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ジョコビッチが見せた別次元のプレー

20141006_djokovic_k1 photo:mirsasha

一体、誰がこのような試合を予想できたでしょうか。 5日に行われたチャイナ・オープン男子シングルス決勝で、世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が、同ランク5位のトーマス・ベルディヒ(チェコ)を、6-0,6-2のストレートで下して、大会3連覇を達成。 ジョコビッチはなんと、ベルディヒに1ゲームも与えず完勝する、いわゆる「ダブルベーグル」にあと1ポイントまで迫っていました。 全く隙がなかった、この日のジョコビッチ。その強さがよく分かる、この試合のスーパープレーから、ジョコビッチのテニスを改めて分析してみましょう。 まずはこちらのプレーをご覧ください。

Original:TENNIS HD2

全てがジョコビッチのシナリオ通り

このプレーには、ジョコビッチの持つ世界最高峰の判断力と、技術が凝縮されています。 まずは、ベルディヒのエース級のサーブに、反応するジョコビッチ!見事にリターンしますが、これではベルディヒに攻撃されてしまいます。 20141006_djokovic_k1 ベルディヒの攻撃に備えて、すかさずポジションを下げます。 そしてベルディヒのストレートへの強打には、そこから更に斜めに下がって対処します。真横でなく斜め後ろに動くことで、より遠くのボールにも触ることが出来ます。 20141006_djokovic_k2 ここでのディフェンスも、ジョコビッチはあえて速く低いボールで返球。 他の選択肢として、時間の稼げるムーンボールも浮かびますが、今回のようにネットから距離がある状態だと、ベルディヒに詰められてボレーでカットされたり、高い打点から打ち下ろされたりして、たとえ返しても決められる可能性があります。 その点、速く低いボールだと、ベルディヒは下から持ち上げなくてはならないため、強打も難しく、ネットの高いストレートにも打ちづらくなります。 ジョコビッチは、自身がリカバリーする時間を犠牲に、ベルディヒの打てるコースを絞ったのです。 20141006_djokovic_k3 案の定、ベルディヒのアプローチショットはクロスに飛んできます。 待ってました!!と言わんばかりですが、まだ少しポジションも後ろで、ここからパッシングショットを狙うのは難しい...。 ジョコビッチは一旦、ベルディヒが角度のつけにくい正面、かつ足下にボールを沈めます。決して無理をしない、冷静な判断です。 20141006_djokovic_k4 そしてこのローボレーは、ベルディヒもクロス以外に選択肢がありません。 ここで、今度こそ待ってました!!と言わんばかりに、走り込んだジョコビッチが勝負! ベルディヒの逆をつく、技ありのショートクロスで、完璧に横を打ち抜いていきます! 20141006_djokovic_k5 まさにジョコビッチの描いた、ストーリー通りの展開です! 無理はしていないのですが、今回ジョコビッチが放った4打は、技術的には決して簡単なものではありません。 圧倒的な判断力と、そのイメージを実現する高い技術力をもって、相手に付け入る隙を全く与えないのが、王者ジョコビッチのテニス。 絶好調の彼は、世界中の誰にも止められません...。 [sns]