2012年のウィンブルドン男子シングルス決勝戦は、テニス史に残る伝説的な一戦となりました。

対戦したのは、テニス界において数々の偉業を成し遂げてきた、史上最高の選手、ロジャー・フェデラーと、地元イギリスの期待を一身に背負った、アンディ・マレー

この決勝戦は、互いに特別な想いで臨む、大切な一戦でした。

フェデラーの懸ける想い

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フェデラーはこれまで、ウィンブルドンで6度の優勝を誇りますが、一昨年、昨年は準々決勝で敗退。

4年半守り続けた世界ランク1位の座も、大会当時は3位にまで落ちていました。

30歳となり、衰えが指摘されていたフェデラーでしたが、もしこの一戦を制して7度目のウィンブルドン制覇を成し遂げれば、ウィリアム・レンショーと、ピート・サンプラスが持つ同大会の歴代最多タイ記録に並びます。

加えて世界ランクも、2年ぶりに1位に返り咲くことが決まっており、復権を懸ける元王者にとっては、絶対に落とせない一戦でした。

マレーの背負う期待

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対するマレーも、並々ならぬプレッシャーと戦っていました。

伝統あるテニスの母国・イギリスですが、このウィンブルドンにおいては、なんと1936年のフレッド・ペリー以降、イギリス人選手の王者が生まれていませんでした。

呪縛とも呼ばれる苦しみの歴史を打ち破るべく、地元選手として74年ぶりに聖地で決勝の舞台に立ったのが、マレーでした。

意地と意地がぶつかり合った決勝戦

試合は、観客の大声援を受けるマレーが序盤から躍動。

第1セットを先取します。

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しかし、芝の王者・フェデラーも反撃。

接戦となった第2セットですが、ワンチャンスを活かして取り返します。

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第3セットの途中には、雨による中断も挟んで、流れが全く読めない展開に。

伝説の一戦を振り返る動画がこちら。


Original:ROLEX

マレーの本当の伝説は翌年

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中断後、流れを掴んだのはフェデラーでした。

スタジアム全体を味方につけた、マレーの勢いある攻撃に対して、一歩も引かずに打ち合ったフェデラーが、セットカウント3-1で勝利。

史上最多となる7度目の栄冠と、2年ぶりの世界ランク1位返り咲きを果たしました。

試合後のインタビューで、涙の止まらないマレーは「今後も挑戦を続ける、簡単なことじゃないだろうけど…」と語りました。

そしてこの1年後、マレーは再び聖地ウィンブルドンで決勝の舞台を戦い、77年越しの悲願を達成することになります。このドラマはまた、別の機会に…。