今週も世界ランキングが発表されました。まずは通常の世界ランキングから見てみましょう。  ジョコビッチとベルディヒがデビスカップ準決勝のポイントを失ったことでポイント減少。ラオニッチが再び自己最高タイの6位になりました。ラオニッチは全英以降何度も6位になっていますがフェレールの壁は高くなかなかもう一つ上にいけません。  この下でもいくつかデビスカップによる変動があり、ツォンガはマレーを交わして11位に浮上、マレーは2008年5月以来の12位となってしまいました。心配なマレーですが、昨年のアジアシーズン以降は腰の手術により出場していないため、ランキングはここで下げ止まるものと思われます。マレーは深圳で全米後初の大会出場をした後に北京、上海、パリに全力で臨み、逆転でのファイナル出場を狙います。  またオーストラリア凱旋試合となったデビスカップで見事勝利したキリオスのランキングがまたまた上昇して51位。トップ50入りはもう目の前です。  次に気になるレースランキングのほうを見てみましょう。  フェデラーとバブリンカのスイス勢がデビスカップで稼いでポイントを増やしています。フェデラーとナダルの年度2位争いは激しさを増しており、北京に出場するナダルが決勝進出すれば両者ほぼ互角のポイントで上海マスターズ以降を戦うことになります。お互いバーゼルにもエントリーしており、どちらかがエンジン全開になるようなことがあると、一気にジョコビッチの座を脅かして年度1位を奪取する可能性もありますね。  こっからは先週に続いて錦織の最終戦出場争いについて見てみましょう。今週はラオニッチが15P増やしていますが、このポイントは今後ラオニッチが出場する大会で置き換わると思われるため影響ありません。  ここでランキングポイント加算の仕組みについて説明します。沢山の例外がある(公式ルール、英語)ので一概には言えませんが、基本的に錦織やそのライバルのポイントを考える場合は「グランドスラムとマスターズのポイントは全て加算される」「マスターズのモンテカルロを含む残りの大会からポイント数上位6大会が加算される」ということを覚えておけば問題ありません。  上位6大会のポイントというのが曲者です。たとえば錦織が楽天オープンで優勝したとしてもそのまま500P増えるわけではなく、上位6大会の縛りに従い、デビスカップの80Pと入れ替わります。錦織にはすでに上位6大会が全て存在するため、クアラルンプール・楽天・バレンシアのポイントは全て80Pや90Pとの入れ替わりとなりあまりポイントを増やすことができません(錦織のポイント内訳)。これはフェレールやベルディヒも似たような状況です。  しかし9位と10位にいるラオニッチとディミトロフはどうでしょうか。ラオニッチはまだ4大会しかポイントを加算していません。そのうち一つは先週加算されたデビスカップのわずか15ポイントです。したがってマスターズ以外でも楽天、モスクワ、バーゼルに出場するラオニッチには、その3大会のポイントがほぼすべて加算されます。ディミトロフも6大会のうち2大会は20Pと45Pであり北京、ストックホルム、バーゼルのうちかなりのポイントが加算されるでしょう。  この状況から考えると、最終戦3枠を争う5人の差は実際のレースランキングよりさらに小さいということがわかります。実際のランキングも十分接戦なのですがそれよりさらに5人は接近した状況にあるわけです。ATP公式でも最終戦争いの特集記事を作っていますが、過去数年に比べ今年は8位、10位のポイントがダントツで高い年となっています。  この激戦を勝ち抜くには中々高いハードルが求められるでしょう。一気にポイントを稼ぐ方法は楽天またはバレンシアで優勝して約400P稼ぐか、上海またはパリでベスト4(360P)以上に入る、この2択となります。その中でも、一切ポイントが引かれることのないマスターズでどこまで稼げるかが非常に重要になるでしょう。マドリッドで果たせなかったマスターズの優勝を手にすることができれば、一気に最終戦到達ラインは目の前です。今の錦織ならやってくれると思います!