〔全米オープン〕準決勝 脅威に屈せず快勝 錦織圭&マリン・チリッチ
観戦:WOWOW
大会:全米オープンテニス 男子シングルス 準決勝
開催:2014年9月7日
錦織圭もマリン・チリッチも素晴らしい内容で準決勝を勝ち切った。
第1シードと第2シードを破った両者は堂々と決勝で相まみえる事になる。
この準決勝の両試合。
展開的に相手の勢いに押されて敗れたジョコビッチとフェデラー。
勝者側視点では、挑戦者という立場を微塵も感じさせない“快勝“と言える2試合だった。
しかし、2人のスーパースターの逆襲が始まる、その目覚めを脅威に感じた瞬間がある。
それは、会場に響く気合いの一喝を張り上げたシーン。
逆境の己を鼓舞し、追い上げムードを作り、相手に威圧感を与え、攻撃のスイッチを入れる。
挑戦者応援視線でも、ついに逆襲が始まるのかと、ワクワクすら感じさせる咆哮。
唾を飲み込んで、覚悟を決める。容赦ない反撃に身構える。
歯を食いしばって目を閉じるような感覚。
ここからが、本当の勝負なんだと緊張感が膨らんでいく。
第1試合「ノバク・ジョコビッチ〔セルビア〕VS 錦織圭〔日本〕」
★第3セット 10ゲーム目(ジョコビッチー4-5錦織)
1セットずつ奪い合い、勝負の3セット目。
ジョコビッチ4-5のサービスゲームで、デュースから2本を連取。
5-5に追い付くと、口が裂けそうなほどの雄叫び! 3秒間は叫び続けた。
解説は「ジョコビッチはアドレナリンが出ている。さらにミスが少なくなり強くなる」
第2試合「ロジャー・フェデラー〔スイス〕VS マリン・チリッチ〔クロアチア〕」
★第3セット 3ゲーム目(フェデラー2-0チリッチ)
ここまでチリッチが2セット連取で後がないフェデラー。
準々決勝のモンフィス戦では2セットダウンから逆転勝利を収めている。
その再現を期待する観客の圧倒的声援がフェデラーを後押しする。
前のゲームで今試合初のブレークに成功したフェデラーが波に乗りかける。
そして、サービスゲームの3ゲーム目も取って一気に逆襲の勢いを加速させたい。
ラリーの応酬の末に15-15に追い付く。ここで、フェデラーの叫びが轟いた!
しかし、錦織もチリッチも相手の威嚇に飲み込まれはしなかった。
錦織は第3セットのタイブレークを一方的にモノにし、
チリッチも第3セットの3ゲーム目を結局はブレークで奪って、
互いに相手の反撃の狼煙を不発に終わらせた。見事な迎撃だった。
いい意味で予想を裏切られ、驚きと同時に胸のすく錦織とチリッチの戦いぶりだった。
錦織、チリッチの大舞台でのBIG4越えの執念が実を結んだと言える。
スーパースターの逆襲を観たい場内の空気も微妙にざわついていた。
相手の闘争心に火を点け、怒りを引き出して超えてこそ勝利以上の価値がある。
この錦織圭とマリン・チリッチが互いに初のグランドスラムの決勝に臨む。
両選手には、アーサー・アッシュ・スタジアムの観客を大いに沸かす最高の熱戦を繰り広げてほしい。