来週のATP大会はマレーシア・クアラルンプールと中国の深センで行われます。そしてクアラルンプールでは第1シードとして錦織が参戦します!ドローが既に発表になったので簡単に大会を展望してみましょう。  錦織は2回戦から登場し、アメリカ勢同士、ラムとジャシカとの勝者と対戦します。錦織は世界ランク・キャリアハイが78位のラムとは1度だけ対戦したことがあり、ロンドン五輪前の調整として出たニューポートで敗れています。しかしあのときの錦織は極度の不調でした。今戦う相手としては全く心配する必要はないでしょう。一方のジャシカはまだ17歳、全米オープンのジュニア部門で単複優勝を果たしており、今回はWCを貰って参戦してきています。  準々決勝で当たる可能性のある4人の中には添田がいます。添田の1回戦は予選勝者となることが確定しており、この幸運を生かしてしっかり勝利したいところです。そして添田が2回戦で当たるのはキリオスとマトセビッチの勝者、この2回戦の勝者がさらに錦織と戦います。キリオスは51位、マトセビッチは80位、そして共にオーストラリア出身です。順当に考えれば今最も勢いに乗っているキリオスが錦織との1戦に駒を進めてくるものと思われます。  しかしキリオスには不安材料もあります。全英、全米、デビスカップと戦っていずれも大活躍を収めたキリオスはこの大会を最後に一足早く今年のツアーを終了することを表明。まだ19歳の彼には心身ともに相当疲れがたまっているものと思われます。この大会で順調に錦織のところまで上がってこれるかについても未知数なところがあるでしょう。  錦織から見て準決勝の相手となるブロックを見てみましょう。ここには第3シードのL・マイヤーがいます。そう、錦織が全米3回戦で対戦しストレートで破った相手です。あのときは錦織が完璧な試合運びで彼を下しましたが、マイヤーのほうもその後デビスカップにアルゼンチンのエースとして参戦。シングルスで2勝を挙げて苦しむアルゼンチンを何とかWG残留に導く活躍を収めています。そしてこのブロックには錦織が全米2回戦で下したアンドゥハルもいます。全米で錦織が下した二人が同じブロックに入って準決勝を狙ってくるわけです。錦織にこそ完敗したものの両者とも決して不調なシーズンを送っている訳ではないので、どちらかが準決勝に来る確率は高いでしょうね。ちなみにこの両者の対戦は1勝1敗となっています。  錦織から見ると決勝で当たることになるボトムハーフもちょっと見てみましょう。大本命は第2シードのグルビスですが、第5シードにはディフェンディング・チャンピオンのソウザがいます。ソウザは昨年初めてトップ100に入ってきた錦織と同じ1989年生まれの選手、彼がツアー初優勝を飾ったのが昨年のクアラルンプールだったのです。今年もタイトルはないものの堅実にポイントを稼いでトップ50を維持し、今週行われているフランス・メスの大会でもモンフィスを破るなどして決勝に進出しています。初タイトルの地で連覇はなるでしょうか。  ボトムハーフには守屋、ダニエルという二人の日本人選手もいます。守屋が対戦するのはドティグ、世界ランク最高29位を誇る強敵です。守屋からすると大分格上の選手であり、苦戦が予想されますがどこまでやれるでしょうか。一方ワイルドカードで参戦するダニエルはワイルドカード同士、セルビアの22歳クライノビッチとの対戦となりました。クライノビッチはシーズン序盤に2つのフューチャーズで優勝し、格上のチャレンジャーに戦場を移しましたがそこでも2大会で優勝するなど今年は一気に戦績を伸ばしてきました。デビスカップ・プレーオフでもシングルス2連勝で主力不在のセルビアを見事残留に導いています。これらの活躍で1月に226位だったランキングはついに105位まで上昇。これからが楽しみな選手ですがダニエルも負けてられませんよ!  本戦は月曜日から始まります。錦織の初戦は水曜日予定です。おそらく早いラウンドは映像がないものと思われ、試合の様子などは見れないかもしれませんが、錦織が怪我なく戦ってくれることを願います。決して悪いドローではないので、貰えるポイントはそこまでありませんがチャンスがあれば優勝狙ってもよいかもしれませんね。活躍に期待しましょう!