとか騒がれましたが、迎えたモスクワではアグートを下して優勝してその実力を証明しています。バレンシアとパリは欠場して調整に充てたチリッチは初の最終戦で果たしてどんなプレーを見せてくれるのでしょうか。  チリッチの調子はサーブの調子と直結しています。強力なファーストサーブがどれだけ各選手に通用するか、そこが問題です。ジョコビッチとは全英で対戦しセットカウント2-1とリードを奪ったものの悔しい逆転負けを喫しています。0勝10敗とまだ勝利のない相手との初戦でどこまでやれるかで今大会のチリッチをある程度占うことができるでしょう。  ジョコビッチ以外の3人ははっきり言って横一線のこのAグループ。誰にでも2位勝ち抜けの可能性があります。ジョコビッチ3勝他3人1勝2敗ということになれば1セット、1ゲームが大事になるかもしれません。果たして準決勝に進むのは誰になるでしょうか?