20140827_usopen_k0 photo:US OPEN


8日に行われた全米オープンテニス男子シングルス決勝で、世界ランク8位で大会第10シードの錦織圭は、同ランク12位で第14シードのマリン・チリッチ(クロアチア)に、3-6,3-6,3-6のストレートで敗退。アジア人史上初となる、四大大会の男子シングルス制覇には、惜しくもあと一歩届きませんでした。

24歳の錦織と、25歳のチリッチは、共に初めての四大大会決勝。

やや硬さの見える錦織に対して、チリッチは武器のビッグサーブに加えて、ラリー戦でもベースラインから下がらず、終始、攻撃的に戦いました。最後まで錦織に1セットも与えることなく、ほぼ完璧なプレーで、四大大会初優勝を果たしました。

敗れた錦織ですが、四大大会のシングルスで決勝進出は、アジア人男子としても史上初。世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)や、全豪覇者のスタニスラス・ワウリンカ(スイス)、同世代のトップを走るミロシュ・ラオニッチ(カナダ)など、名だたる強豪をことごとく撃破しての、価値ある準優勝です。

また、長きに渡ってテニス界を牽引してきたロジャー・フェデラー、ラファエル・ナダル、ノバク・ジョコビッチが不在の四大大会決勝は、2005年の全豪オープンにまでさかのぼらなければなりません。

この試合はまさに、男子テニス界の新時代の幕開けを予感させる一戦でもありました。

第1セット:チリッチが後半から流れを掴む

最初のゲームで錦織に早速ブレイクポイントが訪れますが、チリッチがフォアのウイナーで凌いでキープ。続く錦織のサービスゲームでは、逆に0-30とされますが、そこからサーブやストロークで押し込んでキープ。冒頭から互いにプレッシャーを掛け合います。

試合が動いたのは、第6ゲームの錦織のサービスゲーム。いきなり0-40とされ、2本返すも、3度目のブレイクポイントでついにチリッチにブレイクを許しました。

その後、流れはチリッチへ。錦織得意のラリー戦も、チリッチが早いタイミングで攻めて優位に進めました。そのまま第1セットはチリッチが先取。

第2セット:チリッチのペースで試合は進む

このセットもチリッチ優勢の流れは変わらず。錦織はらしくないミスも多く、なかなか波に乗り切れません。

第3ゲームと第7ゲームで、チリッチに2度のブレイクを許した錦織。第8ゲームで、この試合初めてブレイクを奪いますが、続くゲームをキープされて第2セットもチリッチが連取、錦織は崖っぷちに追い込まれました。

ウイナーの数は、ここまででチリッチが23本に対し、錦織は10本と半分以下。しかしアンフォースドエラーは、チリッチが18本に対して、錦織は21本。得意のラリー戦で、ミスが先行してしまっていることが数字にも現れています。

第3セット:意地を見せる錦織

後が無くなって開き直ったか、徐々に本来のプレーを取り戻してきた錦織。チリッチと激しい打ち合いを演じます。

しかし先にチャンスを活かしたのは、またもチリッチでした。錦織は第4ゲームの長いラリーを落として、ブレイクを許します。

食らいつく錦織は、第7ゲームでも3本のブレイクポイントを握りますが活かせず。終始攻めの姿勢を貫いたチリッチが、そのままキープを続けて四大大会初優勝を果たしました。