今日は最終戦についてあれこれ見ていくことにしましょう。 ★会場★・・・ロンドン・O2アリーナ  実は最終戦は数年ごとに会場を変えて行われています。1980年代はニューヨークで、1990年代はドイツで行われており、ロンドンの前2005年から2008年の間は上海で行われていました(現在上海MSが行われている会場です)。実は第1回の開催地は東京だったりします。  ロンドンとの契約は来年が最後となっており、2016年からは開催地が変更となる予定ですがまだ決まっていないようです。 ★歴史★・・・決勝は5セットマッチだった  当初は不参加を決め込んだトップ選手もいたのですが、開催地がニューヨークで固定された1977年以降はそのようなこともなくなり毎年トップ選手が激しい戦いを繰り広げる場となりました。決勝は2007年まで長い間5セットマッチで行われ、数々の名勝負を生みました。  最近では2005年決勝のフェデラーVSナルバンディアンが非常に有名な名勝負と言われています。ATP公式でも紹介動画が上がっていますね。 Revisit epic 2005 #FinalShowdown clash between @nalbandiandavid & @rogerfederer. Watch: http://t.co/KFGQnTRpmr #ATP pic.twitter.com/KDu99ej4P4— ATP World Tour (@ATPWorldTour) 2014, 11月 5  2008年から決勝も3セットマッチとなります。2010年はベスト4にBIG4がそろい踏みする記念すべき年となり3人全員を撃破したフェデラーが制すると翌年も優勝(これが通算6度目!)。続く2012年は息詰まる激戦の末にジョコビッチがフェデラーを下し、翌年今度はナダルを破って文句なしの連覇を成し遂げました。3セットマッチ化してからの優勝者はまだわずか3人。2009年のダビデンコを除くとジョコビッチが3回、フェデラーが2回と優勝を分け合っています。 ★雰囲気★  普通のATP大会を見慣れている方は最初ちょっと驚くかもしれません。まず入場シーンからして格闘技のそれとよく似たショータイムな演出が入りスモークが吹き上がる中選手達がコートに入ってきます。色とりどりのライトが輝いたり巨大な電光掲示板が演出を加えたりもします。普通の大会とは違う華やかな雰囲気を持つ大会、それがATPツアーファイナルズなのです。  客層も普段とはちょっと違い、地元客が多い普通の大会と違い世界中から詰めかけた観客がスタンドを埋め尽くすことになります。地元マレーであってもウィンブルドンほどは声援がなく、むしろ会場はロジャーコールばかりです(苦笑)。  一言で言えば「真剣勝負のエキシビジョン」となるのでしょうかね。 ★ルール★  グループに分かれて戦うRR形式を採用している以上、勝敗が並んでしまった場合のルールを決めなければなりません。二人が並んだ場合は直接対決の結果でシンプルに決定するのですが三つ巴の場合はどうするのでしょうか。2009年の最終戦が非常にわかりやすいのでこちらを例にして見てみることにします、まずグループBから。  2勝1敗で3人が並んでいます。これでは順位がつけられません。そのときに見るのがセット勝敗です。セット奪取率の高い順に5-2のソダーリングが1位、5-3のダビデンコが2位で勝ち進み、4-3のジョコビッチは勝ち上がれません。  このような性質をもっている以上、最終戦の場合フルセット勝利はストレート勝利に比べてやや不利となります。しかし一番やってはいけないのはストレートで負けてしまうことです。上の例のジョコビッチの場合もソダーリングに0-2で敗れたことが致命傷になっています。逆にライバルを相手にストレート勝ちできれば単に勝利した以上の価値をもちます。  次にグループAを見てみましょう。  なんとこちらはセット勝敗ですら並んでいます。信じられない激戦ですが最終戦ではこのようなことも普通に起こりえます。このような場合、今度はゲーム奪取率を見て順位をつけていきます。フェデラーが1位、デルポトロが2位、マレーが3位となって順位がつきました。  この順位争いでは最終戦の戦いがお互いの明暗を分けました。マレーは最終戦ベルダスコ相手に第1セットを先取、そのまま勝っていればフェデラー対デルポトロの結果を待たずに勝ち抜けが決まるはずでした。しかしマレーは第2セットのタイブレークを落としてしまい、その後勝利を収めはしたもののフェデラー対デルポトロの結末によって敗退となってしまいました。勝ち切るべきときにしっかり取っておかないとこのような痛い目を見てしまうのが最終戦の怖いところです。  フルセットにかけては歴代最強クラスの強さを誇る錦織ですが、その強さは生かしつつも勝てる試合をしっかりストレートで勝ち切ることができるかどうかが最終戦では問われることになってくるでしょう。